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公正な社会構築に弁護士増員必要論雑感

平成20年11月 6日(木):初稿
「平成20年11月5日朝日私の視点への第二東京弁護士会岡田和樹弁護士投稿」が話題になっています。
岡口裁判官ブログのボツネタ経由コメント欄によるとその趣旨は以下の通りです。
・当初の構想に従って法科大学院修了者の7~8割を合格させるべきだ。
・米国やドイツとの人口比からして、日本で年間4千人程度の弁護士資格者が誕生しても何ら問題ない。
・合格率7割の米国の司法試験について合格者の質を問題にする声はない。
この程度の合格率は多様な社会経験者や能力を持つ人が弁護士を目指すために不可欠。
・米国などでは徹底した証拠開示制度があり、公正な社会を築くために不可欠な制度、制度導入のためには多くの弁護士が必要。
・合格者4千人に増やしても質を心配する必要はない。弁護士の仕事は、普通の知的能力と誠実さがあればできる。


○これに対し、米国では弁護士全体に不信感がもたれており、公正な社会構築のための証拠開示制度と弁護士増員には因果関係が無く、4000人も合格させれば質が心配だとの反論が出されていますが、私自身も同感です。ただ問題は質を心配しているのが、ユーザー側の声ではなく、日弁連を初めとする法曹自身側の声だけが大きいという点が気になります。

○弁護士3000人或いは4000人時代となった場合、500人或いは1000人時代より弁護士の質が落ちるのは当然です。問題は,弁護士を使うユーザー側において質が落ちることを当然の前提として、それでもなお、弁護士の数を増やせと言っているように聞こえることです。これまでは弁護士は数が少なくエリート意識が強く殿様商売が横行してきたので、弁護士の数を増やしてその地位を下げ、ユーザーにとって使いやすい弁護士にしたいとの強い意向です。

○だとするといくら法曹自身が質が落ちて心配だと言っても、ユーザー側からすればそんなことは百も承知、余計なお世話であり、貴方方法曹自身にそんな心配をして貰う必要はないと言われればそれまでです。韓国では弁護士激増政策を採り,弁護士が激増した結果、弁護士間の醜い仕事の奪い合いが生じているとの現状から日本の増員政策に反対しても、ユーザー側には弁護士の厳しい競争時代は当然のことと言われるだけで、増員政策見直しに向けての説得力は持たないと思われます。

○弁護士大増員の結果、これまでは弁護士という肩書きがついていれば、その肩書きを守るため変なことはしないだろうとの安心感があったものも失われる時代となるでしょうが、これを失った結果、ユーザー側も厳しく弁護士を選択する必要がありますが、これも百も承知と言われそうで、ユーザー側に対する増員政策見直しの説得力を持った言い訳が見つからないことが辛いところです。
以上:1,121文字

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