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頸椎捻挫治療の問題点-ある医者の感想に共感

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平成22年11月 5日:初稿
○当事務所では、ここ数年、全て被害者側だけ常時20数件の交通事故事件を抱えていますが、多くの割合を占めるのが、外傷性頚部症候群で、後遺障害等級第12級の獲得をめざすものです。外傷性頚部症候群は、多岐の複合的な症状に見舞われ,大変、苦しいものですが、他覚的所見が乏しいものが多く、そのため従前の器質損傷がないと痛み・しびれ等の神経症状の存在を認めないに等しい考え方の医者から、異常なしの診断を出されて、後遺障害等級第14級すら認められない事案も多々あります。

○その外傷性頚椎症候群の原因の一つに脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)があり、「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の基礎」で私なりの解説をしておきましたが、平成22年11月現在、この脳脊髄液減少症を外傷性頚椎症候群の一つとして損害賠償請求している事案を5件抱えています。そこで現在、むち打ち症と脳脊髄液減少症を関係を解明した国際医療福祉大熱海病院の篠永正道(しのなが・まさみち)教授(脳神経外科)作成文献を集めて必死に勉強中です。入門書としては、「あなたの『むち打ち症』は治ります!―脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の決定的治療法」が最適と思われます。

○この「あなたの『むち打ち症』は治ります!―脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の決定的治療法」には、篠永教授以外の専門医の報告が多数記述されていますが、この中で日向市立東郷病院整形外科山口良兼医師の、脳脊髄液減少症に限らない交通事故むち打ち症(頚椎捻挫、外傷性頚椎症候群)に関する素晴らしい文章を発見しました。多くのむち打ち症の相談を受けて感じたことが専門医の言葉で判りやすく記述されており感激しました。以下、備忘録です。

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頸椎捻挫治療の問題点

 西洋医学では、病名による処方や、既知の実証された病態生理に対して、治療が決定されています。このため、長引く頸椎捻挫や、自律神経失調症をともなった病態には、有効な治療法が少なく、抗不安薬や抗うつ薬などの処方が始まり、体調がおかしくなり、手に負えなくなると精神科を紹介するという図式が存在するのです。

 精神科に行くと、さらに処方は強化され、往々にして体調をくずす場合が多くみられます。患者さんは、頸椎捻挫に由来する痛みやこり、さまざまな症状を起こす脊椎や神経系の異常を治してほしいのであり、それを感受する精神の問題ではないのです。
 しかし、不幸なことに、担当の整形外科医は、西洋医学的には異常とする理論がないため治療する方法が無く、「医学的には異常なし」といってしまうのです。

 頸椎捻挫の患者さんの診療の際、整形外科の研修医に先輩の整形外科医は、「あまり深く考えず、相手にしなくていい」と、よくアドバイスをしています。しかし、整形外科医が学ぶべきことは、もっと力学的、構造的に明快な病態や脊髄や神経の異常をどうこだわりを持って治療するかということです。

 変ないい方をすれば、整形外科は腕のいい人体の大工になるための修行を行っているともいえますが、そのため、動悸、頭痛、めまい、全身倦怠感、耳鳴り、目のかすみ、難聴、などの不定愁訴は、まったくもって専門外であり、そういったことはほとんどわからないため、他科にお願いすることになります。

 しかし、依頼された他科の医師も、たとえば眼科を例にあげますと、目に関連することには詳しいのですが、それが脊椎に由来する症状だとすると、まったく素人同然となって「肩こりからくる症状です」となるわけです。

 そして最終的には、心療内科、精神科へとまわされ、本丸であるはずの脊椎に関する治療ができなくなり、患者は絶望してしまうのです。

 社会的問題をあげれば、頸椎捻挫に対する認識が、あまりにも実情と合っていません。また、治療に最善な方法が、保険の制約があるために、十分に行えないという問題も存在します。頸椎捻挫の有効な治療の研究があまりにもされてないため、治療の必要性の認識がなく、社会も患者さんを間接的に迫害しています。

 頸椎捻挫の治療は、なぜこの何十年も進歩がなかったのでしょう?たとえば、ガン治療などは、ゲノム解析(※小松注;ゲノム-生物体を構成する細胞に含まれる染色体の一組、または、その中のDNAに含まれる遺伝情報の全体を指す言葉-解析とは、生物のゲノムのもつ遺伝情報を総合的に解析すること)のレベルまで進んできています。しかし、頸椎捻挫の治療は、相変わらず、頸椎カラー固定、投薬、頸椎牽引、他の理学療法(電気、温熱、レーザーなど)であり、依然として医学の進歩は止まったままです。
 これは、医学界の大きな怠慢であり、国政レベルでも研究機関の設立が必要であるといえましょう。

 交通事故の責任を持つ国家、自動車メーカー、ドライバーなどからの基金を法制化し、国家は責任を負うべきでしょう。また、損保会社は交通事故傷害に対して、正当な後遺症対策を行うべきです。

 私は、これまで、数多くの後遺症の診断書を書いてきました。その経験からいいますと、現在のむち打ち症のさまざまな不定愁訴に関する認定事項がなく、また事故に由来するPTSD(外傷後ストレス障害)に対しても十分な配慮がなされていないと思います。

 補償に対して金額がかかって困るなら、研究機関の設立にお金と労力をかけるべきでしょう。また、交通事故を利用する不逞の輩がいると主張されるなら、そういった者が嘘をつけないように、医学の進歩に貢献するのが、社会責任であり、社会正義といえるのではないでしょうか。
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