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賃借建物で賃借人が自殺した場合の責任範囲の一例

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平成20年 6月11日:初稿
「賃借建物で自殺があった場合の賃借人の責任」で、建物内で賃借人或いはその履行補助者が自殺した場合の、賃借人側の賃貸人に対する債務不履行或いは不法行為責任について,肯定・否定の対立する2判例を紹介していますが、法律専門家からこの判例全文データが欲しいとの依頼が数件ありました。この種事案についての相談は相当数あるものと思われます。

○今般、自殺賃借人側の債務不履行責任を認めた判例が出ましたので紹介します。
その要旨は
①建物賃借人には善管注意義務として賃貸建物内で自殺しないようにすることも含まれる
②業として賃貸する建物で賃借人(訴外人)が自殺したことにより、賃貸人が被った債務不履行による損害につき、相当因果関係にあり、当該室内の将来賃料の得べかりし利益の喪失分について賃借人(訴外人)相続人及び連帯保証人に支払責任がある

とするものです。

○事案は、原告Aが亡訴外Bにアパートの一室を賃貸し,被告CがBの連帯保証人であったところ,Bが本件室内で自殺したが,これは賃借人であるBの善管注意義務違反に当たるとして,原告Aが,Bを相続した被告Dに対しては賃貸借契約の債務不履行に基づき,被告Cに対しては連帯保証契約に基づき,連帯して,原告が被った損害676万8000円及びこれに対する商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めたものです。

○その損害の内訳は、本件居室内での自殺によって少なくとも6年間は自殺の影響を受けるもので、当初2年間は賃貸することができず,その後4年間は賃料半額(3万円)での賃貸を強いられるものと考えられるから,原告Aには288万円(6万円×12か月×2年=144万円と3万円×12か月×4年=144万円の合計288万円)の損害が生じ、本件建物は1階5室,2階5室の合計10室で構成されているところ,その内,本件203号室の両隣と階下の3室については,当初2年間は賃料半額(3万円),その後4年間は8割程度の賃料(4万8000円)での賃貸を強いられるものと考えれるから,原告には388万8000円(3万円×12か月×2年×3室=216万円と1万2000円×12か月×4年×3室=172万8000円の合計388万8000円)の損害が生じ、その合計金676万8000円となるとの主張でした。

○これに対し被告C、D側は、金676万8000円もの損害は過大であり、損害賠償責任があるとしてもせいぜい60万円程度であると主張しました。

○東京地裁平成19年8月10日判決(平19(ワ)4855号)は、先ず「賃貸目的物内で自殺しないようにすることも賃借人の善管注意義務の対象に含まれ」、自殺者賃借人相続人と連帯保証人にはその債務不履行責任があるとして、その責任範囲については、本件居室を自殺事故から1年間賃貸できず,その後賃貸するに当たっても従前賃料の半額の月額3万円での賃貸しかできず,自殺事故から3年後には,従前賃料の月額6万円での賃貸が可能になっていると推認するのが相当であり、原告の逸失利益(中間利息をライプニッツ方式により年5%の割合で控除することとする。)は,1年目が68万5656円(6万円×12か月×0.9523),2年目が32万6520円(3万円×12か月×0.9070),3年目が31万0968円(3万円×12か月×0.8638)であるから合計132万3144円となるとして、金132万3144円の支払を認めました。

○金676万円の請求に対し2割弱の金132万円しか認められなかったのは、賃貸人側としては相当不満であったと思われます。これだけ減額した理由は、建物が都市部で単身者対象居室ワンルームだけで近所付き合いも希薄で自殺の影響はそれほど大きくないとのことでしたが、「賃貸目的物内で自殺しないようにすることも賃借人の善管注意義務の対象に含まれ」ると明言した点は評価できます。
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