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平成31年 2月23日(土):初稿 |
○「スウェーデン新婚姻法第6章子の監護、居所及び子の面接交渉権紹介1」の続きです。 ○「社会福祉法」に、子および監護者の社会福祉委員会に対する援助を求める権利が規定され、この法律で規定される社会福祉員会が、共同監護の実施等に重要な役割を果たしているようです。 ○親と子の面接交渉は、日本では親の面接交渉権と考えがちですが、スウェーデン等欧米諸国は、「子は生活を共にしていない親と面接交渉の機会をもつ権利(rätt till umgänge med en förälder)を有する」として子の権利であり、親は「共同して子の要求を実現しなければならない。」として、親の義務と規定され、共同監護の具体的実施方法等に関して相当詳細に規定されています。 ******************************************* 監護の実施(Vårdnadens utövande) 第11条 監護者は子の個人的な問題に関して、決定を行う権利と義務を有する。監護にあたっては、監護者は可能な限り、子の年齢、成長の程度に従って、子の考え方、希望を尊重しなければならない。(1983:47) 第12条 子は単独で雇用契約、その他の労働契約を締結することができる。但し、その場合、監護者の同意を要する。子が16歳に達した場合、子は単独でその契約を解除し、別の同じような契約を監護権者の同意なしに締結することができる。 子または子の監護者は子の健康、成長または教育上必要と思われる場合、直ちにその契約を解除することができる。監護者がその契約の解除を行った場合、以後、子は監護者の同意なしに新しい契約を締結することができない。 単独で労働契約を締結する権利を有しない子が単独で労働契約を締結した場合、その契約の効力は第9章第6条、第7条に規定する。(1983:47) 第13条 子が2人の監護者の監護に服している場合、第11条または第12条の規定が適用される。 監護者の1人が不在、病気またはその他の事由によって緊急を要する監護に関する問題に参加できない場合、他の一方は単独でその問題を決定することができる。但し、その問題が子の将来に関して重大な意味をもっている場合、そのことが子にとって明らかに必要とみなされない限り、単独で決定することができない。(1983:47) 第14条 子および監護者の社会福祉委員会に対する援助を求める権利は、「社会福祉法」(Socialtjänstlagen 1980:620)に定める。社会福祉委員会は、調停者及びその他の社会的相談機関との連絡調整を行わなければならない。(1983:47)〈1998年法律第319号にて改正〉 子の居所(Barnets boende) 〈タイトルは1998年法律第319号にて追加〉 第14a条 子が父母双方の共同監護に服している場合、裁判所は父母双方またはそのいずれか一方からの申し立てによって、子と生活を共にする者を定めることができる。決定に際しては子の最善を配慮しなければならない。 契約を通じて両親は子の居所を定めることができる。契約は書面によって行われ、且つ社会福祉委員会の承認を得たとき、その効力を生ずる。契約の内容が子の最善につながる場合、社会福祉委員会はその契約を承認しなければならない。(1998年法律第319号により改正) 面接交渉(Umänge) 第15条 子は生活を共にしていない親と面接交渉の機会をもつ権利(rätt till umgänge med en förälder)を有する。 子が長期間、親の一方と生活を共にしていない場合で、且つ子が生活を共にしていない親との面接交渉を欲する場合、親は共同して子の要求を実現しなければならない。特別に選任された監護者もまた同様の責任を負うものとする。 子の監護者は、子のために、可能な限り子と特別な関係にある者に対する子との面接交渉の必要性を満たされる責任を負う。 子が両親の共同監護に服している場合で、且つ生活を共にしていない親との面接交渉を行う場合、子と生活を共にしている親は、特に反対の理由がない場合、子との面接交渉を増進するために子に関する必要な情報を提供しなければならない。子が監護権をもっていない親と面接交渉を行う場合、または子との特別の関係をもっている者との面接交渉を行う場合、本項に規定されている子の情報は子の監護者によって提供されなければならない。(1998年法律第319号により改正) 第15a条 裁判所は子の最善にしたがって面接交渉問題を決定しなければならない。面接交渉の訴えは子との面接交渉を欲する親によって行われる。面接交渉の申し立てが親以外の者によって行われる場合、面接交渉の訴えは社会福祉委員会によって提起される。 子が両親の共同監護に服している場合、またはそのいずれか一方の単独監護に服している場合、子の両親は子と生活を共にしていない親と子との面接交渉に関する契約を締結することができる。面接交渉契約は書面によって締結され、且つ社会福祉委員会によって承認を得た場合にその効力を生ずる。(1998年法律第319号によって追加) 第15b条 子が両親のいずれか一方とのみ住んでいる場合、子が子と生活を共にしていない親との面接交渉を行う場合に必要な交通費を負担しなければならない。子と生活をともしている親の子の面接交渉に要する交通費の負担は両親の経済的資力及びその他の事情を考慮して決定される。 面接交渉交通費に関する判決または契約は、訴えが提起された時の事情と判決または契約が締結された時との事情が異なっている場合、裁判所をその判決または契約を変更することができる。(1998年法律第319号により追加) 監護等に関する訴訟手続(Förandet i mål och ärenden om vårdnad m.m.) (1998年法律第319号により追加) 第16条 婚姻していない父母の第4条第2項に規定されている子に対する共同監護に関する届け出は、子の住民登録が行われている県の県税事務所によって審理される。届け出は父母からの書面によって行われる。 第4条第2項2号に規定されている届け出はスウェーデン国内の県税事務所または社会保険事務所に行うことができる。 県税事務所の決定に対して不服ある場合、地方行政裁判所に対して異議の申し立てを行うことができる。 高等行政裁判所に対する異議の申し立てについては審理許可を得なければならない。(1997:990) 国税局は、県行政裁判所または高等行政裁判所に対して国の訴えを提起するため、税務署から資料を取り寄せることができる。国税局は最高行政裁判所に対して国の訴えを提起することができる。(1997:990,1998:713)) 第17条 監護、居所または面接交渉に関する問題は、子が住所を有する地区を管轄する裁判所によって審理される。その問題は離婚事件と関連しても取り上げることができる。相当裁判所がない場合、事件はストックホルム地方裁判所によって審理される。 第4条、第5条、第7条、第8条および第10条、第10b条第2項に規定されている監護に関する問題および居所及び面接交渉に関する問題は、民事事件に関して規定されている手続きに従って処理される。第15b条に規定されている交通費の負担割合に関する問題は、面接交渉事件の一部とみなされる。子が両親の共同監護に服している場合、または両親の一方の単独監護に服している場合で、且つ両親の間に合意が調った場合、両親は共同してその訴えを提起しなければならない。 監護権に関するその他の問題に関しては裁判所事件処理手続法によって処理される。 子の扶養料については、監護及び居所に関する訴訟事件の中で主張することができる。 監護、居所または面接交渉事件に関しては、訴訟当事者の合意が調っている場合、口頭弁論を経ないで判決の言い渡しを行うことができる。(1994:1433, 1998:319) 第17a条 子の両親は監護、居所または面接交渉に関する契約を締結する場合、社会福祉行政法(Socialtjänstlagen (1980:620)第12a条の規定によってその援助を求めることができる。 子が住民登録を行っているコミューンの社会福祉委員会は、第6条、第14a条第2項または第15a条第2項の規定によって両親の間に締結された契約を承認すべきか否かを審査しなければならない。 社会福祉委員会は契約の審査を行う場合、監護、居所または面接交渉に関する問題が充分に調査されているか否かということに留意しなければならない。契約の審査に当たる社会福祉委員会は、秘密保護法第7章第4条第1項の規定に関係なく、他の社会福祉委員会が契約の審査にとって必要とみなされる情報を保有している場合、その情報の提供を求めることができる。 第2項の規定による社会福祉委員会の決定に対しては異議の申し立てを行うことができない。〈1998年法律第319号にて追加〉 第17b条 社会福祉委員会によって監護に関する契約が承認された場合、同日中に、次の機関にその内容を通知しなければならない。 1.子が住民登録を行っているまたは行っていた地区を管轄する管区税務署 2.監護契約が15歳に達している子を対象としている場合には、中央教育委員会(central Studiestödsnämnden) 3.監護者が社会保険法(Socilatjänstlagen (1962:620)第1章第4条に規定されている年齢に達した場合、登録されるもしくは登録されるべき社会保険金庫。契約が親の共同監護に関する内容のものである場合、その報告は母親が登録されているまたはされるべき社会保険金庫に対しても行なわれなければならない。〈1998年法律第713号にて追加〉 第18条 子の両親は社会福祉行政法(Socialtjänstlagen (1980:620)第12a条の規定により、共同対話(samarbetssamtal)を通じて監護、居所または面接交渉問題に関して話し合い解決を図るため、社会福祉委員会に対して、その援助を求めることができる。 監護、居所または面接交渉事件において裁判所は、社会福祉委員会またはその他の機関に対して、子のために、両親間の意見の一致を見え出すため、共同対話の場を設定することを委任することができる。 裁判所が前項の規定によって社会福祉委員会、またはその他の機関に協議の場を設けることを委任した場合、裁判所は一定期間、裁判を中断することを宣告することができる。既に協議が開始されまたは協議が継続する場合においてもまた同様である。特別の事由がある場合、裁判所はその期間を延長することができる。(1990:1526)〈1998年法律第319号にて改正〉 第19条 裁判所は監護、居所または面接交渉の問題が充分に調査されるよう監督しなければならない。 裁判所は監護、居所または面接交渉問題が決定される前に、社会福祉委員会に対して情報を提供しなければならない。委員会が問題の判断について重要な意味をもっている情報をもっている場合、委員会は、裁判所に対してその情報を提供しなければならない。 第2項に規定されている以上に調査を必要とする場合、裁判所は、社会福祉委員会、その他の機関に対して、その調査を行う者を選任することを委任することができる。その場合、裁判所は調査の方法、調査の期間を決定することができる。必要を認めた場合、裁判所は、その期間を伸長することができる。裁判所は調査が早急に行われるように監督しなければならない。 調査を実施する者は、そのことが不適当と思われない場合、子の意見を確認し、且つそのことを裁判所に報告しなければならない。 相当の事由がある場合で、且つそのことによって子の利益が害されない限り、子の意見を聞くことができる。(1990:1526)(1998年法律第319号にて改正) 第20条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、裁判所は確定判決または決定によって問題が解決されるまでの間または両親の間に契約が成立し、且つその契約が社会福祉委員会において承認を得るまでの間、監護、居所または面接交渉問題について必要な決定を行うことができる。その場合、裁判所は子の最善にしたがって決定を行わなければならない。 前項に規定される決定は、口頭弁論を行うことなしに決定の言い渡しを行うことができる。決定の言い渡しが行なわれる前に、相手方に対して意見を述べる機会を与えなければならない。裁判所はその問題に関し、社会福祉委員会からの情報を入手することができる。裁判所が当該訴訟事件に関して最終決定を行う際に、既存の決定が存在している場合、裁判所は既存の決定を再審理しなければならない。 本条に規定する決定は確定判決と同様の方法をもって執行される。但し、その決定は何時でも裁判所によって変更することができる。(1990:1526)〈1998年法律第319号により改正〉 第21条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、裁判所は、当該事件の判決または決定の言い渡しに関連し、且つ特別の事由がある場合、当事者の一方からの主張に基づいて、相手方に対して子の引き渡し命令に制裁金を賦課すことができる。第20条第1項に規定されている決定との関連において制裁金が賦課された場合、裁判所は、直ちに、その命令の実施を命ずることができる。 前項に規定する制裁金賦課決定に対しては、監護、居所または面接交渉に関する判決または決定に対する訴えとの関連においてのみ異議の申し立てを行うことができる。 制裁金賦課問題は、制裁金の賦課を請求した者の申請に基づいて、地方行政裁判所において審理される。(1993:485)(1998年法律第319号により改正) 第22条 監護、居所または面接交渉に関する訴訟事件において、訴訟費用の問題に関しては、訴訟法第18章第1条乃至第7条の規定に代わって、本条第2項および第3項の規定が適用される。 各当事者はそれぞれ自己の訴訟費用を負担しなければならない。但し、当事者の一方が訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行動した場合、もしくは特別の事由がある場合、他の一方に訴訟費用の全部またはその一部の負担を命ずることができる。 第2項の規定により当事者の一方が訴訟費用の全部またはその一部を負担すべき場合で、且つ法定代理人、任意代理人または補助者が訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行動し、且つそのことによって相手方に損害を与えた場合、裁判所はその者に対して、本人と共同してその損害を負担することを命ずることができる。裁判所は当事者の一方からそのことについて主張が行なわれない場合であっても、職権をもってそのことを決定することができる。 本条の規定は事件が上級裁判所に係属した場合においても適用される。(1983:484)〈1998年法律第319号により改正〉 以上:6,164文字
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