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2011/12/16 第67号 カフェ丸玉の契約書

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 「丸玉」というのは、弁護士なら誰でも知っている、有名なカフェです。昭和8年頃の話しだそうです。大阪のカフェ「丸玉」の女給さんに熱を上げたお客さんが、当時のお金で400円をあげるなんて、約束をしたんですね。今のお金なら100万円くらいでしょうか?まあ、色々と下心があったんでしょう。

 女給さんの方も、しっかりした人みたいで、単なる口約束で終わらせないで、契約書まで書いて貰ったようです。ところが、お客さんの方が何時まで経っても払わないので、女給さんが裁判を起こしたんです。

 裁判の方は、1審も2審も、お客さんが負けたんです。お金を支払えということですね。

 それでも諦めずに、男の方は、当時の最高裁判所まで争いました。そうしたところ、結論がひっくり返って、男の方が勝ってしまったわけです。お酒の場で、女給さんの気を引くための約束など本気の契約とは認められないから、たとえ契約書を作ってもダメだよ、ということでした。

 まあ、結論自体はどっちもありそうです。「そこまで請求して来るなんてしつこいなあ。いい加減諦めろよ!」という気もする一方、「契約まで作ったんだから男の方も諦めて払えよ」という気もします。

 ただ、法律を勉強する人間は、こういう裁判例を通じて、どんなときに裁判所が請求を認めてくれるのかといったことを学ぶわけです。契約書にしろ、作ればよいというわけではなくて、最終的に裁判所に認めてもらうようなものでなくてはいけないということですね。こういった、「裁判所に認めてもらってナンボ」という考え方は、弁護士に強く認められます。

 かつて、他の弁護士が契約書のチェックをした内容をみたら、「この内容は裁判所では認められないから削除する」なんてコメントがありました。

 しかし、こういう考えは、社会の常識、企業の常識とずれているのではと思うのです。営業の本には、お客さんと契約するときには、何時でも解約自由な「仮契約」でよいので、契約しなさいなんて書いてあります。本契約までいかないと、裁判上の請求権は認められません。仮契約としての意味など無いじゃないかと、弁護士的な思考では考えてしまいます。

 ところが、営業的には、仮契約は非常に意味があるんですね。仮契約が有るときと無いときとでは、最終的な本契約に至る件数が、倍以上違うんだそうです。

 カフェ丸玉の女給さんの場合も、契約書まで作っておきながら役に立たなかったわけですが、だからって契約書がムダってわけではないのです。契約書まで作った以上は、まあしょうがないから約束を守るかという人は、相当数いるはずです。10人と同じ約束をした場合、契約書がなければ2人しかお金をくれなかったところ、契約書があったお陰で、4人はくれることになったかもしれないのです。

 それなのに、裁判では認められないというだけで、契約書の効果を正しく理解していないとしたら大問題です。仮に現在、丸玉の女給さんが弁護士に相談したら、「そんな契約は意味がないから止めなさい!」なんてアドバイスを受けそうで、心配ですね。

 基本的に、弁護士の契約書に関する見解は、裁判所の方ばかり見ているように思えます。私は、契約書というのが、現実的に社会の中で果たす役割について、「企業の常識」の立場から、アドバイスできる弁護士を目指したいと思うのでした。

 
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 弁護士より一言

 6歳の息子は、指相撲が大好きです。パパと勝負しようとうるさいのです。

 始めは負けてあげていたのですが、途中から私が勝つことにしたんですね。息子は口惜しがりまして、「パパ、それじゃ頭使ってやっていい?」なんて聞いてきました。勿論良いよと答えたところ、頭を指のところにグリグリ押しつけて来たんです。

 もう少し違った頭の使い方を覚えて欲しいものだと思ったのでした。

 1年間のご愛読、有難うございました。

 みなさま良いお年を!

 (2011年12月16日第67号)
以上:1,591文字

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