平成17年11月26日(土):初稿 |
日本、米に次ぐ「離婚大国」の可能性も日本はアメリカに次ぐ世界で2番目の離婚大国になる恐れがあるとのレポートが発表されました。民間のシンクタンク「第一生命経済研究所」がまとめたレポートでは、まず、2007年4月以降に離婚すれば、老後の厚生年金を夫婦で分割できることから、潜在的な離婚予備軍が増えていると指摘。 1991年以降、一貫して増加してきた離婚が2003年、2004年と、2年連続で減少しているのも年金が分割できるようになるまで離婚を先送りするケースが増えているためではないかと分析しています。そのうえで、こうした離婚予備軍が2万3000組いると推計。 現在、経済的な理由で離婚できない人たちがすべて就職した場合の潜在的離婚件数は、実際の1.5倍に当たる40万6000組に上るとの試算を示し、先進国ではアメリカに次ぐ、2番目の離婚大国になる恐れがあると結んでいます。(平成17年11月22日17:30) 以下、株式会社第一生命経済研究所のレポートです。 潜伏する離婚予備軍 ~年金分割待ち予備軍だけでも2.3 万組、潜在離婚率は現実の1.5 倍~ 第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所(社長 石嶺 幸男)では、標記のとおり「潜伏する離婚予備軍」と題するレポートを取りまとめましたので、ご報告いたします。 ● 離婚件数はバブル崩壊後の1990 年代に急増し、近年高止まりしている。男女ともに年齢層が低くなるほど離婚率が高くなる傾向にある中で、近年は婚姻期間の長い夫婦の離婚が大きく増え、いわゆる「熟年離婚」が増加していることがわかる。 ● 離婚率上昇の一因として、離婚に対して特に婚姻期間の長い女性の抵抗感が薄れてきていることがある。また、離婚は失業率に連動していることが認められ、「カネの切れ目が縁の切れ目」の状況になっていることがわかる。 ● ただ最近の離婚件数の減少については、失業率の低下だけでなく、離婚を2007 年4月以降に延ばせば老後の厚生年金を夫婦間で分割できることも要因となっている可能性がある。事実、2003 年以降の離婚件数は、失業率や女性労働力率等から求められる理論的な離婚件数を下回っている。この乖離を年金分割待ちによる離婚予備軍と考えれば、2003- 2004 年の2 年間だけで2.3 万件にのぼり、これらは年金分割制度が実施される2007 年度以降に一気に顕在化する可能性がある。 ● さらに、就業希望があっても適当な仕事がないことや、家事や育児や健康上の理由等で求職できず、離婚したくても出来ない場合もある。事実、これを加味した2004年時点の潜在的失業率は5.9% 、( 実績4.7% ) 潜在女性労働力率55.1% ( 実績48.2% )に上る。これらの就職希望がある人全てが求職した場合の離婚件数を潜在離婚件数とすれば、2004 年の離婚件数を+ 49.9% 上回る40.6 万組になり、離婚率は3.22人と先進国では米国に次ぐ2 位の離婚大国になる可能性がある。 以上:1,270文字
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