平成17年10月19日(水):初稿 |
○平成17年9月9日更新情報で親権者である母が再婚した場合の父の養育料支払義務について考察しました。 養育料の算定について参考になるHPは、社団法人家庭問題情報センターの「離婚後のこどもの養育料はいくらになる?」や河原崎弁護士の「養育費の金額を知りたい場合」で、その計算方法の理屈の理解には参考になります。 ○平成15年頃、東京と大阪の家庭裁判所の裁判官による東京・大阪養育費等研究会が「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」という研究結果を公表し、 算定法と算定表を提案し、これが判例タイムズ等に発表されました。 ○その算定表は、東京家庭裁判所のHPにPDFファイルで掲載されています。これは大きくて見づらく前記社団法人家庭問題情報センターのHPに掲載された方が見やすいようです。 ○この算定表を使うと簡単に養育料の目安が得られるため全国の家庭裁判所の実務でも定着しつつあり、実際養育料がテーマになる離婚事件では裁判官はこの算定表を持参し、これによる金額を基準として提案してきます。 ○この算定表によるとこどもと別れた父親の給与所得年収2000万円、子供一人を養育する母の給与所得年収が150万円の場合、父が支払うべき養育料は月額18~20万円になります。この場合、母の月収は12万5000円ですから、母の月収より子供が父から得る養育料収入の方が高くなります。 ○親子間の扶養義務即ち養育料支払義務は生活保持義務と言って親の収入レベルに応じた生活を子供に保障する義務ですから、年収2000万円もある父は、毎月母の月収を超える20万円の養育料を支払うべきことは当然のことです。 ○しかし実際には月収12万円の母が子供の養育料20万円を受け取り母自身のため使用する例も多いはずです。極端な例は母自身のショッピングによるクレジット債務の返済などです。父にしてみれば子供のために送った養育料が母のために使われることは面白くないかも知れませんが、これは富める者の宿命で何ともなりません。 ○このケースで母が給与年収250万円の男性と再婚すると母側合計収入は400万円になります。この場合、前記算定表によれば父にはまだ6~8万円の養育費支払義務が残ります。繰り返しますが父の義務は生活保持義務だからです。 ○父にすれば自分の送る6~8万円の養育費が母の再婚相手も含めたその家族の生活に使用されることは益々面白くないでしょう。しかしこれも富める者の宿命であり何ともならないと自覚するしかありません。 但しこれは私の個人的見解であり全ての家庭裁判所裁判官が同じ見解とは限りません。 以上:1,063文字
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