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”新司法試験 法科大学院離れ拍車”雑感

平成24年 9月25日:初稿
○人間は基本的に欲張りに作られていますので、山は高ければ高いほど挑戦意欲を掻き立てられます。旧司法試験時代、合格率2%以下という凄まじいと評価する超低合格率のとき3万人近い受験生を集めていたものが、新司法試験になって目標合格率75%なんて標語を掲げたら高い山を目指す心意気の人間は興味がなくなります。実際は20数%と止まりとしても、旧試験時代の2%以下の時代から比べたら遙かに合格率が高くなっていますので、高い山を目指す人は目指さなくなるのは当然です。

○さらに加えて法科大学院なんて余計なものが出来て、2年乃至3年合計数百万円の費用をかけて法科大学院卒業資格を得なければ司法試験を受けられないとなれば、益々、司法試験を目指す人が少なくなるのは目に見えており、結局、新司法試験になってからかつて3万人近くいた受験者が4分の1近いの8000人に減るのも当然です。

○「法科大学院は、実務家のため必要な教育を行う場所。」との触れ込みで、私は、新司法試験合格者は、少なくとも司法研修所前期分を終えたほどの力を付けてくるとばかり思っていましたが、新司法試験合格者2名の司法修習指導教官を担当して驚きました。その力は、司法研修所前期どころではありませんでした。聞いてみると実務教育なんて受けた形跡がありません。

○日弁連幹部役員が、「法科大学院は、実務家のため必要な教育を行う場所。『早く受かりたい』という理由で予備試験を選ぶという態度は、制度の趣旨と懸け離れている」なんてことを本気で言ってるとは、正にアンビリーバブルです。

○山が低くなって魅力がなくなったところに、余計な回り道が出来て、その山を目指す人が減り続けるのは目に見えています。登りやすくするため山を低くしたのであれば、これを徹底して、余計な回り道など止めてしまえと言うのが、私の一貫した意見ですが、「法曹養成制度検討会議」(座長=佐々木毅学習院大教授)においては徹底した見直し策を期待しているところです。

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新司法試験 法科大学院離れ拍車
東京新聞 2012年9月24日 朝刊


 11日に合格発表があった新司法試験で、法科大学院修了を受験の条件としない予備試験組の合格率が68%に上り、関係者に衝撃を与えている。経済的事情などを考慮して設けられた「例外ルート」だが、どの法科大学院よりも高かったからだ。これをきっかけに法科大学院離れが進み経営悪化に拍車が掛かるとの見方も出ている。

 「厳しい結果だ。優秀な人材が予備試験を目指す流れができかねない」。文部科学省の幹部は暗い表情でつぶやいた。

 2012年度の法科大学院受験者は、制度が始まった04年度の約4割。73校中63校で定員割れとなり、地方を中心に経営を圧迫している。今年は合格率10%未満の学校が20校に上り、厳しい現状に追い打ちを掛けた。

 予備試験の目的は、学費が払えない、仕事を辞められないといった事情で法科大学院に通えない人の救済。初めて行われた昨年は6477人が受験し116人が通過。うち85人が今年の司法試験を受け、58人が合格。狭き門をくぐり抜けた受験者とはいえ、合格率はトップの一橋大(57%)を10ポイント以上上回った。

 予想外だったのは、58人のうち26人が大学生、8人が法科大学院生だったことだ。法務省幹部は「合格率が高いことは予想できたが、学生がこれほど多いとは…」と驚きを隠さない。

 政府が法曹養成の中核と位置付ける法科大学院は「人間的に豊かな法曹」を育てるのが目的とされるが、生き残りをかけて受験対策に重点を置いたため「予備校化」している大学も散見される。

 今回の試験結果は、そうした現状の法科大学院すら迂回(うかい)し、予備試験を「金と時間を節約する抜け道」(法務省幹部)として利用した受験生がいる可能性を浮かび上がらせた。

 「仕事を辞めることは全く考えていなかったので、予備試験があってよかった」。東京都文京区の投資運用会社社員(40)は、予備校の通信教育で勉強。法科大学院には通わず念願をかなえた。

 一方で「早く合格して、社会に出たかった」と予備試験を選んだ理由を話すのは東京大法科大学院の男子学生(22)。「法科大学院の授業は丁寧だけど、司法試験にはプラスにならない」と話す。

 司法試験向け予備校「伊藤塾」の佐藤修一執行役員は「大学生は在学中に予備試験に挑戦し、駄目なら法科大学院に行けばいいと考える。予備試験を目指す学生は今後増えるだろう」と分析。

 日弁連の中西一裕事務次長は危機感を募らせる。「法科大学院は、実務家のため必要な教育を行う場所。『早く受かりたい』という理由で予備試験を選ぶという態度は、制度の趣旨と懸け離れている」。


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