平成20年 9月24日(水):初稿 |
○「婚姻中夫婦の一方が不貞行為をした場合の対処法1」で、夫婦の一方が不貞行為をするのは夫婦間に溝があるからであり、「この溝を埋めて夫婦関係を修復したいと思うなら、たとえ一時的に怒りを相手にぶつけても、自分の相手に対する愛情が十分伝わっていなかったことを反省しなければなりません。そして怒りよりも悲しみを伝えた方が相手も気持ちを取り戻すためには効果的でしょう。」と述べました。 ○しかし、この努力も空しく、不貞行為をした夫または妻が一方的に別居し、さらには不貞行為相手方の女または男と同居し始めてしまったら不貞行為をされた側としてはどうしたらよいでしょうか。 ここにいたり離婚やむなしと決意した場合は、その後の対処はそれほど難しくありません。この場合は,不貞行為を理由に離婚を請求し,更に貞操義務違反を理由にその配偶者に対し、慰謝料請求をすることも出来ます。更に不貞行為相手方に対しても日本の現行法解釈上は共同不法行為を理由に配偶者と連帯して慰謝料を支払えと請求することも出来ます。 ○配偶者の不貞行為相手方(間男・間女?)に対する慰謝料請求についての最近の学説判例傾向は,「不貞の相手方の他方配偶者に対する責任概観」、「間男・間女?の責任に関する最近の学説概観」、「間男・間女?の責任を否定する判例概観」、「夫と42年間不貞関係を継続した女性への損害賠償請求例5」等をご参考にして下さい。 ○問題は、不貞行為をした夫または妻が一方的に別居し、さらには不貞行為相手方の女または男と同居し始めてしまった段階においてもなお、その配偶者と結婚生活のやり直しを期待し実現したいと思っている場合です。 ○この場合の対処法としては先ずは不貞行為をして別居した夫または妻とその不貞行為相手方との関係断絶を試みることです。当事務所取扱例では、不貞行為をして別居したのが夫の場合は、相手方女性と何らかの事情で別れた場合、案外妻の元に戻る例が多くありました。しかしそれが妻の場合は、相手方男性と別れても夫の元に戻る例は余り無かったように記憶しています。これはあくまで一般論ですが、男は一度決めても結構ふらつき、女は一度決めたら殆ど動かず,ぶれないと言う印象です。 ○その不貞行為相手方との関係断絶を試みも現実には大変困難です。不貞行為当初はその当事者間は正に視野狭窄症に陥り他人の声を聞く耳を持たなくなっている例が多いからです。じっくり焦らず試みるしかありません。 ○不貞行為で別居した配偶者への対処法ですが、これは一般には不貞行為相手方への説得より更に難しいものです。と言うのはここに至るまでには相当相手方への不満が鬱積していたと考えられるからです。このことを十二分に自覚して反省の意を伝え、ただただ相手方自身を愛しており、もう一度やり直したいと伝えるしかありません。特に相手が妻の場合は,空しい努力に終わる可能性が高いのですが、自分の気持ちの踏ん切りがつくまでただただ努力するしかありません。 以上:1,223文字
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