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携快電話事件-不正競争防止法関連判例2

平成17年 3月16日:初稿
知的財産権研究会 判例レジュメ h17.3.15 井上順子

携快電話事件(東京地判平成16年1月28日判時1847.60 一部認容,控訴)
条文 不競法2条1項14号「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為」

<視点> 
特許権等の侵害を内容とする警告が営業誹謗行為に該当するというためには,警告内容が虚偽であること,すなわち当該特許権等の侵害の不存在が要件。しかし,侵害にあたるかどうかは結論が微妙な事例もあり,事後的に権利侵害が否定された場合に常に営業誹謗が成立し損害賠償義務を負うとすれば,正当な権利行使が萎縮されるおそれがある。

論点1  商標権侵害であるとの告知が不競法に違反するか(原告商品1)
論点2  著作権侵害であるとの告知が不競法に違反するか(原告商品2)

事案の概要
     Y(ソースネクスト(株))        X((株)エス・エス・アイ・トリスター)
  「携快電話6」      →      「携帯接楽7」(原告商品1)
 登録商標「常時接楽」
   (「商標権侵害」とX及び取引先へ告知①)↓
                        発売中止

            →      「携帯万能8」(原告商品2)を販売
(「著作権侵害」と取引先へ告知②)  

A社(AMI社)
         * A社は,Yとの開発委託契約に基づき携快電話6を開発。
* A社は,携快電話6のプログラムの「ソースコード」に改良を加えて原告商品2(原告商品1をもとにこれを作り直したもの)のプログラムを製作した。
Xは,A社から原告商品2について使用許諾を受けた。

判旨
論点1について


(1)商標権侵害か(テキストp278参照)
・「常時接楽」の要部は「接楽」ではなく「常時接楽」である(re.「常時接続」という言葉は広く知られており,需要者は「続」を「楽」に置き換えた造語と認識する)
・「携帯接楽7」の要部は「接楽」ではなく「携帯接楽」である(re.「接楽」は造語であってそれだけでは明確な観念を生じにくい,「7」は単なる数字)
・対比すると,称呼,観念,外観において相違する
・類似しない → 侵害なし
→ よって告知①は,虚偽事実の告知行為に該当する

(2)営業誹謗行為にあたるか
・前示のとおり「常時接楽」と「携帯接楽」は類似するものではないが,「接楽」が共通していること等から,類似するとして商標権侵害と判断したことには相応の根拠がある。
・告知行為の態様および内容が社会通念上著しく不相当と解することは出来ない
・告知行為の対象が「ソフトバンクコマース㈱」,「㈱コンピュータウェーブ」という大手流通卸業者2社に限られていた
・上記2社は,告知にかかる商標権侵害に関しては当然に訴訟の相手方になることも想定できる立場にある
→ 告知①は,本件商標権に基づく権利行使の目的で行われた行為と評価できる。営業誹謗行為にあたらない

論点2について

(1)著作権侵害か
・A社は,Yとの開発委託契約に基づき携快電話6を開発。
委託契約の中に,「A社が作成した仕様書,本件開発製品及び付属文書その他本件業務の過程で作成したプログラム,書類,図面,情報その他の資料(以下「本件著作物」)」には,委託料完済時に被告が取得するとある。
しかし,契約終了後の合意書にて,本件著作物には「ソースコード」は含まれておらず,「ソースコード」はA社の固有の権利であることを合意した。
・A社は,携快電話6のプログラムの「ソースコード」に改良を加えて原告商品2(原告商品1をもとにこれを作り直したもの)のプログラムを製作した。Xは,A社から原告商品2について使用許諾を受けている。
・A社は携快電話6の「ソースコード」を「自由に付加開発し,他に開示することができる」のであるから,Yが携快電話6の著作権を有するとしても原告商品2のプログラムがYの著作権を侵害して製作されたものとはいえない。
・そして,Xは,A社の使用許諾を得て原告商品2を販売しているのであるから,Xの販売行為は携快電話6の著作権を侵害しない。

(2)営業誹謗行為にあたるか
・XYはともにパソコン用ソフトウエアを販売する競業者であるから,Yが,Xの取引先であるヨドバシカメラ及び20の小売店に対し,原告商品2は携快電話6についての著作権を侵害している旨告知したこと(告知②)は,営業誹謗行為に該当し不正競争防止法2条1項14号に違反する。
考察
  告知①                 告知②
   ・Xに対する告知先行       ・Xに対する告知なし
   ・特定の2社のみ       ・小売21社
   ・2社は訴訟相手方になりうる立場    ・21社は商品を扱っているのみ
→ 正当な権利行使と評価されるかどうかは,警告文書の形式のみではなく,警告に先立つ経緯,告知文書の配布期間,配布先の数,取引先の業種,事案内容,事案規模,競争者との関係,取引先態様等諸般の事情を総合的に判断して決すべき。

参考判例
1 東京地判平成13年9月20日判時1801.113
2 東京高判平成14年8月29日判時1807.128(1の控訴審)
以上:2,453文字

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