平成29年12月12日(火):初稿 |
○「訴訟上和解離婚に本人出頭は絶対に必要か?」に「訴訟での和解離婚は、平成15年以前の旧人事訴訟法時代は、地方裁判所管轄で、訴訟上の和解で直ちに離婚の効果を発生させることは認められず、協議離婚するとの和解しかできず、別途当事者が協議離婚届出を提出して初めて離婚が成立するとされていました。しかし平成16年施行新人事訴訟法では、管轄が地裁から家裁に移行し、直ちに離婚の効力を発生させる訴訟上和解離婚が認められました。」と解説していました。 ○ここで旧人事訴訟法時代と記述していましたが、正しくは旧人事訴訟手続法でした(^^;)。平成15年以前の旧法は「手続」が入っており、平成16年施行新法は「人事訴訟法」で「手続」が入っておりません。 ○旧人事訴訟手続法時代は、訴訟上和解離婚は認められず、訴訟上和解は協議離婚するとの合意となり、協議離婚届出をしないと離婚は成立しない中途半端なものでした。新人事訴訟法になって訴訟上和解離婚が認められ、調停離婚と同様訴訟上和解合意によって直ちに離婚の効果が発生し、離婚届出は報告的届出になりました。 ○人事訴訟法第37条は1項で民事訴訟法第267条を適用するとの規定で「和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」ことになりました。しかし、2項で民事訴訟法第264条書面和解、同法第265条仲裁和解、更に3項で民事訴訟法第170条2項電話会議システム和解のいずれも認められないとされています。以下、関係条文です。 民事訴訟法 第264条(和解条項案の書面による受諾※書面和解) 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が口頭弁論等の期日に出頭してその和解条項案を受諾したときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。 第265条(裁判所等が定める和解条項※仲裁和解) 裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。 2 前項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の和解条項に服する旨を記載しなければならない。 3 第1項の規定による和解条項の定めは、口頭弁論等の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。 4 当事者は、前項の告知前に限り、第1項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。 5 第3項の告知が当事者双方にされたときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。 170条(弁論準備手続における訴訟行為等※電話会議システム和解) (中略) 3 裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる。ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限る。 ○以上の通り、民事訴訟手続実務では多用されている書面和解・仲裁和解・電話会議システム和解は、人事訴訟法上形式的には禁止されています。これは、離婚は身分行為なので離婚訴訟においても本人の離婚意思の確認をより慎重にしなければならないとの配慮に基づくものです。しかし、民事訴訟での書面和解・仲裁和解・電話会議システム和解は、大変便利で多用され問題が生じていないのですから、出頭困難な当事者について、意思確認方法を十分に考慮して、これらを認めてもよいのではとの意見が強く出されています。 以上:1,580文字
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