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離婚調停の終了-不成立終了と取下終了の違い

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平成24年 8月 2日(木):初稿
○一方が離婚したくても相手方が離婚に応じない場合、最終的には家庭裁判所の離婚を命じる判決を得なければ離婚出来ませんが、この離婚判決を求める訴えを提起するには、先ず離婚調停を申し立てしなければなりません。これは調停前置主義と呼ばれ、離婚に限らず、人事に関する訴訟事件では一般に求められていますが、その根拠は、家事審判法の次の規定です。
第17条
 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第9条第1項甲類に規定する審判事件については、この限りでない。
第18条
 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。2 前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。


○調停はあくまで当事者の合意によって成立するものですから、調停が申し立てられ、何度か調停期日を開いても、当事者間に合意が成立する見込みがない場合、または合意が成立してもその合意が相当でないと認められる場合、家庭裁判所が家事審判法第24条審判をしないときは、調停は成立しないものとして事件を終了させることが出来ます。
家事審判規則第138条の2
 調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込がない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、家庭裁判所が法第24条第1項の審判をしないときは、調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。法第23条に定める事件の調停につき、当事者間に合意が成立した場合において、家庭裁判所が同条の審判をしないときも、同様である。
家事審判法第24条
 家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衝平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。この審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。

 なお、調停委員会とは、家事審判法第22条で家事審判官(裁判官)と2人以上の家事調停委員によって組織されます。
 調停は通常2人の家事調停委員と当事者で協議を重ねて合意の努力をしますが、不成立終了とする場合は、調停委員会としての判断ですから家事審判官も出席して調停不成立を宣言して終了します。また離婚調停では、家事審判法第24条での離婚審判をすることは先ずありません。

○これに対し、申立人は、家事審判法や規則での明文の規定はありませんが、調停の申立の維持を望まないときは、調停係属中いつでもその申立を取り下げて調停手続を終了させることが出来ます。その取下に相手方の同意は不要で、通常は取下書を提出して行いますが、裁判所書記官に口頭で行うことも可能です。

○離婚調停を開いても相手方の離婚しないとの意思堅固で或いは相手方の離婚条件としての金銭請求が過大で到底合意成立の見込みがない場合、調停委員から先ず調停成立の見込みがありませんが、取下げて終了しますか、或いは不成立としますかと問われることが良くあります。申立人である依頼者にどちらにしますかと確認すると、取下と不成立はどう違うのでしょうかと聞かれて説明に窮することがあります。そこで、以下説明のための備忘録です。

・離婚の訴えを出すためには両者に違いはありません。取下の場合離婚の訴え提起が出来ないとの誤解ありますが、取下でも調停前置主義は満たし、離婚の訴えは可能で、当職は取下げて訴えを提起するのを原則としています。
・訴え提起後の審理に調停取下、不成立は全く影響しないと言って良いでしょう。
・強いて違いを挙げると、不成立は調停時に家事審判官が出て来て不成立宣言をしてくれるのを待つ必要があります。忙しい審判官だとこの待ち時間が30分1時間かかることもあり、この待ち時間が私にとって大問題です(^^;)。
・取下だと即退席して後で取下書を提出すれば足りますので迅速処理ができます(^^)。
・不成立だと2週間以内に訴えを提起すれば訴え提起の印紙代が半分になる利点はありますが、離婚の印紙代は大したことはなく、また2週間以内に離婚の訴えを提起することは、余りありませんので、大きな利点ではありません。
・その他の違いとしては、表現の違いによる当事者の受け止め方くらいです。この表現の違いが大きいという方も居ますが、法律的には余り意味はありません。

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