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東北大学法学部小嶋和司教授講義ノート紹介3-昭和49年5月11日

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平成25年11月12日:初稿
○「東北大学法学部小嶋和司教授講義ノート紹介2-昭和49年5月9日」の続きです。
今回は、昭和49年5月11日記載分で平成25年11月からは、39年と6ヶ月前に遡るものです。ザッと読み返してみると、かすかに記憶が蘇ります。現在、安倍総理の下で話題になっている憲法改正問題についての講義が含まれています。憲法第99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定されていますが、ここでの「擁護」とは、「非合法的破壊から守ること。改正に反対すべきことではない。§96で改正は認められている。合法的変更は構わない。」との記述は良く覚えていました。


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東北大学法学部 小嶋和司教授講義ノート
5/11

(四)法令解釈の態度ー「合憲解釈の原則」
法理は憲法に適合するような解釈をしなければならない。

合憲解釈に二種
ⅰ選択的合憲解釈
ⅱ制限的合憲解釈
 ⅰ…ある方の規定が甲、乙2種の解釈が合理的に成立し、甲説によれば違憲になり、乙説によれば合憲になる場合、甲説をとり効力がないとすべきでなく、乙説をとり立法府の行為の効力を維持すべきである。
初期に判例、
現刑法、明40、制定公布、明41施行、→刑法施行法(明41)…旧刑法の内の特定の規定は「当分のノウチ」効力を有すとする。ex.旧刑法§234
旧刑法、明15施行
旧刑法§234

「賄賂ヲ以テ投票ヲ為サシメ又ハ賄賂ヲ受ケテ投票ヲ為シタル者ハ…」処罰される。
最判…「当分の内」…昭24:も「当分の内」に含まれる。おそらく現在昭49も含まれるであろう。

     A(候補者)ーa(運動員)
(賄賂)→       ↓
(投票)→ ↑  ←  V(投票者)
     甲説    ↓ 乙説
          ABC…
甲説…Aに投票した場合のみ有罪
乙説…およそ投票したら有罪(誰に投票しても無効にしてもよい)
甲説では有罪が限定される。

明治憲法時代、大審院の確定した判例は甲説、学説には乙説もあった。
甲説の立場は現行憲法下では違憲、§15Ⅱ秘密投票の保障
甲説を適用するには投票人が誰に入れたかを明らかにする必要がある。
§15に違反することになる。
乙説はおよそ投票すれば、誰に入れたかを調べる必要はないので、§15違反の問題はおきない。
以上の場合は乙説をとり、旧刑法§234を有効に解釈しなければならない。最判24.4.6大…憲法が変わった以上乙説を正当な解釈とすべしと判示

ⅱ制限的合憲解釈 適用合憲
規定は通常抽象的な表現をとるので具体的には種々の場合に適用される。規定がA、B、Cつの場合に適用され、A、Bに対する適用は合憲でも、Cに対する適用が違憲の場合、この規定全ての効力を無効にしないでABにのみ適用があり、Cに対しては適用がないと解釈すべき。

旧関税法§83
「犯罪ニ関スル貨物…ニシテ犯人ノ所有又ハ占有に係ルモノハ」没収する。

(ア)A所有者自ら脱税の意思ー自ら運搬ー×1没収
(イ)            Bが運搬ー×1没収
   (=悪意の場合)   (犯人)
(ウ)A所有者に脱税の意思なし…Bが運搬
    =善意の場合    (犯人)
 (ウ)の場合は没収制度の合理性を欠く、財産権の保障を侵害するから違憲…善意第三者所有物の没収は違憲。
 (ウ)の場合の適用のみを違憲とする。適用はない。
   32.12.21.大

(五)尊重擁護の義務
 憲法は法なのでその規律に従うべきことは当然、日本国憲法は公務に従う者に対して、単なる遵守以上に尊重擁護の義務を規定、§99
「擁護」…非合法的破壊から守ること。改正に反対すべきことではない。§96で改正は認められている。合法的変更は構わない。
「義務」の実益…この規定から何もでてこない。単に道義的な義務のみ、要請。しかし「義務」に関りのある制度が法律で規定されている。
ex.国家公務員法§38-5 公務員の欠格条項
        §97  服務の宣誓、同様の規定は地方公務員法にも存在。

第三 改正手続の特殊性
 ほとんどの憲法典に変更手続が規定される。一つの効力を有する。
(ア)「実際上の効力」ー人間は万能のであり得ないから制定の時すでに欠陥のあることすらある。
           社会の変化に応じて合法的変更を認めることがベターであると考えられる。
(イ)「理論上の効力」ー主権者は常に政治体制決定権を維持すべきであると考えられる。もし憲法典の変更が認められないと、ある時期に定められた憲法が硬性を絶対的に拘束することになり、それは主権者としての地位に適合しない。主権者には常に憲法変更の可能性を与えるべきである。
 さらに積極的には憲法について、定期的に再検討を義務づける例もある。
 1925ポーランド憲法、1930年ポルトガル憲法、米国州憲法
(ウ)「法制的便宜上の効力」ー通常の立法とは区別してその権威を維持すべき。
 ※通常は憲法典の改正には特別の手続を定めて慎重性を確保することが行われる。但し、この手続はある時期の制定者が制定物の探偵を目的としてことさら手続を困難にすると憲法自身が定着しないでやがて破壊されることになる。

改正の手続 各国に種々の制度がある
ⅰ特別の憲法議会でなければ変更できないとする制度
  立憲主義初期の憲法に採用
 g.E.Sieyes
  憲法をめぐる権力に二種ある ① pouvoir constituant
                ② pouvoir constitutie
 ①憲法を制定する権力、②憲法で作られた権力 ex立法権
 ①は②より次元の高い権力であるので、立法議会ではこの仕事は任せることはできない。
 この考えは米国にも存在。
この考えでは立法議会は憲法は制定できない。特別の憲法議会でなければ憲法は制定できない。
 conventionー憲法制定議会

ⅱ通常の議会で改正する制度
 通常君定憲法で採用。民定憲法でも、憲法制定会議も何らかの組織を持たざるを得ず、この組織は結局は法律で決めることになり議会自ら改正してもあまり変わらないという実際的効力を考慮したもの
 この場合議会手続に特に慎重さが要求される。
   ・手続を二段階にする例、1850 プロインセン憲法
   ・議決要件で重くするー明治憲法
   ・二段階、第1と第二段階の間に総選挙を要する。
    1840 ノルウエー憲法

ⅲ (ⅰ)又は(ⅱ)の手続にさらに国民投票を付加する。
 第一段階、第二段階の票決の状態により、国民投票に付すかどうか決定する例が多い。
  現伊憲法 第二段階で2/3多数に達せず、しかも特定の者の要求のある場合。

日本現行憲法の場合
(ⅱ)の手続+国民投票 §96
  実質的=段階 第一 国会による発議提案
         第二 国民による承認
  形式的 段階ー第三 天皇による公布
§96
「総議員」①議員定数を示すとする説。
     ②常に議員定数だけ存在するとは限らないので、総議員で実人員数を示すとする説…存在しない者を分母に入れるのは不合理
 ②が合理的(小島)

 憲法改正発議(慣例)
・議事定足数 議員定数の1/3以上 §56
・議決定足数 実人員数の2/3
   表決数 実人員数の2/3(小島)

§56Ⅰ 議員の定足数
「総議院」-定数説で運用されている。
§56は定足数についての分母、§97は表決についての分母…言葉は同じでも全く同一と考える必要はない。
しかしこれは、議院運営自律件でもって決定されるべき問題ー衆参が一致しなくても他の機関がその効力を左右できる性質のものではない。

「その過半数」…有効投票の過半数
§96Ⅱ「公布」…§71
「国民の名で」ー改正が君定、協約でなされるのではなく民定であることを示したもの
「この憲法と一体をなすものとして」
  米国流、Amendment 形式、合衆国憲法
Art.1~Art.7     Au1]]…         Au17]、Au18]、…      Au21]
元の条文はそのまま  改正条文を附加していく  the Prohibition 禁酒条項  Au18は廃止

必ずしもAmendment 形式をとることは(日本の従来のやり方から考えて)必要でない。法律上の効力が一体であれば足りる。形式を限定するものではない。 

以上:3,445文字

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