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民法上の氏と呼称上の氏の違いに注意-認識不足でした

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平成28年 3月 3日(木):初稿
○「離婚後15年以上婚氏を称した者の改氏認容平成26年10月2日東京高裁決定紹介」を続けます。この判例を勉強することで、氏には「民法上の氏」と「呼称上の氏」の二種があることを初めて知ったからです(^^;)。以下、両者の違い等についての備忘録です。

○「民法上の氏」
民法の規定に基礎を置いている氏
・夫婦(民法750条「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」)、
・親子(民法790条「嫡出である子は、父母の氏を称する。」)、
・養親子(民法810条「養子は、養親の氏を称する」)、
・婚姻又は縁組みの解消に伴って変動するする氏(民法767条「婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。」、民法816条「養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。」、民法749・808条)、
・生存配偶者の復氏(民法751条「夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。」)
・子の氏の変更における氏(民法791条「子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。」)

等で、新戸籍の編成・入除籍の基準となるもの

○「呼称上の氏」
民法上の氏に変動をきたすことなく、単にその呼称を変える目的で行われるもの
・婚氏続称届け(戸籍法77条の2「民法第767条第2項(同法第771条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。」)
・縁氏続称届け(戸籍法73条の2「民法第816条第2項の規定によつて離縁の際に称していた氏を称しようとする者は、離縁の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。」)
・氏の変更届け
(戸籍法107条「やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
2 外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
3 前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から3箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
4 第1項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。」)


○婚氏・縁氏の続称の届出の規定は、婚姻・縁組の取消の規定にも準用
民法749条「第728条第1項、第766条から第769条まで、第790条第1項ただし書並びに第819条第2項、第3項、第5項及び第6項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。」
民法808条2項「第769条及び第816条の規定は、縁組の取消しについて準用する。」


「民法上の氏」は、出生・婚姻・養子縁組等の身分関係の発生・変動により当然に決定される氏、その身分変動を戸籍簿に記載する際に、記載されるべき戸籍を特定する基準となる
「呼称上の氏」は、身分関係の変動とは関係のない呼称上の氏で、この氏の変更は、戸籍法107条各項・77条の2・73条の2等による氏の変更届出によって効果を生じる

以上:1,477文字

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