昭和50年11月12日(水):初稿 平成17年 8月12日(金):更新 |
拝啓 お手紙拝見しました。行間から熱気がただよってくるようで、嬉しく存じます。何が大切かといっても、最も大切なのは、さめた気魄です。 貴殿のご希望了承しました。スケジュールに従い、当方より問題をお送りします。全く本番と同じように解答してください。 ただ、やりっ放しはダメです。必ず復習してください。 論文合格の秘訣はただ一つです。論点につき、いかなる結論をとり、いかに理由づけるか、です。何枚書くか、字の大きさ等は、小さいことです。 全ての論点(実際は60%ぐらいつぶした時点で合格します)について、考えに考えて、小松説ー結論及び根拠ーを地道につくっていってください。 小松さんは、一人で勉強しておられるかも知れませんが、全国に2万8000人の人が日夜励んでいるのだ、ということを忘れないでください。図書館に一人坐っている時も、自宅で机に向かっている時も、あなたの周りには2万8000人の人が座っているのです。 この試験は集中しなければなりません。持続よりも集中です。来年6月まで、もはや小松さんの生涯でこれ程勉強することはないだろう、と想う程、集中してください。 弱点を直してください。どこが己の弱点なのか冷静に見つめてください。弱点を一つ一つ補強していくことが、合格へのみちです。 それでは、また。 敬具 昭和50年11月12日 小松様 (追伸)私からしぼれるだけしぼってください。教科書にも、ノートにも、判例集にも、ゼミの友人、学校の先輩、先生、小生、あらゆるものに、アグレッシブであってください。 見ようと思っていない限り視えないし、聞こうと思っていない限り聴けないのです。 この手紙が何日の何時頃着いたか、ご連絡下さい。 以上:779文字
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