平成17年 2月11日(金):初稿 平成17年 5月15日(日):更新 |
○婚姻破綻の原因を作った責任のある当事者、例えば不倫をして家庭を壊した夫が妻に対し離婚を求めた場合、婚姻関係が完全破綻状態でも離婚は先ず認められませんでした。 ○それが昭62・9・2最高裁判決によって ①長期の別居期間(当初20数年がその後8年で認められたケースもあり)、 ②未成熟子の不存在(未成年ではないことに注意)、 ③苛酷状況の不存在(離婚される方が特に経済的に過酷な状況にならないこと) と言う3要件を満たし、離婚を認めることが「著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り」有責配偶者からの離婚を認めても良いと方向が変わりました。 有責配偶者の離婚についての判例の変遷は河原崎弁護士のHPに要領よくまとめられています。 ○更新情報です。 私が実際扱った事案をアレンジして、男女・親子の男女問題相談問答の「有責配偶者の離婚相談」を追加しました。回答例は明日掲載します。 事案骨子は以下の通りです。 会社員のA男と専業主婦のB女は、結婚して20年になる夫婦で、19歳を頭に10歳まで4人の子供がいます。 結婚13年目の夫婦相互の不倫行為をきっかけにAの気持ちは殆どBから離れて夫婦の性関係も激減し、結婚15年目位からセックスレとなり、結婚16年目でX女と関係を持ち、帰宅も遅れるようになりました。 興信所調査でXの存在を知ったBは、怒り狂ってX方に毎日のように訪れ、玄関先でAと別れるよう怒鳴り散らす等の行為を繰り返し、更にA所有の亡母の交通事故死による損害賠償金3000万円の定期預金を無断で払い戻しました。 そこでAはBに対し、3000万円返還の訴えを出して2600万円の支払を命ずる判決を取るも結局100万円しか回収出来ず2500万円が未回収のところ、AはBとの別居後3年経過した結婚20年目に婚姻破綻を理由に離婚の訴えを提起し、裁判中にBに対し、事実上2500万円を贈与し、更にBが住む居宅もBに贈与する意思があることも表明しました。 Aは4人の子供達とは携帯電話で頻繁に連絡を取り合い、特に一番下の10歳の子供とは月に2回程度は会って一緒に遊ぶ機会を持っています。 Bが頑として離婚を拒否していますが、この事例でAの離婚請求は認められるでしょうか。 以上:921文字
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