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2017年06月01日発行第198号”シャーロッキアンの憲法解釈”

平成29年 6月 1日:初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年6月1日発行第198号「シャーロッキアンの憲法解釈」をお届けします。

○平成29年からは40年前の昭和52年受験時代までは日本国憲法は前文から補足の第103条まで一字一句洩らさず完全暗記して、いつでもどこでもスラスラと出てきたのですが、実務に入ってから憲法条文を使うことは全く無くなり、教科書も復習することも全く無くなりました。折角、丸暗記した条文も忘却のかなたです(^^;)。

○久しぶりに憲法を開いてみたら第89条に「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」なんて規定されていました。表面的に見ると私立の教育事業に支出はできないはずですが、現在、国から補助金がないと殆どの私立大学・高校等は私学は経営が成り立たない状況のはずです。

○幸い第89条には「公の支配に属しない」との限定が付いており、国から補助を受ける私学は、「公の支配に属しない」には該当しない、即ち、少しは「公の支配」が及んでいるから憲法違反とならないと解釈されて国から補助を受けているのでしょう。

○久しぶりに私学補助金に関する憲法判例を調べてみたら、最高裁判決はなかなか見当たらず、昭和61年5月8日千葉地裁判決(判時1216号57頁)で「憲法89条にいう『公の支配』に属しているというためには、同条所定の事業に行う団体等が、国又は地方公共団体による人事、組織及び予算等についての根本的な支配を受けていることまでは必要とせず、それより軽度の法的規制に基づく支配を受けていれば足りると解すべきであり、教育関係法規による法的規制を受けている私立学校は、右にいう『公の支配』に属していると解され、これに対する公的助成は、学問の自由、思想及び良心の自由を侵害しない限り、憲法秩序全体の趣旨から許される。」なんて述べてます。

○法律実務家になって憲法から遠ざかっていましたが、大山先生のお陰様にて少し憲法を復習することができました(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

シャーロッキアンの憲法解釈


シャーロキッアンというのは、名探偵シャーロック・ホームズは実在したと信じている人たちです。コナン・ドイルが書いた小説の主人公ではなく、親友のワトスン博士が記録を残した本物の名探偵というわけです。ホームズの探偵小説は全部で9冊(「聖典」と呼ばれてます!)あるんですが、その中には必ずしも良く分からない箇所があります。常識的には、作者のコナン・ドイルがうっかり間違えたんだろうと考えざるを得ない箇所ですね。しかし、そんな風に考えるようでは、シャーロッキアン失格です。聖典の中に、一見矛盾するような箇所があっても、そこには必ず意味があると信じて、「正しい」解釈を考えていきます。

例えば、ワトスン博士の名前の問題なんか有名です。博士の名前は、ジョン・ワトスンですが、小説の中で奥さんが博士を「ジェームス」と呼ぶ場面があります。シャーロッキアンではない普通の人なら、「コナン・ドイル、うっかり間違えちゃったんだな。出版社も、もっと注意してあげればよいのに。」なんて考えて終わりですよね。誤植なんだから、気が付いたら訂正すれば良いだろうなんて言う人もいそうです。

しかし、シャーロッキアンは、「聖典」に間違いがあるなんてことは認めません。こういった問題について、納得のいく解釈を作り出していくのです!

私の見解では、弁護士その他法律家は、「シャーロッキアン」なんです!矛盾していたり、つじつまが合わない法律に関しても、間違いだなんて認めずに、合理的な解釈を見つけていきます。民法なんか、130年も前に作られた法律ですから、現代の取引状況と合わなくなってくるのも当然です。それでも、法律は極力変えないで、「解釈」で乗り切っていくわけです。「よくもまあ、こんな解釈考えつくな。本当に頭いいなあ。」と感心する一方、シャーロッキアンに対するのと同じ感想を持ちます。「これって、遊びだろう!」

憲法なんてもっと凄いんです。9条の戦争放棄条項なんて、特に有名ですね。日本は戦争を放棄すると規定する一方で、そこにわざわざ「国際紛争を解決する手段としては」と限定をつけています。それなら、「自衛」のための戦争は良いのかなと思ってしまいそうですが、一方憲法は「戦力」をすべて禁じています。「戦力なしで、どうやって自衛するんだよ?」と、普通の人には非常に分かりにくい規定なのです。

これなんかも、憲法を作る過程で、多くの人の思惑が入り乱れて、今ある文言になったのだというのが、常識的な見解です。でも、日本の法律家の多数派は「シャーロッキアン」ですから、そんな「コナン・ドイルの都合で。。。」なんてことは認めないんです。憲法という「聖典」の隠された深い意図を解釈していきます。9条だけでなくて、憲法にはこういう常識的にはおかしい条文って、いくつも有ります。

たとえば、私立学校への補助の問題も有名です。条文を普通に読めば、明らかに憲法で禁止されているんですが、本当に禁止しちゃったら、非常識な結果になります。だからといって「聖典」が間違っていましたと認めることは、「シャーロッキアン」としては許しがたい。そこで、常識的には憲法違反としか読めない私学補助が、何故憲法上許されているのかについて、頭の良い学者先生達がこぞって、いろいろな解釈を考えています。

これは本当に意味のある事なのか、「シャーロッキアン」でない私は、疑問を感じざるを得ないのです。

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◇ 弁護士より一言

私自身、せっかちで書き間違えや誤植が非常に多いのです。ニュースレターでも、恥ずかしながら何回も指摘を受けています。さらに、レターを小冊子にまとめるときには、横書きを縦書きにすることもあり、自分でも驚くほど多くの誤植が出てきちゃうんですね。おおざっぱすぎる次女にまで、パパこれ酷すぎない?」なんて言われました。私のニュースレターの誤植も、間違いではなくて、深い意味が隠されているのでは?と皆さんに信じて貰えるように、頑張ってまいります。(頑張るところが違うような。。。)

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