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会社役員報酬減額なしでの休業損害・逸失利益についての参考判例紹介3

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平成28年 9月13日:初稿
○「会社役員報酬減額なしでの休業損害・逸失利益についての参考判例紹介2」の続きです。
被告会社所有、被告運転のタクシーが、信号待ちで停車していた貨物車に追突し、これにより左膝蓋骨骨折等の傷害を負い左膝痛など障害等級12級13号該当の後遺障害を負った乗客である原告(症状固定時36歳)及び同人を代表取締役とする原告会社が損害賠償を求めた事案で、原告には本件事故による減収はないが、仕事の大半が立ち仕事で左膝への負担が大きいことなどからすると後遺障害逸失利益が発生しているとして、原告の報酬のうち労務対価部分に相当する役員報酬の8割を基礎に、労働能力喪失率を1割4分、同喪失期間を31年として逸失利益額を算定するなどし、また、原告会社の損害につき、原告会社が原告の休業期間中に支払った役員報酬は本来原告が被告らに対し直接請求できる損害を肩代わりしたものであるとして、役員報酬のうちの労務対価部分を基礎に、休業期間を79日として損害を算定し、各請求を一部認容した平成24年12月20日横浜地裁判決(交民45巻6号1548頁)全文を2回に分けて紹介します。

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主  文
一 被告らは、原告X1に対し、連帯して、1999万3943円及びこれに対する平成21年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告有限会社X2に対し、連帯して、170万8356円及びこれに対する平成21年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
三 原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、これを10分し、その8を被告らの負担とし、その余は原告らの負担とする。
五 この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

一 被告らは、原告X1に対し、連帯して、2384万1061円及びこれに対する平成21年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告有限会社X2に対し、連帯して、330万9355円及びこれに対する平成21年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要等
一 前提となる事実(証拠を掲げた事実以外は当事者間に争いがない。)

(1) 平成21年10月10日午前3時14分ころ、横浜市保土ヶ谷区狩場町214番地先路上において、被告Y2株式会社(以下「被告会社」という。)が所有し、被告Y1(以下「被告Y1」という。)が運転するタクシーが、信号待ちにより停車していた普通貨物自動車に追突した(以下「本件事故」という。)。原告X1(以下「原告X1」という。)は、本件事故当時、上記タクシーの後部座席に客として乗車していた。

(2) 被告会社は、被告Y1の使用者である。

(3) 本件事故は、被告Y1の前方注意義務違反によって発生した。

(4) 原告X1は、本件事故により左膝蓋骨骨折の傷害を負い、以下のとおりa会b病院に入院又は通院して治療を受けた。〔入通院期間につき乙一〕
ア 平成21年10月10日から同月31日まで 入院
イ 平成21年11月1日から平成22年5月5日まで 通院
ウ 平成22年5月6日から同月10日まで 入院
エ 平成22年5月11日から平成23年1月13日まで 通院

(5) 原告X1は、前記治療後も左膝痛、可動域制限、筋力低下が残り、平成22年9月16日をもって症状固定との診断を受けた。原告X1は、上記左膝痛等について、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、自賠法施行令別表第二第12級13号(以下「12級13号」という。)に該当するとの後遺障害等級認定を受けた。〔後遺障害の内容及び症状固定日について甲三、乙一〕

(6) 原告有限会社X2(以下「原告会社」という。)は、飲食業等を目的とする有限会社であり、飲食店「c」を経営していた。原告X1は、原告会社の代表者取締役であり、c店の店長である。〔甲7、11)

(7) 原告X1は、本件事故による損害の填補として、被告ら側から550万0914円を受領している。

二 事案の概要
(1) 原告X1は、本件事故により、合計2384万1061円の損害を被ったと主張して、被告Y1に対しては民法709条に基づき、被告会社に対しては民法715条に基づき、上記金額及びこれに対する本件事故の日である平成21年10月10日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。

(2) 原告会社は、本件事故により合計330万9355円の損害を被ったと主張して、被告Y1に対しては民法709条、被告会社に対しては民法715条に基づいて(上記のうち194万7945円については、予備的に、原告会社が原告X1に同額の給与を支払ったことによる事務管理者の費用償還請求権又は不当利得返還請求権に基づいて)、上記金額及びこれに対する本件事故の日である平成21年10月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。

三 争点及びこれに対する双方の主張
(1) 原告X1の損害額(争点一)

ア 原告X1の主張
(ア) 治療費 328万6815円
(イ) 入院雑費 4万0500円
(ウ) 後遺障害逸失利益 1907万7660円
 原告は、平成21年には900万円の年収を得ていたところ、本件事故による後遺障害のため、67歳までの29年間(ライプニッツ係数15・141)、14パーセントの労働能力を喪失した。したがって、原告X1の本件事故による後遺障害逸失利益は、以下のとおり1907万7660円である。
 900万円×0.14×15.141=1907万7660円
(エ) 入通院慰謝料 187万円
 原告X1の本件事故による入院期間は一か月、通院期間は13か月であるから、原告の入通院慰謝料は187万円が相当である。
(オ) 後遺障害慰謝料 290万円
 原告の後遺障害の程度(12級13号)に相当する慰謝料の額としては、290万円が相当である。
(カ) 既払金 550万0914円
(キ) 弁護士費用
216万7000円
 前記(ア)から(オ)までの合計額から(カ)を控除した金額は2167万4061円となるところ、弁護士費用としては、その約10パーセントに相当する216万7000円が相当である。

イ 被告らの主張
(ア) 治療費及び既払金については認め、その余は争う。
(イ) 後遺障害逸失利益について
 原告X1は、原告会社の代表者であり、その利益の帰するところであって、実際に減収もないのであるから、逸失利益は認められない。仮に逸失利益が認められるとしても、基礎収入は、労働の対価としての収入に限られるべきである。また、後遺障害が12級13号であることからすれば、労働能力喪失期間は10年程度とするのが相当である。
(ウ) 入通院慰謝料
 原告X1の症状固定日は平成22年9月16日であるから、入通院慰謝料は、入院27日、通院期間は10か月と10日余りであることを、また症状固定日前の通院は同年6月25日であることなどを基礎として算定されるべきである。

(2) 原告会社の損害額(争点二)
ア 原告会社の主張
(ア) 原告X1への給与相当額の支払い 194万7945円
 原告X1は、本件事故により79日間休業しており、その問原告会社に対し労務を提供することができなかったが、被告らが原告X1に対し休業損害を支払わなかったことから、原告会社は、妻子のある原告X1の生活を案じて、この間の給与相当額194万7945円(900万円÷365×79日)を支払った。

(イ) 代替人員の人件費 87万7010円
 原告会社は、原告X1の休業期間中、原告X1の代わりにc店で働く者を雇い入れた。これらの者に対する給与は、合計87万7010円である。

(ウ) 代替人員を雇い入れるまでの逸失利益 18万4400円
 原告会社は、平成21年10月10日及び同月12日の2日間は、急な事故のために従業員の手当をすることができず、c店を休業した。c店の平成21年7月ないし9月の売上額(平均230万5000円)及び一か月間の営業日数(25日)に照らすと、上記2日間に得られたであろう営業利益は18万4400円である。

(エ) 弁護士費用
 前記(ア)ないし(エ)の合計額は、300万9355円となるところ、弁護士費用としては、その約10パーセントに相当する30万円が相当である。

イ 被告らの主張
 原告会社の損害は、間接損害であり、本件事故との間に相当因果関係が認められるかについては疑義がある。原告会社には従業員及びアルバイトが数名いたのであって、原告X1と原告会社との間にいわゆる経済的同一性は認められないから、企業損害が認められる基礎を欠く。また、原告会社においては、前々期、前期と対比して売上げは維持されており、売上げの減少があるとしても、景気変動の範囲内である。また、代替雇用によって原告会社の営業が継続され、経営者である原告X1の収入も含めて維持されたというべきであるから、仮に原告会社の損害が認められるとしても、代替労働費のみであり、原告X1の得た収入を二重に認めるべきではない。

以上:3,817文字

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