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違法収集証拠に関する平成10年5月29日東京地裁判決紹介3

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平成25年 8月19日:初稿
○「違法収集証拠に関する平成10年5月29日東京地裁判決紹介2
 原告の金1000万円の慰謝料請求に対し、判決は、不貞行為開始時期等について原告の主張をほぼ認め、且つ、原告とその妻の婚姻関係の破綻は被告との不貞行為が原因と認定していながら、「本件にあらわれた一切の事情を総合すると、原告の精神的な苦痛を慰謝するには、150万円が相当」と大幅に減額した金額しか認めませんでした。

○塚原裁判官は、その大幅減額の理由について、「原告と春子夫婦が破局に至った根本的な原因は、春子が、日常性の中にある、変化には乏しいものの、永続的で堅実なものに対する生き甲斐を軽視し、将来を展望しようとしない享楽的・退廃的な喜びを追求しようとした点にあり、かつ、春子が、夫婦について誤った又は乏しい倫理観の被告と偶然の出会いをし、特異なその生き方に影響され、妻として、母として進むべき道を誤るに至った点にある」として、最終的に「本件にあらわれた一切の事情を総合すると」と説明しています。
 妻春子の責任が大きいので、被告の責任が軽減されたのでしょうかと確認してみたいところです。

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四 請求原因七の被告の不法行為責任について
1 以上認定判示した事実のほか、証人春子、原被告の各本人の供述に基づいて、被告の不法行為責任について検討する。
 原告と春子夫婦は、その間に二人の男児に恵まれ、原告は板金塗装業を自営し、標準的な収入を得て家計を支え、春子は専業主婦として子供の養育に当たり、人並みに幸せな結婚生活を送っていたということができる。確かに、原告は、口数は少ないうえ、原告の稼働時間や通勤時間が長いこともあって、もともと原告と妻及び子供とが一緒に過ごす絶対時間が少なかったため、春子の不満となっていたもので、平成7年、8年ころ、子供が手がかからなくなり、しかも、折から母、父、祖母を相次いで亡くした一人っ子の春子にとって、その心が家庭サービスの乏しい夫から、外の世界に向かっていき、やがて深刻なものに変化していったことが想像される。

 そうした春子の心の変化について、原告は、必ずしも十分な理解を示さず、あいかわらず、従前と同様な生活パターンを繰り返していたもので、そうした春子の満たされない心の透き間、乾きの中に、登場したのが必ずしも健全とはいえない深夜の飲み友達であり、そのうち、自らの家庭生活を顧みず、単身同様の放縦な生活を送っていた被告と特に親しくなり、夫である原告にはないものに惹かれていったものと推察される。

2 前記認定判示の事実によれば、春子が妻としての節度を越えて被告と親しくなった時期は、平成9年8月10日以前であり、春子が妻としての貞操義務を放棄した時期は、春子が子供を連れて被告方に赴き帰宅を拒んだようになった同月17日ないしその数日経過後であると推認される。

 この点について、被告は、二人が男女の関係になった時期は平成9年11月の時点であると主張し、被告本人も、そのように供述しているが、前記認定事実に照らし、とうてい信用することができるものではない。そして、被告と春子は、できれば、結婚したいと願望していると明言してはばからない状況にある。

3 そうすると、原告と春子の夫婦は、もはや破綻し、復元の合理的な可能性はないものといわざるを得ない。その原因は、確かに、妻や子供の心の状態を知ろうとする努力を十分にしなかった原告にもないではない(もっとも、世の中には、原告のように帰宅時刻が夜の10時や11時になる働き盛りの男性も少なくはないのであって、そうした夫婦が全部離婚の危機にあるとも思われない。反対に、春子や被告のように、週に2日も、3日も、深夜から明け方まで酒を飲み談笑に耽ること(もっとも、この点については、被告や春子が尋問においてそう供述しているだけにすぎず、そのうち相当時間は二人だけの酒の入らない耽美な時間も含まれていたかもしれないが)の方が、はるかに異常であり、世の中にそう多数存在しているものとは思われない。)。

 しかしながら、原告と春子夫婦が破局に至った根本的な原因は、春子が、日常性の中にある、変化には乏しいものの、永続的で堅実なものに対する生き甲斐を軽視し、将来を展望しようとしない享楽的・退廃的な喜びを追求しようとした点にあり、かつ、春子が、夫婦について誤った又は乏しい倫理観の被告と偶然の出会いをし、特異なその生き方に影響され、妻として、母として進むべき道を誤るに至った点にあると推察される。原告との結婚を破綻させた春子の責任は、重大であり、将来、その責任をわが子にどう説明するのか理解に苦しむところである。

 また、被告は、年こそ、春子よりも若いが、既に二回の結婚歴もあり、男女の関係、夫婦の有り様についての理解・経験は、実質的には春子よりも先輩であったのにもかかわらず、春子を善導するどころか、当時妻から出て行くようにいわれていて身軽な身であったことを幸いに、春子を誤導し、結果として、二人の子供のある一組の夫婦を破綻させた責任はゆるがせにできない。特に、弁論準備手続において、被告の責任の有無を問うたところ、全く責任を否定していたことがあり(もっとも、本人尋問においては、これを改め、責任を認めている。)、社会人としての見識を疑わざるを得ない。

 なお、被告は、春子が被告や飲み仲間と常々原告との不仲について愚痴をこぼしており、原告と春子夫婦は、被告とは無関係に、相当以前から破綻していたと主張するが、春子は、証人尋問において、原告が春子と平成9年8月10日に被告方を訪ね、原告から難詰された際に、「原告と別れることについて決心はしていない」と言った旨供述しており、その時点で、春子は原告と離婚することを決断していなかったのであるから、被告は、その気になれば、原告と春子夫婦の破綻を避けることができたものというべきである。被告が春子と親しくなった時期には、未だ原告と春子夫婦は破綻していなかったことが認められ、被告の右主張は採用することができない。

 その他、本件にあらわれた一切の事情を総合すると、原告の精神的な苦痛を慰謝するには、150万円が相当であるということができる。

五 以上のとおりであるから、原告の請求は、慰謝料150万円及びこれに対する平成9年10月15日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。
(裁判官塚原朋一)
以上:2,706文字

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