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延命治療中止についての民事責任要件等考察等

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平成25年 4月23日:初稿
○「NHK番組”家で親を看取(みと)る その時あなたは”を観て」の続きです。
同番組を観て、私が最も感じ入ったのは、「胃瘻による人工栄養で意識なくただ生きているだけで、且つ、日常的にいかにも苦しそうにうなり声を上げ続けている母を介護している娘が、在宅医に対して胃瘻からの栄養注入中止を申し出る場面」でした。この母は、おそらく90歳位で介護をしている娘も60歳を超えて居るように見えました。母は、胃瘻で栄養を吸収して辛うじて生きていますが、意識はないように見え、最も印象的だったのが、常に苦しそうなうなり声を上げている姿でした。

○意識がなくても安らかに眠っているように見えるのであれば、介護に当たる娘も辛くはないでしょう。しかし、常時、苦しそうにうなり声を上げる姿は、おそらく、「苦しい、苦しい、早く、楽にして欲しい!」との叫びにも聞こえると思われました。その意思を本人から確認することは、到底、出来ない状態です。しかし、その叫びに耐えられなくなった娘は、診療に訪れた在宅医に胃瘻中止即ち延命治療中止を申し出ます。医師としても大変難しい判断を迫られます。

飯田泰士氏著論説「終末期における延命治療の中止の適法要件」には、「厚生労働省の2003年の調査では、死期が迫っている場合や、意識不明の状態から回復する可能性がない場合には、一般国民の8割弱が自分に対する延命治療を中止して良いと回答し、一般国民の6割が家族に対する延命治療を中止してよいと回答している。」と記載されています。私としては、自分が「死期が迫っている場合や、意識不明の状態から回復する可能性がない場合」でも2割強が、またそれが家族の場合4割弱の延命治療を望んでいることに驚きました。

○延命治療中止イコール患者の死亡ですから、延命治療中止に関する法律上の問題は、同論説が指摘しているように、民事責任としては、不法行為責任(民法第709条等)、医療契約上債務不履行(民法第415条)、刑事責任として本人の同意のない殺人罪(刑法第199条)の成立する可能性が生じることです。

○刑法上の責任については、「NHK番組”家で親を看取(みと)る その時あなたは”を観て」に記載した平成7年3月28日横浜地裁判決での安楽死の要件が参考になります。この判決では安楽死が認められる要件は、原則として患者本人の意思表示が必要とし、「患者の事前の意思表示が何ら存在しない場合は家族の意思表示から患者の意思を推定することが許される」としていますが、この認定は相当厳しそうです。

○仮に刑事責任は免れたとしても、民事責任は別個に残り、不法行為責任と債務不履行の問題を検討しなければなりません。医療契約は、一般には準委任契約と理解されていますが、この医療契約に基づく治療義務に違反する場合、不法行為責任が生じる可能性があります。

○延命治療の中止が問題になるのは、終末期であり、終末期とは「生命維持装置の適用にもかかわらず、合理的な医的判断の範囲内では、死を招かざるをえないような疾病・傷害によって引き起こされる不治の状態で、生命維持装置の適用は患者の死の瞬間を延期することだけに役立つ状態で生存している期間」と定義されています。

○終末期でも延命治療中止が民事責任が生じない場合について飯田泰士氏著論説「終末期における延命治療の中止の適法要件」187頁以下に多数の参考文献を掲載して詳細に論じられています。時間のあるときにじっくり勉強しますが、延命治療の中止手順についての日本救急医療学会ガイドラインも発表されており、これも勉強する必要があります。
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