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オーバーローンで剰余価値のない不動産共有判断判例全文紹介2

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平成25年 6月14日(金):初稿
○「オーバーローンで剰余価値のない不動産共有判断判例全文紹介1」を続けます。
元夫Aと元妻Bの争いは熾烈を極め、離婚訴訟は東京高裁で、「本件第一審判決のうち、養育費について原告が被告に対し子一人につき月額4万円を支払うよう、財産分与について原告が被告に対し707万0598円を支払うよう判決内容を変更するとともに、その余の控訴を棄却する旨の判決を言い渡し、同判決は、同年9月9日に確定」しました。

○居宅の使用についても争いになり、元妻Bが居宅所有名義人元夫Aに対する占有権に基づく返還(明渡)請求の訴えを東京地裁に待機して、「原告(元夫A)が被告(元妻B)に対し本件建物を明け渡すとともに慰謝料20万円余りを支払うよう命じる内容の判決を言い渡し」、その結果、原告は、上記判決に従い、平成24年5月7日、被告に本件建物を明け渡していました。

○離婚紛争について解決した東京高裁判決で、本件不動産の価値について「残余価値は〇円と評価」していましたが、これについて
元夫Aの言い分は、
「0円」と評価したのだから、財産分与の対象とされていた言うものですが、
元妻Bの言い分は、
「0円」と評価し、財産分与の対象から外し、原告名義預貯金のみを財産分与の対象としているもので、本件不動産については、
①頭金800万円を元妻Bが拠出
②同居時返済住宅ローンの2分の1相当額
③別居後は住宅ローン返済額の内AがBに負担すべき婚姻費用相当額
の合計額約1310万円は元妻Bの固有財産から支払われたとして共有財産と評価すべき
というものでした。

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三 争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(本件建物は原告が単独所有しているか)について
ア 原告の主張

 既に確定している原告被告間の離婚訴訟の本件控訴審判決では、原告と被告の共有財産について、「第三 二(2) 原判決の付加訂正」のイにおいて、本件第一審判決の7頁20行目の「別表記載のとおりである」を訂正し、本件不動産及び原告名義の預金と改めている(7頁4行目から9行目)。そして、「第三 五(1)」において、本件不動産の評価額並びに住宅ローンの残債務額を考慮して「残余価値は〇円と評価するのが相当である」として(9頁11行目から12行目」、「第三 五(3)」において、本件不動産の価値を考慮した上で、財産分与額を707万0598円と判示している。上記のとおり、本件控訴審判決では、本件建物が財産分与の対象財産とされていることは明白であり、その価値が残債務額を併せて考慮された結果、0円と評価されたにすぎない。

 このように、本件建物については、原告被告間の本件控訴審判決において夫婦共有財産とされた上で財産分与額が算定されているのであって、本件控訴審判決の確定により、現在はその名義人である原告の単独所有に属するものである。

イ 被告の主張
 本件控訴審判決は、「第三 五 財産分与について」の項目中、「(1) 不動産(本件不動産)」の箇所において、「上記土地建物(本件不動産)の価格は、これらに設定された抵当権の被担保債権(住宅ローン)の残債務3178万3851円とほぼ同程度であり、残余価値は0円と評価するのが相当である」と判断し(9頁9行目から12行目)、当事者の主張どおり、本件不動産を財産分与の対象財産から外す旨の認定をした。その上で、本件控訴審判決は、財産分与に関し、原告と被告の別居時に残存していた原告名義の預金の合計額を2分の1にし、その金額から原告から被告へ別居開始後に支払済みの金員の額を控除し、原告が被告に対し707万0598円を支払うよう判示した(10頁1行目以下)。

 このように、原告被告間の離婚訴訟における財産分与の対象は原告名義の預金のみとされ、本件不動産はこの財産分与の対象から外されたものである。そして、本件不動産に関しては、
①被告の解約した預金800万円、
②原告と被告が同居していた間に支払われた住宅ローンの返済総額の2分の1相当額(290万8601円)、及び
③原告と被告の別居時から離婚時までの間の住宅ローンの返済額のうち計220万円(平成20年12月から平成22年9月分までの住宅ローンの支払分のうち月額10万円に相当する額)の
合計1310万8601円については、被告の固有財産から支払われたものと評価することができるから、本件不動産は現在でも原告と被告の共有財産として取り扱われるべきである。

(2)争点(2)(本件建物の1か月あたりの使用料相当損害金の額)について
ア 原告の主張

 本件建物の1か月あたりの使用料相当損害金は19万8000円が相当である。

イ 被告の主張
 本件建物の一か月あたりの使用料相当損害金はせいぜい7万円程度である。


以上:1,984文字

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