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2009/ 3/16 第 1号 「リスクリバーサル」と契約

平成24年 2月29日:初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 企業法務部にいたときから、弁護士として活動している現在まで、英文契約、和文契約ともに、無数の契約を作成審査していきました。契約を見るときのポイントは、契約書上どれだけのリスクがあるのかを明確にして、可能な限りそのリスクを相手方に押し付けるところにあります。企業法務時代も、勤務弁護士時代もその点については疑問をもたず、少しでも当方に有利なように契約を修正すべきと主張してきたわけです。

 企業法務時代でも、このような契約修正に対して、営業部門その他から、苦情が来ることが多々あるんですね。「そんなことではビジネスにならない!」というわけです。

 これに対して、法務部門としましても、当然「分かりました」と言う訳にはいきません。「営業は売ることばかり考えて、会社の被るリスクが理解できていない」などといって、やりあったものです。

 別に、今から考えても、法務部門の考えが間違っていたとは思えません。しかし、私も独立開業し、零細企業主としていろいろと勉強していく中で、また違った考えを持つようになりました。

 アメリカのマーケティング業界で非常に有名なジェイ・エイブラハムという人の書いた本を読んでいたら、「リスクリバーサル」ということが書いてありました。これは、契約や取引に伴って生じるリスクを、当方だけが負担し、相手方には一切リスクを負わさないというビジネス手法のことです。確かにリスクを負担するおそれはあるが、相手方が安心して取引できるので、リスクを補って余りあるほどビジネスが拡大するというわけです。

 たとえば、本の中ではこんな例が上がっています。

 娘がどうしても子馬がほしいというので、買いに行った人がいます。

 1つの店では、1000ドルで売っていました。勿論、買った後のキャンセルなどは認められません。もう1つの店では、1500ドルで売っていましたが、売った後、乗馬や飼育の指導をすると共に、もし10日たって気に入らなければ、無条件でキャンセルに応じるという条件でした。この場合、子馬を娘が気に入らないというリスクを引き受けた2つ目の店の方が、はるかに営業成績を伸ばしたということです。

 仮に私が法務部門や弁護士として、この2つ目の店の「子馬販売契約書」を審査した場合、リスクリバーサルの考えを正しく理解できるのか、かなり疑問です。「無条件キャンセル条項はリスクが大きいので見直すべきです」なんて、審査報告書を出していたかもしれません。

 大体において、弁護士や法務担当者は、契約書上いろいろなリスクを見つけるのはうまいのですが、それと連動する契約の対価や、その後の長期にわたるビジネスの価値等を正しく理解するのが苦手ですから、なおさらおかしな契約審査になりそうです。

 ビジネス全体を理解した上で、ビジネスをサポートできるような法的サービスを提供することの難しさを、改めて感じています。

 
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 弁護士より一言

 横浜で独立開業して、まる2年がたちました。会社法務部での15年の勤務経験を生かして、企業に法的サポートを提供しようと意気込んで開業したわけですが、おかげさまで顧問先も十数社にまでなりました。

 このあたりで、顧問先の皆様に法的情報を提供するとともに、当事務所のことをよりよく知ってもらうために、毎月ニュースを発信することに致しました。

 タイトルの「企業の常識・弁護士の非常識」というのは、企業での勤務が長かった私の実感からつけたものです。

 企業法務部と弁護士双方の経験をもとに、法律や判例の動き、企業法務として押えておくべきことに加え、弁護士業界の動向なども合わせてご紹介できたらと思います。

 顧問先の皆様のお役に立つように、少しずつ内容を充実させ、月に2回発行したいと思っています。まずは、私の誕生日である3月16日に記念すべき第1号を出すことにしました。(なお、誕生日プレゼントは、今しばらく受け付けております。)ご感想やご意見などいただけると、大変励みになります。今後長く続けていくつもりですので、どうか宜しくお願い致します。
 (2009年3月16日第1号)
以上:1,665文字

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