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平成31年 2月19日(火):初稿 |
○日経新聞の平成31年1月17日付「選択的共同親権、法務省が本格検討へ 親子の断絶を防止、「面会交流」で養育環境を整備」によると「法務省は離婚後に父母の双方に親権が残る「共同親権」制度の導入の本格的な検討に入った。」とのことです。 ○同記事では、「離婚後も父母の双方が子どもの監護・教育の責任を追うべきだとの考えで、欧米などの国々ではこうした価値観に基づき、父母の双方が離婚後も共同で親権を持つのが主流だ。」とのことですが、「1998年改正スウェーデン親子法」の「第6章 子の監護、居所及び子の面接交渉権」を2回に分けて紹介します。 ○第4条2項で離婚の場合は共同監護が原則が宣言され、裁判所は「離婚判決後、子が父母の共同監護に服する場合、判決において父母の共同監護が将来ともに継続することを注意しておかなければならない。」と注意規定まで置いてます。 ******************************************** 第6章 子の監護、居所及び子の面接交渉権 (6 Kap. Om vårdnad, boende och umgänge) (1998年法律第319号にて表題変更) 総 則(Inledande bestämmelser) 第1条 子は日常生活の世話を受け、精神的に安定した生活を享受し、社会生活を維持して行くために必要な躾を受ける権利(rätt till omvårdnad, trygghet och en god fostran)を有する。子はそれぞれその特性に応じて、一人の人間として尊重され、体罰またはその他精神的虐待を受けない。 第2条 子の監護が裁判所によって特別に選任された1人または2人の監護者に委ねられている場合を除いて、子は父母の双方またそのいずれか一方の監護に服する。子は18歳に達するまで親の監護に服する。但し、子が婚姻した場合にはその限りでない。 子の監護者は、子の個人的問題に対して責任を負い、且つ第1条の定めるところにより、子の要求に応えなければならない。子の監護者は子の年齢、成熟度、その他の状況からみて、必要と思われる限度において、子を監督し、且つ子が十分な生活と教育が受けられるよう配慮しなければならない。子が他人に損害を与えることがないよう、監護者は子を監視しまたはそのため適切な措置を講じなければならない。 子の財産管理に関する責任については本法第9章、第15章に定める。(1994:1433) 第2a条 本章の規定によって子の監護、居所及び面接交渉に関する決定が行われる場合、その決定に際し、子の最善(barnets bästa)を最優先的判断基準としなければならない。何をもって子の最善とするかを判断する場合、特に子と両親との親密、且つ良好な関係の必要性に意を用いなければならない。その場合、子が虐待、拉致または監禁もしくはその他のいじめを受ける危険について配慮しなければならない。(1998年法律第319号にて追加) 第2b条 本章の規定よって監護、居所及び面接交渉の問題を決定する場合、子の年齢、成長の度合いに応じて、子の意思を尊重しなければならない。(1998年法律第319号にて追加) 監護者(Vårdnadshavare) 第3条 父母が婚姻している場合、出生のときから子は父母の共同監護に服し、その他の場合にあっては、母の単独監護に服する。子の出生後、父母が婚姻したとき、裁判所によって子の監護が特別に選任された一人または二人の監護者の監護に委ねられている場合を除いて、子は父母の婚姻と同時に父母の共同監護に服する。 父母が離婚した場合であっても、第5条、第7条または第8条の規定によって父母の共同監護が解消されない限り、子は、父母の共同監護に服する。離婚判決後、子が父母の共同監護に服する場合、裁判所は、判決において父母の共同監護が将来ともに継続することを注意しておかなければならない。(1994:1433) 第4条 子が父母いずれか一方の単独監護に服している場合で、且つ父母が共同して子の監護を行うことを欲する場合、父母の双方から子に対する共同監護の申し立てがなされたとき、共同監護によって明らかに子の利益が害されない限り、裁判所は共同監護を行うことを認めなければならない。 次に掲げる場合、父母の双方によって共同監護を行うことができる。 1.社会福祉委員会による父性確認の承認と関連して、父母の双方が社会福祉委員会に届け出た後、県税務事務所へ共同監護の登録を行った場合 2.子の監護者が選任されていない場合で、且つ、父母と子がスウェーデン国籍を有している場合に税務事務所へ共同監護の登録を行った場合(1991:487) 第5条 子が父母の共同監護に服している場合で、且つ父母いずれか一方から共同監護の解消の申し立てが行なわれた場合、裁判所は子の最善にしたがって、その共同監護を解消し、父母いずれか一方に子の監護を委ねることができる。 但し、父母の双方が共同監護の継続に反対している場合、共同監護を命ずることができない。 第1項の規定に基づいて行なわれる監護者の変更は、父母の双方またはいずれか一方からの申し立てによって審理される。離婚事件に際し、裁判所は、父母の共同監護を継続させておくことが明らかに子の最善に反すると思われる場合、職権をもって父母いずれか一方に子の監護を命ずることができる。(1998年法律第319号にて改正) 第6条 子が父母共同監護または父母いずれか一方の単独監護に服している場合、父母は契約をもって子の監護を父母の共同監護とするか父母いずれか一方の単独監護とするかを決めることができる。但し、その契約は書面をもって行なわれ、且つ第2項の規定にしたがって社会福祉委員会の承認を得た場合においてその効力を有する。 両親の間で子の共同監護に関する契約が行なわれた場合、社会福祉委員会はそのことが明らかに子の最善に反しない場合、その契約を承認しなければならない。その契約内容が父母いずれか一方の単独監護を内容としている場合、そのことが子の最善につながる場合、社会福祉委員会はその契約を承認しなければならない。(1998年法律第319号にて改正) 第6a条 1998年法律第319号にて削除 第7条 子の監護に際し、父母の一方が監護権の乱用、監護の懈怠または子の健康もしくはその他、子の成育にとって危険をもたらすような世話をしている場合、裁判所は、監護者の変更を命ずることができる。 子が父母の共同監護に服し、且つ前項の規定が父母いずれか一方に親に適用される場合、裁判所は、他の一方に単独で子の監護を委ねることができる。子の監護を委ねられた親が第1項に規定されている方法で子の世話ができない場合、裁判所は、特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねなければならない。 子が父母いずれか一方の単独監護に服しているとき、裁判所は第1項に規定されている場合、他の一方の親にまたはそのことが適当と思われる場合には特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねることができる。 本条に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの申し立てによって、または父母の離婚訴訟おいてまたは第5条に規定されて訴訟において職権をもって審理することができる。(1994:1433)(1998年法律第319号により改正) 第8条 子が、父母以外の家庭において継続的に養育を受けている場合で、且つその状態を継続させ、子の監護を行っている者に移すことが子のために最善であると思われる場合、裁判所は子の監護者としてその者を特別に選任された監護者に選任することができる。 前項に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの訴えによって審理される。(1994:1433) 第9条 子が父母の共同監護に服している場合で、且つそのいずれか一方が死亡したとき、他の一方が単独で子の監護者となる。父母の双方が死亡した場合、裁判所は社会福祉委員会からの届け出によってまたは裁判所においてそのことを知ったとき、特別に選任された1人または2人の監護者に子の監護を委託しなければならない。 子が、父または母いずれか一方の監護に服している場合で、且つその者が死亡したとき、他の一方の親、または社会福祉委員会からの届け出によって、裁判所は他の一方の親またはそのことが子にとってより適切と思われる場合には第13章第8条の規定によって選任された1人または2人の監護者にその子の監護を委ねることができる。(1994:1433) 第10条 子が、1人または2人の特別に選任された監護者の監護に服している場合で、且つ父母の双方またはいずれか一方が子の監護を行うことを欲した場合、裁判所は子の最善にしたがって監護者変更の決定を行わなければならない。但し、父母の双方がそのことに反対の意思表示を行なった場合、裁判所は父母の双方をもって子の監護者とすることができない。 前項に規定されている監護者変更の問題は、父母の双方またはそのいずれか一方もしくは社会福祉委員会からの訴えに基づいて審理される。(1994:1433)(1998年法律第319号にて改正) 第10a条 子のために特別監護者が選任される場合、子を養育し、且つ安全と教育を与える子とができる者を選任しなければならない。 子の共同監護者として2人の監護者が選任される場合、監護者が婚姻しているときまたは婚姻類似の形態において生活を共にしている場合、その2人を子の共同監護者として選任することができる。 兄弟姉妹のために監護者の選任が行われる場合、特別の事由のない限り、兄弟姉妹のために同一の監護者が選任されなければならない。 父母の死亡後、子の監護者の選任が行なわれる場合で、父母もしくはそのいずれか一方が父母の死亡後に子の監護者となるべき者を指定していたとき、特にその者が不適当とみなされない限り、その者を子の監護者に選任しなければならない。(1994:1433) 第10b条 特別に選任された監護者は、請求によってその職を辞任することができる。 子が2人の特別に選任された共同監護者の監護に服している場合、その1人が共同監護を行うことを欲しなくなった場合、共同監護者の双方もしくはそのいずれか一方からの訴えによって、裁判所は子にとって最善と思われる者に子の監護を委ねることができる。裁判所はまた、共同監護者の離婚訴訟において、当事者からの請求がない場合であっても、共同監護を継続させることが明らかに子の不利益になると思われる場合、共同監護者の1人に監護を委ねることができる。(1994:1433) 第10c条 特別に選任された監護者が監護権を乱用しまたは職務の怠慢、その他の理由によって監護者をして監護を継続させることが不適当とみなされる場合、その監護者を解任しなければならない。 子が2人の監護者の監護に服している場合、その1人が解任または死亡した場合、他の一方が単独で監護者となる。2人の監護者が解任または死亡した場合、裁判所は1人または2人の特別に選任された監護者を選任しなければならない。 本条に規定されている監護者の変更の問題は社会福祉委員会からの申請によって審理される。(1994:1433) 第10d条 1998年法律第319号にて削除 以上:4,657文字
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