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遺産である預貯金は当然分割説により特別受益制度は適用されない

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平成28年 9月12日:初稿
○「預貯金と特別受益に関する平成25年3月28日水戸家庭裁判所土浦支部判決紹介」、「預貯金と特別受益に関する平成25年10月4日東京高裁決定紹介」で紹介した事案は、私が取り扱った事案ですが,お客様のご了解の上,事案概要を紹介します。

○事案を単純化し、金額を切りの良い数値にして紹介すると以下の通りです。
・被相続人A、相続人は,XとYの2人の子供のみ
・被相続人遺産は,甲土地(東日本大震災津波被災土地で殆ど無価値)と預金1億2000万円、但し内3200万円は、A生前に同居していたYが払戻して費消済みで、A名義預金は8800万円
・Xは、A生前のY払戻金3000万円は特別受益として持ち戻すことを条件に生前贈与と認める
・XがYを相手に遺産分割調停申立、3回目の調停で以下の調停案が出る
 甲土地X取得,
 A名義預金は,X・Y折半として,Yは、生前贈与3200万円については、内1500万円をYがXに返還する
・この調停案が出る前後にYは、A名義預金8800万円の内法定相続分2分の1の4400万円を訴訟手続等で払い戻してしまう
・Xは、預金の内残された4400万円を払い戻し、調停手続き中にA名義預金は全て払い戻されゼロとなる
・Yは、預金は相続開始と同時に当然分割され,て産分割の対象ではなく,既に払い戻されており、本件での遺産は甲土地のみでX取得を認めると主張
・Xは、YがA生前払い戻した3200万円は、特別受益として持ち戻し,Xが2分の1の1600万円を取得する、調停案の通りYはXに1500万円を返還すべきと主張
・Yが拒否し調停不調となり審判となる
・Xは、預貯金当然分割説を採用したのでは,預貯金に関しては,民法第903条特別受益制度が適用されないことになり不当と主張して結審


○「預貯金と特別受益に関する平成25年3月28日水戸家庭裁判所土浦支部判決紹介」の結論は,Xが実質A遺産である1億2000万円の預貯金から4400万円を取得できたのだから,特別受益制度を適用しなくても「衡平の見地から著しく不相当とまではいえない。」としたものです。

○Yが、3200万円は生前贈与であり、特別受益については,A生前持ち戻し免除の意思表示をしていたので、特別受益は適用されないとの主張もしました。しかし、「A生前持ち戻し免除の意思表示」の立証は到底不可能な事案でした。持ち戻し免除の意思表示が認められれば,遺留分侵害が問題になるだけで,本件は遺留分は4分の1で、1億2000万円の遺留分相当額は4000万円となります。従って4400万円をXが取得した以上,遺留分侵害はありません。

○一審水戸地裁土浦支部判決では,実質,遺留分侵害がないので「預貯金だけで1億円を超える遺産があったのであり,本件預貯金を遺産分割の対象に含めなければ,衡平の見地から著しくとまではいえない。」と理由付けしましたが、抗告審東京高裁では,「仮に抗告人の主張する特別受益の存在が認められるとしても,別紙「答弁書」によれば,本件では,抗告人の遺留分を侵害するほどの実質的な不均衡は生じていないこととなる。」と述べて,当然分割される預貯金についての生前贈与は、「遺留分侵害」がない限り,特別受益制度は適用されないとしています。

○この事案で、被相続人Aが亡くなる前3年ほど,YはAと同居し,その間,A名義預金から3200万円を払い戻しました。私は,この3200万円払戻は,A預金を無断で払い戻したとしてYに対し不法行為或いは不当利得返還請求訴訟を提起する手段もあると伝えたところ,Xは、たった2人の姉弟なのでそこまでせず遺産分割協議で解決したいとの希望を示されました。

○しかし、遺産分割では,高裁段階でも特別受益制度を無視されてしまい、最高裁への特別抗告は敢えてせず、仙台地方裁判所に不当利得返還請求訴訟を提起しました。Yは、当然,生前贈与を主張しましたが、2人目の裁判官に贈与立証は厳しい旨示唆されて最終的には,一定金額をYがXに返還するとの和解で解決しました。
以上:1,650文字

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