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家事事件手続法での高等裁判所決定への特別抗告に関する覚書

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平成25年11月13日(水):初稿
○「上告審手続の経験とその備忘録」に上告手続に関する備忘録を記載していましたが、今回は、主に特別抗告に関する備忘録です。上告に関しては、、「最高裁判所における訴訟事件の概況」と言うPDFファイルが公表されて、最高裁における審理の実態が数値で明らかにされています。その中身は、「訴訟事件」と銘打っているように民事・行政・刑事の「訴訟」に限定されており、家事事件審判等に関するデータがありません。以下、主に家事事件手続法における特別抗告の覚書です。

先ず家事事件手続法での特別抗告に関する条文です。

第94条(特別抗告をすることができる裁判等)
 家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2 前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
(中略)
第96条(即時抗告の規定及び民事訴訟法の準用)
 第86条第2項、第87条から第89条まで、第91条第1項及び第93条の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。この場合において、第87条第6項中「及び第5項」とあるのは、「から第6項まで」と読み替えるものとする。
2 民事訴訟法第314条第2項、第315条、第316条(第1項第1号を除く。)、第321条第1項、第322条、第325条第1項前段、第2項、第3項後段及び第4項、第326条並びに第336条第2項の規定は、特別抗告及びその抗告審に関する手続について準用する。(後略)



○上記準用規定ですが、即時抗告期間に関する家事事件手続法第86条1項「審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、2週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。」が準用されていません。特別抗告期間に関して準用されているのは、民訴法第336条2項「2 前項の抗告は、裁判の告知を受けた日から5日の不変期間内にしなければならない。」との規定です。ですから、特別抗告期間は「裁判の告知を受けた日から5日の不変期間」に限定されます。

○特別抗告理由については、家事事件手続法第94条1項で「その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするとき」に限定されています。家事事件手続法第94条2項の民事訴訟法規定の準用条文の中には、民訴法第318条(上告受理の申立て)「告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。」が含まれていません。

○従って、「原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」との理由では、特別抗告は出来ず、純粋に「その裁判に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とする」場合に限られることになります。

○上告受理の申立が出来る要件は、
①これまでの最高裁判断がない解釈問題、
②最高裁の従前判断を変更すべき場合、
③高裁判断に誤った法令解釈が含まれこれを是正すべき場合
ですが、この要件での不服申立は「特別抗告」ではなく、「許可抗告」になります。こちらは「家事事件手続法での高等裁判所決定への許可抗告に関する覚書」で説明しています。
以上:1,610文字

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