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無断転貸理由賃貸借契約解除権消滅時効援用権利濫用等判決紹介1

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平成25年 9月13日:初稿
○「無断転貸理由賃貸借契約解除権の消滅時効起算点最高裁判決解説」で述べた「転貸の事実を隠蔽したような場合には、消滅時効の援用を権利の濫用、信義則違反として許さないと解する判例」である昭和54年9月26日東京高裁判決(判タ403号100頁、判時946号51頁)を紹介します。

○事案概要は次の通りです。
・甲所有土地を賃借した乙は、同地上に丙と建物を共同所有することにつき甲の承諾を求めて断われたのに拘らず、同地上に新築した建物の共有持分2分の1を、甲に秘して丙に譲渡
・同建物の東側半分は乙の家族が、西側半分は丙の家族が居住し、建物の登記は乙の子であるY(被告・被控訴人)名義で経由
・その後、この土地の所有権は、甲から甲'を経てX(原告・控訴人)に移転し、また、乙の借地権はその子Yに承継
・乙及びYは甲、甲'及びXに対し、丙は間借人に過ぎないと述べて詐わつていたが、丙が右土地上建物の共有者であることがXに判明
・XはYに対し、土地の無断転貸を理由に賃貸借契約の解除を通告したうえ、土地の明渡を求めたところ、Yは、丙への転貸の時から10年を経過しXの解除権は消滅時効が完成したと抗弁
・Xは、丙への転貸の事実を知つた時に、Xに解除権が発生したので10年の消滅時効期間を経過していない、そうでないとしてもYの消滅時効の援用の主張は、権利の濫用と主張


○消滅時効は、権利を行使し得る時から進行し(民法166条1項)、権利者がその権利の存在を知らない場合にも、原則として時効の進行を妨げない(大正6年11月14日大審院判決、民録23輯1965頁)から、無断転貸、賃借権の無断譲渡による解除権(民法612条)の消滅時効も、無断転貸等の事実が生じた時から進行することになります。これに対し、無断転貸等による解除権は、転貸等の背信行為が継続している間、不断に発生していると解して、転貸した当初から起算した消滅時効を認めなかつた下級審判例もあります(昭和43年3月25日東京地裁判決、判時540号45頁、昭和45年10月15日東京地裁判決、判時621号55頁等)。

○昭和54年9月26日東京高裁判決は、前記事案では、賃借権の持分2分の1の無断譲渡があつたとして、右譲渡の時から10年の消滅時効が進行し、賃貸人が右譲渡の事実を知らなかつたとしても消滅時効が完成しているとしつつ、賃貸人が解除権を行使し得なかつたのは、賃借人が虚偽の事実を述べ解除権の行使を妨げたからであるとして、Yの消滅時効の援用を信義則に反し、権利の濫用に当ると判示して、消滅時効の主張を排斥しました。時効の援用に権利濫用を認めた事例です。以下、判決全文です。

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主 文
原判決を取り消す。
被控訴人は控訴人に対し、原判決添付第二目録記載の建物を収去して、同第一目録記載の土地のうち原判決添付図面の斜線部分132、627平方メートルを明渡せ。
訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 
 
事 実
控訴代理人は、主文同旨の判決並びに仮執行宣言を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の主張並びに証拠関係は、次のとおり付加訂正するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

(原判決事実摘示の補正)
 原判決二枚目表二行目「別紙第一目録記載の土地」を「別紙第一目録記載の土地のうち別紙図面の斜線部分132、627平方メートル」と訂正し、同三行目から四行目にかけての「被告」を「被控訴人の先代野原昭」、同五行目の「被告」を「右昭」とそれぞれ訂正し、同九行目「させた。」の次に、「その後、右昭は本件建物の東側半分を被控訴人に譲渡するとともに、借地権を被控訴人に譲渡した。」を加える。

(控訴代理人の主張)
 野原昭は、昭和28年頃、本件土地の当時の地主である小池津るに対して、訴外天野清次郎に右土地を転貸することについての承諾を求め、これを拒否されるや、事実は右清次郎に転貸したにもかかわらず、該事実を右津るに知られないようにするため、昭和33年7月10日本件建物の所有権保存登記をなすに当つては、被控訴人単独所有名義に登記をなし、右津るには右清次郎は右建物の借家人にすぎない旨告げ、右転貸の事実を隠蔽し、もつて右津る並びにその承継人小池廣を欺し続けて来た。

 従つて、地主としては無断転貸を理由に本件土地賃貸借契約を解除しようにも、右転貸の事実を発見することができないため、解除するに由なかつた。元来、借地人の背信的債務不履行による解除権は、地主が借地人のその債務不履行の事実を知り、地主と借地人間の信頼関係が破綻したときに発生するものであつて、借地人に債務不履行の事実があつたからといつて、直ちに解除権が発生するものではない。

 その段階では、まだ地主・借地人間の信頼関係は破綻していないからである。本件においては、早くとも昭和48年頃にいたつて、始めて小池廣が右転貸の事実を知つたのであり、従つてその時点において解除権は発生したものというべく、控訴人が解除の意思表示をした昭和49年2月15日現在、解除権の時効期間は未だ経過していない。仮に解除権について消滅時効が考えられるとしても、前記経緯に照し、被控訴人の消滅時効の援用は、権利の濫用であつて許されない。

(被控訴代理人の主張)
 控訴人の主張事実中、本件建物について昭和33年7月10日被控訴人単独所有名義に保存登記がなされたことは認めるが、その余はすべて否認する。時効及び権利濫用に関する主張は争う。

(証拠関係) 〈略〉 

 
以上:2,312文字

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