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面会交流の保全処分が認められた家裁審判例紹介

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令和 3年11月10日(水):初稿
○面会交流審判に伴う面会交流審判決定前の保全処分の裁判例を探しているのですが、公開された判例データベースではなかなか見つかりません。面会交流審判申立をするも調停回付となりなかなか進まず、且つ、裁判外の面会交流実現を相手方に懇請しているのですが、1年以上、面会交流が実現していない事案を扱っており、面会交流審判移行と審判前の仮処分としての面会交流についての裁判例が必要になったからです。

○面会交流審判前の面会交流保全処分を求めた弁護士もいるようですが却下されたと報告しています。某法律事務所のブログでは、面会交流の場合にも、手続上この審判前の保全処分というものを使えなくはないが、実際のところ、認める緊急の必要性というのが子の引渡しの場合以上に否定されやすいと解説されています。

「連れ去り・引き渡し虐待を受ける子供たちのために」というブログの「面会交流の保全処分が認められた審判の紹介」と言うページに面会交流の保全処分を認めた平成24年8月20日鹿児島家庭裁判所知覧支部審判が掲載されていました。この審判例は公開された判例データベースには掲載されておらず、その内容正確性は担保できませんが、このページの記述を紹介します。

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主    文
1 相手方は、申立人に対し、当庁平成24年(家)第85号面会交流申立事件の審判が確定するまで、2か月に1回、土曜日の午前10時30分から午後0時30分までの間、鹿児島市○○所在の鹿児島市○○において、事件本人を申立人と面会交流させなければならない。
2 相手方、相手方の実母○○および相手方の実姉○○は、前項により申立人が事件本人と面会交流をする間、面会交流に立ち会うことかできる。

理    由

         (中略)

第1 申立ての要旨
事件本人は申立人と相手方との間の子であり、平成23年12月27日、相手方及び相手方の指定する者の立会いの下で公共の施設等において2か月に1回程度の申立人と事件本人との面会交流をすることを認める旨の審刊(当庁平成23年(家)第65号・以下「前審判」という。)がされたが、その後、前審判に従った面会交流が円滑に実施されておらず、現在、相手方は面会交流の実施に向けた協議を拒否している。面会交流が実施されない状態が継続すれば、申立人と事件本人との親子関係が損なわれ、事件本人の福祉を害する。
そこで、前審判に従った面会交流を実施することを内容とする仮処分の審判を求める。

第2 当裁判所の判断
1 記録及び審問によれば、以下の事実が認められる。
(1)申立人と相手方は、平成○○年○月○日婚姻したが、平成24年1月18日離婚した。両名の間には唯一の子である長女の事件本人(平成21年○月○日生)がある。

(2)申立人と相手方は、婚姻後同居していたが、相手方が平成21年○月○日事件本人を出産した後に相手方の実家に帰省して以降、別居し、相手方が事件本人を監護している。

(3)申立人は、平成23年6月6日、相手方に対して事件本人との面会交流を認めることを求めて当裁判所に面会交流審判の申立てをし(当庁平成23年(家)第65号)、当裁判所は、同年12月27日、下記の内容を主文とする前審判をした。
   記
①相手方は、申立人に対し、前審判確定後、申立人が事件本人と公共の施設等において2か月に1回程度の面会交流をすることを許さなければならない。
②相手方及び相手方の指定する者は、前項により申立人が事件本人と面会交流をする間、面会交流に立ち会うことができる。
③第1項の面会交流の具体的な時期、場所及び方法については、事件本人の福祉に十分に配慮して当事者間で協議して定めるものとする。

(4)相手方は、平成23年8月22日、申立人に対して離婚等を求める訴えを鹿児島家庭裁判所に提起したが、平成24年1月18日、申立人と相手方は、事件本人の親指者を相手方と定めて離婚すること、相手方は、申立人に対し、申立人が事件本人と面会交流をすることを認めること、面会交流は前審判の内容に従い、各自誠実に行うこと、面会交流の具体的日時、場所、方法等については、子の福祉に配慮して、相手方と申立人との間で協議して定めること。ただし、最初の2回の面会交流については、当事者双方の代理人弁護士を介して行うものとすること等を内容とする訴訟上の和解が成立した。

(5) 申立人と相手方は双方の代理人弁護士を介して事前に協議した上、平成24年2月25日、鹿児島市○○交流館(通称○○以下「○○」ともいう。)において、予定時間を2時間と取決めて、申立人と事件本人との面会交流を実施した(以下「第1回面会交流」という。)。

同日、○○○○には、相手方、相手方の実母及び実姉が同行し、上記3名の立会いの下で面会交流が開始されたが、申立人は、相手方のほか相手方の実母及び実姉がいずれも立ち会っていることが事前協議の取決めに反しているとの理由で開始後20分程度で立ち去ったため、面会交流は終了した。申立人は、第1回面会交流の実施後、代理人弁護士を通じて、相手方に対し、面会交流に相手方の実母及び実姉が立ち会ったことについて抗議し、面会交流をやり直すことを求める旨の意思を伝えた。

(6)申立人と相手方は、改めて、双方の代理人弁護士を介して事前に協議した上、平成24年4月15日、○○において、予定時間を3時間と取り決めて、申立人と事件本人との面会交流を実施した(以下「第2面会交流」という。)。
申立人は、○○に到着した際、施設建物内に事件本人と一緒にいた相手方及び相手方の実母に対し、相手方の実母が施設建物内にいることが事前協議の取決めに反する旨抗議した。
その後、相手方の立会いの下で面会交流が開始されたが、申立人は、開始から10分程度経過した頃、面会交流実施中の相手方の態度が面会交流の実施に協力的でないとの理由で立ち去ったため、面会交流は終了した。

 申立人は、第2回面会交流実施の数日後、相手方に対し、面会交流が円滑に実施されなかったことについて抗議し、面会交流のやり直しを求める旨の書面を送付した。

(7)申立人は、第2回面会交流の実施後、改めて面会交流の実施を求めているが、相手方はこれを拒否しており、現在まで面会交流は実施されていない。

2 前記認定事実によれば、申立人と相手方は、前審判後間もなく、訴訟上の和解により前審判の内容に従って申立人と事件本人との面会交流を誠実に行う旨合意したが、その後実施した2回の面会交流に際し、当事者間にその具体的な実施条件を巡る対立が生じたことが主たる原因となって、面会交流が円滑に行われていないことが認められる。

このような状況に至っていることには、当事者間の感情的対立がなお厳しいことがその背景にあるものと考えられるが、記録及び審問の結果を検討しても、面会交流の実施が事件本人の福祉に反するような事情は窺われないことからすれば、現時点において、申立人と事件本人の面会交流の実施を継続することが相当でないとまでいうことはできず、今後も、前審判の基本的な趣旨に従って、面会交流を実施することを認めるのが相当である。

もっとも、前記のとおり、面会交流の具体的な実施条件を巡って当事者間に対立が生じたことにより面会交流実施に支障が生じていることに鑑みれば、本審判においては、面会交流の実施の頻度並びに日時・場所及び面会交流に立ち会うことができる者の範囲について、具体的に定めるのが相当である。

そこで、面会交流の具体的な実施条件について検討すると、面会交流の実施の頻度については、申立人と相手方との間の感情的対立がなお厳しいこと等を踏まえて2か月に1回と定め、実施する日時及び場所については、当事言双方の意向及びこれまでの面会交流の実績を踏まえて、土曜日の午前10時30分から午後0時30分までの間、公共施設である鹿児島市○○交流館(○○)で実施することと定めるのが相当である(主文第1項)。

また、事件本人の年齢、申立人と相手方との間の感情的対立がなお厳しいこと、相手方の住居が上記の面会交流の実施場所から比較的離れた場所にあることに照らすと、面会交流の実施においては、相手方の立会いのほか、相手方が希望する相手方の実母及び実姉の立会いを認める旨定めるのが相当である(主文第2項)。

3 記録及び審問の結果によれば、保全の必要性を認めることができる。

4 よって、主文のとおり審判する。
平成24年8月20日鹿児島家庭裁判所知覧支部家事審判官○○
以上:3,488文字

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