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賃借建物で賃借人が殺害された場合の責任

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平成20年 6月12日:初稿
「賃借建物で賃借人が自殺した場合の責任範囲の一例」についての判例を紹介しましたが、今回は、表記賃借建物で賃借人が殺害された場合の責任についての判例を紹介します。

○それは、平成13年1月31日東京高裁判決であり、その要旨は
貸室の賃借人が貸室内で刺殺された際に飛び散った血液等により貸し室が汚損され、貸室の修繕を余儀なくされ、また、貸室の一定期間使用不能になったことから、賃貸人が、「賃借人は故意過失を問わず建物を破損又は滅失したときは、その損害を賠償すること」との賃貸借契約の条項と民法598条、616条の定める原状回復義務に基づき、賃借人の保証人に対してした損害賠償請求について、上記賃貸借契約の条項は、賃借人の無過失責任を定めたものではなく賃借人の故意又は過失に基づく行為により建物が破損等された場合の規定であり、賃借人には貸室の汚損につき故意又は過失がないなどとして、賃貸人の請求を棄却したものです。

○賃貸人は、賃貸借契約約款11条「乙(賃借人)は故意過失を問わず建物を破損叉は滅失したときは、その損害を賠償すること」を賃借人の無過失責任を定めたものとし、仮にそうでないとしても、賃借人は民法598条、616条によって原状回復義務を負うもので、殺害時の血痕等除去のための床・壁の張替や清掃費用と居室の一定期間使用不能による損害の合計約952万円の支払を賃貸借契約の保証人に請求しました。

○これに対し保証人側は、本件貸室の賃貸借契約11条の規定は過失責任を定めたものであり、賃借人は第3者に殺害されたもので過失はなく、貸室汚損についての原状回復責任はなく、また賃貸人は本件加害者に対して損害賠償請求出来、賃借人に損害賠償責任保険に加入させその保険料も支払わせていたのだから更に損害賠償や原状回復を求めることは権利の濫用に当たると主張しました。

○この居室内での殺人被害者賃借人への損害賠償の連帯保証人対する請求について、裁判所は第1審、2審とも、約款11条「乙(賃借人)は故意過失を問わず建物を破損叉は滅失したときは、その損害を賠償すること」との規定の文言「故意・過失を問わず」の字義は「故意であっても過失であっても」というもので、「故意過失の有無を問わず」とまでは解釈できず、また賃借人の責に帰すべきでない事由による建物の破損滅失の責任を賃借人に負わせる合理的な根拠も見いだしがたいので、この規定を賃借人の無過失責任を定めたものではないとして、賃貸人の請求を全て退けました。

○賃借人の自殺による賃貸人の損害賠償責任が連帯保証人に認められるのは然るべきととしても、殺害された被害者の立場の賃借人の連帯保証人に損害賠償請求をするのは、ちとやり過ぎとの感覚があり、この判例は極めて妥当と思います。しかし被害者に大きな過失があって殺害された場合は異なる結論の場合もあるかも知れません。
以上:1,185文字

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