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著作者人格権の譲渡禁止の趣旨とゴーストライティング契約の有効性2

平成26年 3月11日:初稿
○「著作者人格権の譲渡禁止の趣旨とゴーストライティング契約の有効性1」を続けます。
著作権法の世界では、、ゴーストライター契約は、無効と解されるのが一般のようですと記載していました。しかし、私は、出版界、音楽界、或いは絵画等美術界では、実際には、ゴーストライターは山のようにいるだろうと想像しています。というのは、無名の芸術家の作品だと世に出せないか、或いは出しても全く注目されないのが、有名芸術家の名の元に世に出して注目されるようになり、且つ、ある程度の対価を貰えるのであればゴーストライター志願者は結構出てくるはずだからです。実際、専門家からも高い評価を得た交響曲第1番HIROSHIMAも、全聾の作曲家佐村河内守氏の曲として出版したから世の注目を浴びヒットしましたが、新垣隆氏の名前で出したのではさほど注目も浴びず、埋もれてしまった可能性もあります。

○このゴーストライターは、「ゴースト」の名が示すようにライター自身の名前は世に出せないのが暗黙の了解です。著作権法の世界では、著作物の実際の作成者は、著作権自体は譲渡できますが、一身専属権と呼ばれる著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)は譲渡できないと規定されています。従って、この著作者人格権の譲渡は法律的には無効と解釈されています。

○今回の佐村河内問題は、新垣隆氏が著作者人格権を有する楽曲を佐村河内氏の作品として世に出したわけですから、公表権も氏名表示権も佐村河内氏に帰属すると当事者間では合意していたと評価できます。この合意は、著作者人格権を譲渡したに等しいものですが、著作権法上の法律行為としては無効です。今回、新垣氏が真相を告白したため、この無効な著作者人格権譲渡が世に出てしまいました。当事者間では佐村河内氏の作品として世に出すことを合意し、著作者人格権の譲渡が事実上有効になされていたものが、世間に公表することで、事実上無効になったと解釈できます。

○現在、佐村河内氏に非難が集中しているのは、聴覚障害者を偽装したことと思われます。しかし、私は、聴覚障害を見事に演じきってそれを有効に活用した佐村河内氏の遣り方に、あまり怒りは感じません。私も聴覚障害者端くれで、都合良く聴覚障害を利用しているからかも知れません。尤も私が利用するのは、いやな仰せ付けを難聴を口実に断るくらいで、佐村河内氏に比べたら全くちゃちなものです(^^;)。佐村河内氏には、「どうせ私を騙すなら、騙し続けて欲しかった(バーブ佐竹歌唱女心の唄)。」との心境です(^^;)。聴覚障害者の希望の星でもありましたから。実際に聴覚障害かどうかは、大した問題ではありません(勿論、障害者手帳騙取は大問題ですが)。聴覚障害者を励ましてくれる存在を見事に演じ続けてくれれば良かったのです。

○18年間も一緒に聴覚障害者セールスを見事に演じ切っていたのに「騙し続けること」が出来なかったのは、徐々に相棒新垣氏との確執が大きくなったのが原因でしょう。この確執が生じる原因は、詰まるところ、パイの分配に尽きると思われます。佐村河内氏としては、新垣氏に真相をバラされたら一巻の終わりであることは判っていたのですから、新垣氏の機嫌取りに徹する必要がありました。おそらくNHK特別番組に出演するなどして、舞い上がって、本物の有名芸術家になったと勘違いして、機嫌取りを忘れてしまったと思われます。また、新垣氏としては、自分の作品で佐村河内氏だけが脚光を浴び、有名人になっていくのが妬ましく仕方なくなってきたのでしょう。

○世の中には、全作品とは言わずとも、ゴーストライターの作品で名を残し、ゴーストライターとの信頼関係を維持したまま墓場まで持って行った有名芸術家の例はごまんとあるはずです。著作権法は、建前として、他人の著作物を自分の著作物として公表、氏名表示することを禁じていますが、著作者人格権譲渡禁止は、現実の実務では、殆ど守られないザル法と思われます。私は、極論ですが、自分の力では世に出せない無名芸術家の良い作品を有名芸術家の名前で世に出して、我々の目に触れるようになる、すなわち著作者人格権の譲渡を認めても良いのでは、と思っています。重要なことは、作者(著作者)より、良い作品を公表即ち世に出すことだからです。

○その良い作品を、実際に誰が作ったかについては、神のみぞ知るです。制作現場を克明にビデオ撮影して残しておかない限り、人間が、実際の制作者を、確実・正確に検証することができません。そのビデオにしても、いくらでも加工出来ますので当てにはなりません。交響曲第1番HIROSHIMAだって、新垣氏の作品と言われていますが、もしかするとゴーストライターの学生が作ったかもしれません(^^;)。
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