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DNA鑑定99.999998%父子でなくても法律上は父子とした最高裁判決紹介2

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平成27年11月21日:初稿
○「DNA鑑定99.999998%父子でなくても法律上は父子とした最高裁判決紹介1」の続きで、同じに日に出された平成26年7月17日最高裁第一小法廷判決(平24(受)1402号)全文を紹介します。結論は、「DNA鑑定99.999998%父子でなくても法律上は父子とした最高裁判決紹介1」と同じです。

○某タレント元夫婦間の父の子に対する親子関係不存在判決が話題になっています。この元夫婦の子は、婚姻後200日目に生まれたため嫡出推定が働きません。嫡出推定は「200日を経過した後」生まれた子すなわち201目以降に生まれた場合に働きます。僅か1日の違いで嫡出推定が働かず、DNA鑑定の結果、父子関係不存在が認められました。

○DNA鑑定99.999998%父子でなくても法律上は父子とした最高裁判決によれば、このタレント元夫婦間の子も、あと1日生まれるのが遅ければ、嫡出否認の訴えの出訴期間1年が経過して嫡出否認の訴えを提起できず、法律上の父子関係は永遠に継続できました。

○私自身は、「嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは,相当でない。民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は,家庭内の秘密や平穏を保護するとともに,平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから,このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ,かつ,生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては,嫡出推定が排除されるべき」との高裁の考え方の方が、妥当と思っております。

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主  文
原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
本件訴えを却下する。
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。 

理  由
 上告代理人○○○○の上告受理申立て理由について
1 本件は,戸籍上上告人の嫡出子とされている被上告人が上告人に対して提起した親子関係不存在の確認の訴えである。

2 記録によって認められる事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 上告人と甲は,平成11年▲月▲日,婚姻の届出をした。

(2) 甲は,平成20年頃から乙と交際を始め,性的関係を持つようになった。
 しかし,上告人と甲は同居を続け,夫婦の実態が失われることはなかった。

(3) 甲は,平成21年▲月,妊娠したことを知ったが,その子が乙との間の子であると思っていたことから,妊娠したことを上告人に言わなかった。
 甲は,同年▲月▲日に上告人に黙って病院に行き,同月▲日に被上告人を出産した。

(4) 上告人は,平成21年▲月▲日,入院中の甲を探し出した。
 上告人が甲に対して被上告人が誰の子であるかを尋ねたところ,甲は,「2,3回しか会ったことのない男の人」などと答えた。
 上告人は,同月▲日,被上告人を上告人と甲の長女とする出生届を提出し,その後,被上告人を自らの子として監護養育した。

(5) 上告人と甲は,平成22年▲月▲日,被上告人の親権者を甲と定めて協議離婚をした。
 甲と被上告人は,現在,乙と共に生活している。

(6) 甲は,平成23年6月,被上告人の法定代理人として,本件訴えを提起した。

(7) 被上告人側で私的に行ったDNA検査の結果によれば,乙が被上告人の生物学上の父である確率は99.999998%であるとされている。

3 原審は,次のとおり判断して本件訴えの適法性を肯定し,被上告人の請求を認容すべきものとした。
 嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは,相当でない。民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は,家庭内の秘密や平穏を保護するとともに,平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから,このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ,かつ,生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては,嫡出推定が排除されるべきである。上告人と被上告人との間の生物学上の親子関係の不存在は科学的証拠により客観的かつ明白に証明されており,また,上告人と甲は既に離婚して別居し,被上告人が親権者である甲の下で監護されているなどの事情が認められるのであるから,本件においては嫡出推定が排除されると解するのが相当であり,本件訴えは適法というべきである。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには,夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁,最高裁平成8年(オ)第380号同12年3月14日第三小法廷判決・裁判集民事197号375頁参照)。

 そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから,上記の事情が存在するからといって,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。このように解すると,法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが,同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものと解される。

 もっとも,民法772条2項所定の期間内に妻が出産した子について,妻がその子を懐胎すべき時期に,既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ,又は遠隔地に居住して,夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合には,上記子は実質的には同条の推定を受けない嫡出子に当たるということができるから,同法774条以下の規定にかかわらず,親子関係不存在確認の訴えをもって夫と上記子との間の父子関係の存否を争うことができると解するのが相当である(最高裁昭和43年(オ)第1184号同44年5月29日第一小法廷判決・民集23巻6号1064頁,最高裁平成7年(オ)第2178号同10年8月31日第二小法廷判決・裁判集民事189号497頁,前掲最高裁平成12年3月14日第三小法廷判決参照)。しかしながら,本件においては,甲が被上告人を懐胎した時期に上記のような事情があったとは認められず,他に本件訴えの適法性を肯定すべき事情も認められない。

5 以上によれば,本件訴えは不適法なものであるといわざるを得ず,これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,第1審判決を取り消し,本件訴えを却下すべきである。
 よって,裁判官金築誠志,同白木勇の各反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官櫻井龍子,同山浦善樹の各補足意見がある。
以上:3,107文字

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