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月2回の面会交流申立に対し月1回の面会交流とした家裁審判紹介

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令和 3年12月18日(土):初稿
○面会交流そのものを拒否し、面会交流を認めた事案は多数あります。しかし、面会交流は認め、面会交流の頻度が争いになった家裁審判例を探しているのですが、なかなか見つかりません。

○婚姻中の夫婦間で、申立人(夫)が、相手方(妻)に対し、現在相手方の下で監護養育されている未成年者A(長女)及び同B(長男)について、面会交流を求めた事案において、相手方が主張する性的虐待等の存在につき、これを基礎付ける具体的な根拠は認められないから、未成年者Aについて面会交流を禁止制限する事由は認められないなどとし、未成年者A及びBと申立人との間の面会交流を認めるべきであるとした平成28年8月31日名古屋家裁審判(LEX/DB)で、面会の頻度が、月2回か1回かが争いになり判断しています。

○面会を求める夫は月2回を主張したところ、名古屋家裁は、未成年者らは年齢が低いために身辺も独立しておらず体力的にも長時間の面会には耐え難いこと,交流が途絶えていた期間が長いため申立人も未成年者らの日頃の様子を十分に把握できていないことからすれば,突然長時間の面会や宿泊を実施することは未成年者らに負担が大きく,子の福祉に反することとなりかねないとして月1回の面会交流としました。

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主   文
1 相手方は,申立人に対して,本審判確定の日の属する月の翌月以降,別紙1面会交流実施要領記載の要領により,未成年者らと面会交流させよ。
2 手続費用は各自の負担とする。

理   由
第1 申立ての趣旨

 相手方は,申立人に対し,別紙2の面会交流実施要領による面会をさせなければならない。

第2 事案の概要
1 事案の要旨

 本件は,婚姻中の夫婦間において,夫である申立人が,妻である相手方に対し,現在相手方の下で監護養育されている未成年者A及び同B(以下,両名を併せて「未成年者ら」という。)について,面会交流を求めた事案である。

2 前提事実

         (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

(1)同居期間中の生活状況及び別居に至る経緯
ア 申立人は,相手方との同居期間中,未成年者らの育児に積極的であり,未成年者らと良好な関係にあった(相手方審問調書〔16項〕)。

         (中略)

2 判断
(1)面会交流の禁止制限事由の有無
ア 父母が別居している場合,他方の非監護親の子に対する面会交流は,基本的には,子の健全な育成に有益なものということができるから,これにより子の福祉を害するおそれがあるなど特段の事情がある場合を除き,原則として認められるべきものと解される。

         (中略)

(2)具体的な面会交流の日時,場所,頻度等について
 申立人は,月2回,2泊3日等の面会交流を求めているものの,未成年者らは年齢が低いために身辺も独立しておらず体力的にも長時間の面会には耐え難いこと,交流が途絶えていた期間が長いため申立人も未成年者らの日頃の様子を十分に把握できていないことからすれば,突然長時間の面会や宿泊を実施することは未成年者らに負担が大きく,子の福祉に反することとなりかねない。

他方で,例えば,初回及び第2回の面会を2時間としてその後は4時間とすると,引渡し場所を■駅とした場合には面会の時間的,場所的な制限が大きく,面会交流の実が上がらない可能性もある。そこで,別紙1の面会交流実施要領のとおり,初回及び第2回については午前10時から午後2時までの4時間とし,その後については午前10時から午後5時までの面会とするのが相当である。

また,申立人は,同居期間中に未成年者らの世話にも積極的に関与していたことから,同席者がなくとも,未成年者らの負担に配慮した面会を実施することができると考えられるから,同席者は不要とすべきである。

 なお,申立人は,保育園や学校行事への参加も求めているが,未成年者Aは父がいないと友人に話しており(相手方審問調書),その保育園における生活等に影響がある可能性が否定できないことなどからすると,まずは申立人と未成年者らとの面会交流を実施し,これを継続することが先決であり,現時点では,これを認めることは相当ではないと解される。
 その他,本件に現れた一切の事情に照らし,別紙1の面会交流実施要領のとおり,面会を認めるのが相当である。

3 結語
 よって,主文のとおり審判する。
平成28年8月31日 名古屋家庭裁判所家事第1部 裁判官 原啓晋

(別紙1)面会交流実施要領
1 面会交流の頻度及び日程等
(1)毎月1回,第2土曜日に実施する。ただし,同日に差支えがある場合には,第3土曜日に実施し,これにも差支えがある場合には,順次翌週の土曜日に実施する。
(2)当事者双方は,上記(1)の実施日に差支えがある場合には,速やかに,携帯電話,メール,手紙など適宜の方法で他方当事者に連絡するものとする。なお,当事者双方は,本審判確定後1週間以内に,互いに,緊急時の連絡先を通知するものとする。

2 面会交流の時間
 午前10時から午後5時まで実施する。ただし,初回及び第2回の面会交流は,午前10時から午後2時までとする。

3 面会時の受渡場所及び受渡しの具体的方法
(1)相手方は,申立人に対し,上記第2項の開始時刻までに,JR■駅改札口前において,自己又は相手方が指定した者(ただし,Cは除く。)によって未成年者らを引き渡す。なお,相手方は,申立人に対し,毎月末日限り,翌月の面会のための受渡者を指定し,携帯電話,メール,手紙など適宜の方法で通知するものとする。
(2)申立人は,相手方に対し,上記第2項の終了時刻までに,JR■駅改札口前において,相手方又は相手方が指定した者に対し,未成年者らを引き渡す。

(別紙2)面会交流実施要領
1 直接的な面会交流
(1)面会交流の頻度,日時及び方法について
ア 頻度,曜日及び時間
 月2回,金曜日午後7時からその翌々日である日曜日午後8時まで。ただし,面会交流の初日以前から祝祭日が続いている場合には,祝祭日が始まる日の前日午後7時から面会交流の開始日を繰り上げて実施し,最終日である日曜日の翌日以降に祝祭日が続く場合には,その祝祭日の最終日の午後7時まで,面会交流の終了日を延長して実施する。

イ 日程
 当事者の協議によって定める。
 協議が調わない場合は,毎月第2金曜日からその翌々日である日曜日まで及び第4金曜日からその翌々日である日曜日までとする。ただし,上記アのただし書きにより開始日を繰り上げる場合,第2金曜日又は第4金曜日を起点としてその開始日を繰り上げ,同ただし書きにより終了日を延長する場合,第2金曜日の翌々日の日曜日又は第4金曜日の翌々日の日曜日を起点としてその終了日を延長する。

ウ 長期休暇の特例
(ア)毎年8月について
 毎年8月の面会交流のうち,1回目又は2回目のいずれかの面会交流の期間を延長して実施する。延長後の日時等の内容については,当事者の協議によって定める。
 当事者の協議が調わない場合は,毎年8月の面会交流のうち2回目について,その日時を,第3金曜日午後7時からその翌週の金曜日午後8時までとする。
(イ)毎年12月について
 毎年12月の面会交流のうち,2回目の面会交流の期間を延長して実施する。延長後の日時については,当事者の協議によって定める。
 その日時について当事者の協議が調わない場合,毎年12月の2回目の面会交流の日時を,12月28日午後7時から翌年1月4日午後8時までとする。

エ 受渡場所
 未成年者らの受渡場所は,相手方宅玄関前とする。ただし,当事者の協議によって変更することができる。

オ 面会交流の方法
(ア)相手方は,面会交流の開始時刻に,受渡場所において,未成年者らを申立人に引き渡す。
(イ)申立人は,面会交流の終了時刻に,受渡場所において,未成年者らを相手方に引き渡す。

(2)未成年者らの病気などやむを得ない事情により上記(1)の日程で面会交流を実施できない場合は,申立人と相手方は,子の福祉を考慮して日程を変更する。

(3)当事者双方の協力
 当事者双方は,未成年者らの福祉に慎重に配慮し,申立人と未成年者らとの面会交流の円滑な実施につき互いに協力する。


(1)申立人は,未成年者らの保育園又は学校の行事に参加する場合,その旨を当該行事の3日前までに,相手方に通知しなければならない。
(2)相手方は,申立人が未成年者らの保育園又は学校の行事に参加することを妨げてはならない。
(3)当事者双方は,保育園又は学校の行事において,未成年者らの福祉に反する事態を生じさせないよう慎重に行動しなければならない。
以上


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