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「僕らには親が別れても愛される権利がある!」紹介3

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平成19年11月16日(金):初稿
NPO法人Wink発行「僕らには親が別れても愛される権利がある!」105頁以下に紹介されている4歳の時お父さんのDVと女性問題が原因で両親が離婚し、お母さんに引き取られたS君の例に大変感銘を受けました。

○まず4歳の子どもが、「S君にとっては優しい顔を見せてくれる大好きなお父さんで」、「パパと一緒に暮らせなくて、とっても寂しかった」にも拘わらず「パパに会いたいとはいえなかった。僕がそんなことを言ったら、ママが泣いちゃうかもしれないでしょう?」と母を気遣う健気な気持ちを既に持っていたと言うことに感心しました。

○お母さんにとってはどんなにひどいお父さんでも子どもに優しくしてくれる限りは、子どもにとっては良いお父さんで離れたくないのは当然と思われます。しかしお母さんは自分がお父さんを憎んでいると子どもも自分と同様に憎んでいると思いこみ、子どもも面接交渉なんか望んでいないと言い張るのが一般です。

○子どももそのようなお母さんの態度に逆らうことが出来ず、またお父さんに会いたいと言うことはお母さんを悲しませると思えば、会いたいとの本音を言うことが出来なくなります。S君は僅か4歳にして一緒に暮らしているお母さんを気遣いお父さんへの思いをお母さんには伝えなかったのです。離婚後、夫憎しの思いに凝り固まっているお母さん方もこの点を理解して頂きたいものです。

○次に感銘したのはS君のお父さんが、会社の倒産、転職等があったにも拘わらず「別れたあとにお父さんは子ども達のことを忘れずに養育費を定期的に支払い続け」たことです。当事務所でも相当数の離婚調停を扱っていますが、調停で取り決めた養育料支払を怠り、給料差押手続を取る例が常時あります。給料差押が出来れば良い方で行方不明となりどうにもならない例も多数あります。

○取り決めた養育料を完済する例は2割にも満たないとの統計は実務家としても実感していますが、面接交渉を強要もせず養育料だけを5年間も支払続けたS君のお父さんは子どもに対する責任感の大変強い方と思われ、再婚によって精神的余裕の出来たS君のお母さんと「お互いのプライバシーに立ち入らない、悪口を言わない、お互いを尊重するなどの条件」で面接交渉が出来るようになったのは理想的展開です。

○ここでS君のお父さんの態度に感銘したのは、面接交渉をさせて貰えないのにこれに対し対抗手段を取ることもなく5年間養育料を送り続けたところです。人間は押し付けられると却って頑なになるのが一般であるところ、時折送る「メールやFAXには、我が子に会えない寂しさや苦しみ」を書き綴り、徐々にお母さんの心を開いて最終的に面接交渉を実現したのは正にイソップ童話「北風と太陽」の「太陽」であり、理想的な人間操縦術でした。
以上:1,136文字

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