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熱情-田中角栄をとりこにした芸者

平成16年10月11日(月):初稿 平成17年 1月 8日(土):更新
田中角栄氏の二号さんの辻和子氏が書いた「熱情-田中角栄をとりこにした芸者」を読んだ。

昔から田中角栄ファンを自称している私は、表題に田中角栄と言う名が入っていると中身も確認せず購入してきた。お陰でいわゆる田中角栄本が数十冊自宅の書棚に飾ってある。尤もただ積ん読で、殆ど中身を読んでいない本も相当数ある。立花隆氏の「田中角栄研究」もその一つだ。

ファンを自称するだけあって好意的に書いていない本は、受け付けないようだ。昨年、同じ立花隆氏が書いた「田中真紀子研究」の方はじっくり読み大変勉強になった記憶がある。この本は、「田中真紀子研究」とあるが、実際は、田中真紀子を通じた田中角栄新研究だった。従前の批判一辺倒の記述が、相当、変更され、好意的記述があるように感じたので読み進むことが出来た。

平成16年6月、田中角栄氏長男田中京氏著「絆-父・田中角栄の熱い手」も発売と同時に購入して読んだが、内容は淡々としたもので、殆ど気持が動かず、感動も残らなかった。
どうしてかなと思っていたら、本日、京氏の母親辻和子氏の著作を読んでその疑問が解けたような気がした。
それは、人間田中角栄に対する思い入れの質・量の違いと、京氏の記述には、本音を綴った事実の重みが欠けていたからと思われた。

母和子氏は、京氏と父角栄氏は、性格が合わず、幼少時からの父角栄の余りに厳しいしつけ-体罰-に、だんだん父親嫌いになり、思春期以降は反抗的な態度を取るようになり、「三つ子の魂」のたとえどおり、父に対するわだかまりはずっと残ったままとなり、これに懲りた角栄氏は、6歳下の弟の祐氏は、しつけも厳しく当たらず、徹底して可愛がり、祐氏は京氏と違って父親っ子になったという。

おそらく京氏としては、父に可愛がられる弟祐氏に対し強い嫉妬を感じ、父角栄氏を巡って弟と微妙な関係に苦悩したこともあったと思われるがその辺の本音が全く書かれておらず通り一遍というか表面的体裁を繕った感じの表現が多く、人間田中角栄が見えてこなかった。溺愛した二男と反抗してきた長男との確執に悩む父親角栄氏の人間の姿を見たかったが。

その点、辻和子氏のこの記述は、開けっぴろげに事実を記載した面があり、人間田中角栄の姿が見え、時に大笑いしながら、時に感動に涙を流しながら読み、読了後は満足感で一杯だった。田中角栄に限らず人間研究に参考になる本であり、一読をお薦めする。

角栄氏は大の焼き餅焼きであり、手も早く、カッとなると、すぐそのへんにあるものをつかんで投げるので、いつも出来るだけ部屋を片づけておくようになったとの記述には、大笑いし、偉大さばかり強調して伝えられる角栄氏の人間味を感じ、益々ファンになった。
以上:1,113文字

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