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面接交渉実施に第3者の介在を命じた事例-判示概要

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平成19年 9月26日(水):初稿
○面接交渉実施に第3者の介在を命じた裁判例(東京家審平成18年7月31日家月59巻3号73頁)の説明を続けます。今回は、その判決の概要報告です。
先ず一般論として、「父母が離婚した場合でも、未成熟子が非監護親と面接交渉の機会を持ち、親からの愛情を注がれることは、この健全な成長、人格形成のために必要なことであり、面接交渉の実施がこの福祉に反するなどの特段の事情がない限り、これを認めるのが望ましい」とされます。

○この一般論は至極当然のことですが、「面接交渉は子供の健全な成長・人格形成のためであれば、その程度・方法には自ずから一定の限度があり、子の心理面、身体面に与える影響、子の意向等を十分配慮する必要があり、真に子の福祉に資するような円滑且つ安定的面接交渉を実施するには父母相互の信頼と協力関係が必要」と「父母相互の信頼と協力関係」を強調されます。

○しかし、現実には「父母相互の信頼と協力関係」が無いために裁判に及ぶもので、本事例でもAB夫婦間の対立は熾烈を極め、非監護親Aの親権者Bへの面接交渉についての要求は正にBが信頼できないことが前提のものでした。

○そこで結論は、次の通り、殆どAの要求は退けられました。
①宿泊付き面接交渉
Cは10歳で心身とも未成熟な年齢であり、父母相互の信頼関係に悪影響をもたらすおそれがあり、時期尚早
②学校行事予定、塾等の情報開示
面接交渉の実現とは直接関係がない事柄であり、その目的でも手段でもない
③未成熟子との会話の制限は無しとする
いずれの親の言動や振る舞いが正しいかの選択を迫ったり、監護者の言動が正しいかどうかのテストを子に求めるのは、子に著しいストレスを与えこの福祉に反するおそれがあるので会話内容制限は必要
④面接交渉の方法
社団法人○○の職員またはその指定するものの立会の元に、面接交渉の日時、場所、方法、同交渉の際の留意事項、禁止事項について、その職員の指示に全面的に従うべき

○結論は「BはAに対し、1ヶ月半に1回の割合で社団法人○○の職員またはその指定する者の立会のもと、AがCと面接交渉を行うことを許さなければならない、社団法人○○に支払う費用はABが折半して負担する」と言うものでした。

○極めて妥当な結論であり、その理由等大変示唆に富む内容が含まれており、夫婦が熾烈な対立関係にある場合の面接交渉の方法としては大いに参考にすべき判例であり、更に内容を検討し、実務でのアドバイスの参考にしたいと思っております。
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