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利益相反・利害対立の典型例考察

平成24年 9月24日:初稿
○「職務を行い得ない事件-利益相反・利害対立とは」の続きで、処理を誤ると懲戒になる利益相反・利害対立事件についての備忘録です。
関連弁護士職務基本規程を掲載します。
第28条(同前)
 弁護士は、前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第1号及び第4号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合、第2号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方が同意した場合並びに第3号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない。
(中略)
3 依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
4 依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件

第32条(不利益事項の説明)
 弁護士は、同一の事件について複数の依頼者があってその相互間に利害の対立が生じるおそれがあるときは、事件を受任するに当たり、依頼者それぞれに対し、辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれのあることを説明しなければならない。

第42条(受任後の利害対立)
弁護士は、複数の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。


債務整理・破産申立事件と連帯保証人
私の経験では、利益相反例で最も多いのは、当初主たる債務者Aの債務整理を依頼され、その過程で債務の中に連帯保証人Bが付いている場合の連帯保証人としての債権者Cとの債務弁済交渉でした。
債務者Aが債務超過状態となり、弁護士による債務整理或いは破産手続を依頼する状況となった場合、期限の利益を喪失し、債権者Cはここぞとばかり連帯保証人Bに対し全額支払の請求をすることになります。

○主たる債務者Aの債務が期限の利益を喪失すると連帯保証人BはAに対し事前求償権債権を取得しAはBの債務者となりAとBは利益相反状態になります。従って原則としておなじ弁護士がAの債務整理とBの連帯保証債務弁済事件を職務として扱ってはならないことになります。しかし、弁護士職務基本規程第28条本文但し書きの「第3号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない。」との規定によるA・Bが同意すれば職務としておなじ弁護士が扱うことは可能です。

○しかしその後BがAに対し実際に求償債権を請求するなどして対立した場合、弁護士職務基本規程第42条により「依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置」即ち多くの場合辞任しなければなりません。そこで私は、このような事件を受任する場合は、以下の確認書を取っていました。
1.利益相反説明確認
 小松弁護士からA・B間は利益相反関係にあることの説明を受けて納得した上でA・Bとして小松弁護士に依頼することを確認します。
2.利害対立が生じた場合
 将来、A・B間で利害対立が生じて小松弁護士のA・B両名代理人としての職務遂行が困難になった場合、A・B両名の代理人の辞任を認め、支払済み着手金の返還は求めません。

 ただ、債務整理事件が増え、Bの連帯保証人債務弁済事件は、Aの債務整理事件の付録サービスで無料で行うことが多くなってからは、いちいちこのような確認書は取らなくなりました(^^;)。

遺産分割事件
利益相反事例で次に多いのは遺産分割事件で相続人A・Bから対立する他の相続人Cに対する遺産分割交渉・調停申立の依頼です。相続人A・B・C間は、法律的には全て利益相反状態ですが、分配方法等について利害対立はケースバイケースです。特に多いのは遺産の殆ど独り占めを図る長男に対し、次男以下が民法の規定通り均等相続を主張して争う場合です。

○この場合、当初A・B間の利害は一致していても将来、具体的な遺産の分配を巡って対立関係になる可能性が高く、A・B両者から委任を受ける場合は、原則として事前に上記確認書を取っています。遺産分割調停の場合、A・B共同申立をしても調停成立の時点では、代理人となるのはいずれか1人だけに制限される取り扱いが多く、この点もお客様への事前説明が必要です。

遺言執行事件
注意すべきは遺言執行者の場合です。被相続人甲生前に甲と相続人長男Aから、相続人妻B、長女C、二男Dに対する遺産分配を決める遺言書作成を依頼されて弁護士が遺言執行者となり、預金払戻等の遺言執行業務を行った後、二男Dから長男Aに遺留分減殺請求がなされて、おなじ弁護士が長男Aの代理人となることは弁護士職務基本規程違反として許されません。遺言執行者は全相続人の代理人として中立公正な立場にあり、特定の相続人の代理人になることは、利益相反する事件の代理人になるとみなされるからです。これに違反して懲戒処分を受けた弁護士は結構見受けられます。

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