平成18年 3月13日(月):初稿 |
○池内ひろ美著「熟年離婚の損と得」の中の鈴木ひろみ社会保険労務士特別寄稿「年金分割制度とその34のモデルケース」の記述とHPで判りやすいこのページの記述を元に年金分割制度の基礎の基礎をまとめます。 ○年金は差押禁止債権であり年金そのものを差押の対象とすることは出来ません。これまでは「夫から毎月の年金の半分をやるから離婚して欲しいと迫られていますがこの年金を確実に取る方法はありませんか」と相談されても、年金は譲渡出来きず、夫が約束を破って支払わない場合年金そのものを差押さえることも出来ないので確実に取得する方法はありませんと回答せざるを得ませんでした。 ○ところが離婚時年金分割制度スタートにより平成19年4月1日以降離婚する夫婦の場合、婚姻期間にあたる夫名義の老齢厚生年金を最大2分の1まで妻の老齢厚生年金として支給することが出来るようになりました。上記設例では夫の年金の半分を根本から妻自身の年金として取得できるようになりますが、年金分割制度のポイントは次の通りです。 ○年金は、国民年金と被用者年金(厚生年金・共済年金等)の2種大別されますが、分割の対象になるのは被用者年金の報酬比例部分のうち婚姻期間中に当たる部分であり、分割枠は最大2分の1(共働きの場合は合計額の2分の1)の範囲内で決定されます。 ○年金額自体が離婚時に分割されるのではなく、婚姻期間における厚生年金保険の保険料納付記録を分割の対象とするものです。分割によって渡された被保険者期間は、年金の受給資格期間には計上されません。従っていくら分割を受けても受けた人自身の国民年金、厚生年金等通算した加入期間が老齢年金受給必要期間25年を充たさないと受給権が発生しません。 ○分割実現の手続は先ず当事者間の合意出来る場合は、分割割合を定めて社会保険庁に分割請求をします。当事者間で合意が出来ない場合は、家庭裁判所に分割割合を定めるよう求めることができます。まず調停を申し立て、調停が成立しない場合に審判手続か、離婚等の人事訴訟をすることになりますが、その際分割に関することも附帯事項として訴えることができます。 ○分割がなされると各自にその割合による固有の公的年金受給権が発生することになり、たとえば、夫が被保険者である場合、妻が老齢厚生年金を受給できるのは夫の年齢、生死にかかわらず妻が65歳に達したときから死亡するまでです。妻が障害厚生年金の対象となる障害を負えば妻自身が障害厚生年金を受けることができます。 ○分割請求が出来るのは平成19年4月1日以降であり離婚後2年以内の請求であることが必要です。又あくまで戸籍上の夫婦であることが必要で内縁関係には適用されません。 ○なお専業主婦(3号被保険者)の場合、平成20年4月1日以降の婚姻期間については夫が合意しなくても妻が一方的に社会保険庁に請求すれば標準報酬総額の合計が夫婦それぞれ2の1に改定されます。但し、夫の合意が要らないのは専業主婦であった期間だけであり、内縁関係でも適用されます。 以上:1,244文字
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