平成18年 1月26日(木):初稿 |
○婚姻費用分担義務の具体的金額の算定は、最低生活費負担方式(生活保護基準方式、労研方式)や同等生活費負担方式(生活保護基準方式の保護額による方式、労研方式の綜合消費単位による方式)が用いられているようですが、実際はケースバイケースのようです。実際の計算方式は、河原崎弁護士HPの「別居中の生活費/婚姻費用の金額を知りたい場合」をご覧下さい。 ○別居中の婚姻費用請求で実際に問題になったケースを以下にご紹介します。 ・専業主婦の妻が開業医の夫に未成熟子2人を含む母子3人の婚姻費用として、同居時に支給されていた金額27万円がそのまま認められた例(広島家審昭和57.5.8月報35-9-100)。 ・夫が相続により高額の不動産を所有し、多額の賃料収入があったとしても、それが同居中の生活資とされていなかった以上、別居後の婚姻費用分担額を決定する際に考慮すべき収入は夫の給与所得であり、夫の不動産賃貸収入は考慮しなく良いとされた例(東京高決昭和57.7.26月報35-11-80)。 ・高校を卒業して専門学校に通学している子は未成熟子に当たらずその生活費はその子自身が父に対する扶養請求として別途求めるべきであり、妻の夫に対する婚姻費用分担金額算定に当たっては除外すべきであるとされた例(大阪家審昭和56.10.6月報35-2-157) ・難病を抱えた妻から夫への婚姻費用分担請求について、妻の入院中支給される生活保護費は妻の収入とは同視出来ず、また、夫が自己の生活を維持するのに精一杯の収入しかないとしてもそれをもって夫としての扶養義務ないし婚姻費用分担義務を消滅させるものではないとした例(名古屋高決平成3.12.15月報44-11-78)。 ・婚姻費用分担請求事件の係属中に離婚判決が確定した場合、別居開始時から離婚判決確定まのでの間、夫は請求者の妻に、夫の収入に相応しい生活を保障する生活保持の義務を負っているとした例(和歌山家妙寺支審昭和62.3.30月報39-10-94)。 ・夫からの婚姻費用分担義務不存在確認請求訴訟において、同居中については妻が婚姻費用分担請求権を有することを立証しない以上夫に分担義務はないが、別居後離婚判決が確定するまでの婚姻期間中は、夫は婚姻費用分担義務を免れないとした例(浦和地判昭和57.2.19月報35-5-117)。 ○以上の審判・判決例は弘文堂発行有地亨著「新家族法の判決・審判案内」に記載されたものを私なりにまとめたものです。この本は家族法の審判例等の調査にはお薦めです。 以上:1,048文字
|