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無断転貸理由賃貸借契約解除権の消滅時効起算点最高裁判決解説

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平成25年 9月12日:初稿
○「無断転貸理由賃貸借契約解除権の消滅時効起算点最高裁判決全文紹介」の続きで、無断転貸を理由とした賃貸借契約解除権の消滅時効の起算点に関する昭62年10月8日最高裁判決(裁時971号2頁、判タ663号72頁、判時1266号23頁)の解説です。

○先ず事案は次の通りです。
・Xの先代は、その財産管理会社Aにその所有する本件土地の管理を委ね、Aは、Y1に本件土地を賃貸
・Y1は、同地上に3戸の建物を所有し、そのうち2戸をY2、Y3にそれぞれ賃貸し、昭和25年12月残りの1戸をY4に譲渡
・その際、Aに無断でその敷地部分をY4に転貸
・Y5は、Y4からこの建物を賃借
・Xは先代を相続し、Aは、昭和51年7月、Y1の無断転貸を理由として本件土地の賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、Yらに対し各建物収去(退去)・本件土地明渡請求
・Yらは、前記無断転貸を理由とする契約解除権の消滅時効を主張し、Y4は、土地転借権の取得時効を主張
・原審は、Yらの主張を容れて、Xの請求を棄却し、X上告。


○Xの上告に対し、昭62年10月8日最高裁判決は、無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行するとして、原審の判断を支持し、転借権の取得時効についても原審の判断も認めて、上告を棄却しました。

○契約解除権のような形成権が消滅時効にかかるのか、その行使期間を何年とみるべきかについては、古くから学説の対立がありました(三藤邦彦「形成権と消滅時効」民法の争点Ⅰ78頁、岨野悌介=渡邊雅文「賃貸借契約解除権の消滅時効」司法研修所論集69号1頁)が、判例は、大審院以来ほぼ一貫して、特定の人に向けられた権利である点において債権と同視できることを根拠として、形成権は時効により消滅し得るものとし、当該形成権が商行為から生じた場合またはそうみなしうる場合には、商法522条により5年、それ以外のものについては、通則としての民法167条1項によりその時効期間は10年としています(岨野ほか・前掲論文10頁以下)。

○この判例理論によれば、民法612条の無断転貸を理由とする賃貸借契約解除権も消滅時効にかかり、その時効期間も原則として10年となりますが、その消滅時効の起算点が問題になります。
 この論点については、大別して、次の4説がありました(岨野ほか・前掲論文35頁参照)。
〔甲説〕転貸時とする説(昭和49年3月29日東京地裁判決、判時750号66頁外)、
〔乙説〕賃貸人が転貸の事実を知ったときとする説(岨野ほか・前掲論文35頁)、
〔丙説〕賃貸人が有効に契約を解除しうる程度に無断転貸が背信性を帯びた状態になったときとする説(織田博子「無断転貸を理由とする解除権の消滅時効の起算点」法律時報56巻8号117頁)、
〔丁説〕解除原因とされた転貸状態の最後の時点とする説(昭和43年3月25日東京地裁判決、判時540号45頁外)

○「債務不履行等を理由とする契約解除権消滅時効起算点について」記載の通り、債務不履行を理由とする解除権の消滅時効は、解除権を行使することができる時、すなわち債務不履行の時から進行すると解されています。無断転貸を理由とする解除権は、原則として転貸借=転借人の使用収益という事実状態によって生じます。例外としては、無断転貸に賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合のみ解除権を行使できないとされています(昭和28年9月2日最高裁判決、民集7巻7号979頁外)。612条の体裁から見て甲説が最も妥当とされ、昭62年10月8日最高裁判決も甲説を採用しました。

○問題は、甲説を形式的に適用すると、賃貸人に対して無断転貸の事実を巧妙に隠し続けた賃借人が最も利益を受けるという不合理が生じ得ることです。特に転貸の事実を隠蔽したような場合には、消滅時効の援用を権利の濫用、信義則違反として許さないと解する判例もあり、別コンテンツで解説します。
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