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民法第921条で単純承認とみなされない遺産分割協議

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平成23年 7月12日:初稿
○「民法第921条で単純承認とみなされる”処分”1」で、この処分の典型例として遺産分割協議を上げましたが、遺産分割協議をしても、「処分」にみなされない例もあり、その例として、平成10年2月9日大阪高裁決定(家月50巻6号89頁、判タ985号257頁)を紹介します。

事案は、
・平成9年4月30日に死亡した被相続人Aの長女であるBらは、同年8月1日に共同相続人Cらに遺産の全部を取得させる旨の遺産分割協議をした
・同年9月29日に相続債権者から請求を受け、Cから事情聴取した結果、Aには総額で約5000万円以上の多額の相続債務の存在が明らかになった
・そこでBらは同年11月1日に相続放棄申述をしたが、原審神戸家裁では、Bらは遺産分割協議をしこれにより遺産について処分行為をしたもので、法定単純承認事由に該当し、本件申述は単純承認後になされたものであるから、不適法であるとして却下し
・Bらは、本件遺産分割協議は実質的には相続放棄の趣旨であり、単純承認事由とみるべきではないとして抗告

したものです。

○これに対し、平成10年2月9日大阪高裁決定は、一部の相続人に遺産の全部を取得させる旨の遺産分割協議がなされた後、予期に反する多額の相続債務があった場合、分割協議が錯誤により無効となり、ひいては単純承認の効果も発生しないとみる余地があるとして、原審判を取り消して差し戻しました。
 決定理由は、以下の通りです。

もっとも、抗告人らは、他の共同相続人との間で本件遺産分割協議をしており、右協議は、抗告人らが相続財産につき相続分を有していることを認識し、これを前提に、相続財産に対して有する相続分を処分したもので、相続財産の処分行為と評価することができ、法定単純承認事由に該当するというべきである。

しかし、抗告人らが前記多額の相続債務の存在を認識しておれば、当初から相続放棄の手続を採っていたものと考えられ、抗告人らが相続放棄の手続を採らなかったのは、相続債務の不存在を誤信していたためであり、前記のとおり被相続人と抗告人らの生活状況、Bら他の共同相続人との協議内容の如何によっては、本件遺産分割協議が要素の錯誤により無効となり、ひいては法定単純承認の効果も発生しないと見る余地がある。そして、仮にそのような事実が肯定できるとすれば、本件熟慮期間は、抗告人が被相続人の死亡を知った平成9年4月30日ではなく、国民金融公庫の請求を受けた平成9年9月29日ころから、これを起算するのが相当というべきである。

そうすると、本件申述を受理すべきか否かは、前記相続債務の有無及び金額、右相続債務についての抗告人らの認識、本件遺産分割協議の際の相続人の話合の内容等の諸般の事情につき、更に事実調査を遂げた上で判断すべきところ、このような調査をすることなく、法定単純承認事由があるとして本件申述を却下した原審判には、尽くすべき審理を尽くさなかった違法があるといわなければならない。なお、申述受理の審判は、基本的には公証行為であり、審判手続で申述が却下されると、相続人は訴訟手続で申述が有効であることを主張できないから、その実質的要件について審理判断する際には、これを一応裏付ける程度の資料があれば足りるものと解される。








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