平成22年 2月18日(木):初稿 |
○夫婦間の贈与が問題になっている事案があり,現在調査中で、その備忘録です。 問題は,形式的には20年以上の婚姻期間があるが、10年前から夫が別居して他所で暮らしており、妻が居住する夫名義不動産を離婚に当たり、離婚直前にその妻居住夫所有名義不動産を贈与する場合ですが、以下の解説、条文を見る限り適用になるのではと思っております。相続税法施行規則第4条の6の1項がちと気になるところではありますが。 先ず国税庁HP「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」での基本解説です。 1 制度の概要 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。 2 特例を受けるための適用要件 (1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと (2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること (3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること (注)配偶者控除は同じ配偶者の間では一生に一度しか適用を受けることができません。 3 適用を受けるための手続 次の書類を付けて、贈与税の申告をすることが必要です。 (1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本 (2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し (3)居住用不動産の登記事項証明書 (4) その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し ただし、戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要です。 次に法令の根拠です。 相続税法 第21条の6(贈与税の配偶者控除) その年において贈与によりその者との婚姻期間が20年以上である配偶者から専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利若しくは家屋でこの法律の施行地にあるもの(以下この条において「居住用不動産」という。)又は金銭を取得した者(その年の前年以前のいずれかの年において贈与により当該配偶者から取得した財産に係る贈与税につきこの条の規定の適用を受けた者を除く。)が、当該取得の日の属する年の翌年3月15日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合又は同日までに当該金銭をもつて居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合においては、その年分の贈与税については、課税価格から2千万円(当該贈与により取得した居住用不動産の価額に相当する金額と当該贈与により取得した金銭のうち居作用不動産の取得に充てられた部分の金額との合計額が2千万円に満たない場合には、当該合計額)を控除する。 2 前項の規定は、第28条第1項に規定する申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)に、前項の規定により控除を受ける金額その他その控除に関する事項及びその控除を受けようとする年の前年以前の各年分の贈与税につき同項の規定の適用を受けていない旨の記載があり、かつ、同項の婚姻期間が20年以上である旨を証する書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。 3 税務署長は、前項の申告書の提出がなかつた場合又は同項の記載若しくは添付がない申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第1項の規定を適用することができる。 4 前2項に定めるもののほか、贈与をした者が第1項に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当するか否かの判定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 相続税法施行規則 第4条の6(贈与税の配偶者控除の婚姻期間の計算及び居住用不動産の範囲) 法第21条の6第1項に規定する贈与をした者が同項に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当するか否かの判定は、同項の財産の贈与の時の現況によるものとする。 2 法第21条の6第1項に規定する婚姻期間は、同項に規定する配偶者と当該配偶者からの贈与により同項に規定する居住用不動産又は金銭を取得した者との婚姻につき民法第739条第1項(婚姻の届出)の届出があった日から当該居住用不動産又は金銭の贈与があつた日までの期間(当該期間中に当該居住用不動産又は金銭を取得した者が当該贈与をした者の配偶者でなかった期間がある場合には、当該配偶者でなかつた期間を除く。)により計算する。 3 法第21条の6第1項の規定により金銭を取得した者が当該金銭をもつて信託に関する権利(法第9条の2第6項ただし書に規定する信託に関する権利を除く。)を取得した場合には、当該信託の信託財産に属する資産を取得したものとみなして、法第21条の6の規定を適用する。 以上:2,200文字
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