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NHK番組”家で親を看取(みと)る その時あなたは”を観て

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平成25年 4月22日:初稿
○平成25年4月21日NHKで放映された「家で親を看取(みと)る その時あなたは」を観て、延命治療について考えさせられました。私自身、「アルツハイマー病になった父の思い出-腎臓機能喪失」記載の通り、アルツハイマー病で平成6年から介護施設に入所し、平成11年9月下旬、腎機能低下で緊急入院し、延命治療としての人工透析をするかどうかの決断を迫られたことがあったからです。

○このとき妻である母は延命治療を反対しましたが、子供たちは全員一致で延命治療希望し、緊急入院した病院で人工透析実施しました。延命治療とは、生命予後不良で根治が見込めない患者に、人工呼吸・人工栄養・人工透析等を行って延命だけを図るもので、延命治療によって却って患者及び家族を苦しめるだけのことがあり、医療費も嵩み、問題となっています。

○そこで、「リビング・ウィル」と名付けられた、生前に行う「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示の法的有効性が論じられていますが、いまだ確定見解はないようです。なお、尊厳死(そんげんし,death with dignity)とは、人間が人間としての尊厳を保って死に臨むことです。私自身は、遺言書を作成し、根治が見込めない病気になった場合延命治療一切不要と記載しています。

○「家で親を看取(みと)る その時あなたは」の中に、胃瘻による人工栄養で意識なくただ生きているだけで、且つ、日常的にいかにも苦しそうにうなり声を上げ続けている母を介護している娘が、在宅医に対して胃瘻からの栄養注入中止を申し出る場面があります。医師は、一人では決断できず、介護スタッフ全員に相談して意見交換会まで開き、最終的に胃瘻中止を決断しますが、実行する2日前に母は風邪をこじらせて死去します。

○延命治療中止要件等については、飯田泰士氏著論説「終末期における延命治療の中止の適法要件」に詳しく論じられていますが、従来、民法の不法行為責任については殆ど論じられてこなかったようです。刑事事件としては、以下の嘱託殺人罪の問題として論じられており、有名な判例も出ていますので紹介します。

(刑法)
第202条(自殺関与及び同意殺人)
 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。


昭和37年12月22日名古屋高裁判決
主文

 原判決を破棄する。
 被告人を懲役1年に処する。
 但し本判決確定の日から3年間右刑の執行を猶予する。
(判決理由ポイント)
 ところで所論のように行為の違法性を阻却すべき場合の一として、いわゆる安楽死を認めるべきか否かについては、論議の存するところであるが、それはなんといつても、人為的に至尊なるべき人命を絶つのであるから、つぎのような厳しい要件のもとにのみ、これを是認しうるにとどまるであろう。
(1)病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、しかもその死が目前に迫つていること、
(2)病者の苦痛が甚しく、何人も真にこれを見るに忍びない程度のものなること、
(3)もつぱら病者の死苦の緩和の目的でなされたこと、
(4)病者の意識がなお明瞭であつて意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること、
(5)医師の手によることを本則とし、これにより得ない場合には医師によりえない首肯するに足る特別な事情があること、
(6)その方法が倫理的にも妥当なものとして認容しうるものなること、
これらの要件がすべて充されるのでなければ、安楽死としてその行為の違法性までも否定しうるものではないと解すべきであろう。

平成7年3月28日横浜地裁判決
 事案は、大学付属病院に勤務する医師であった被告人が、治癒不可能ながんに冒されて入院していた患者が余命数日という末期状態にあったとき、その苦しそうな息づかいを見た妻や息子から、やるだけのことはやったので楽にさせて欲しいと頼まれて、最初点滴を外すなど全面的な治療の中止を行い、さらに楽にさせて欲しいと頼まれて、苦しそうな息づかいを抑えるため呼吸抑制の作用のある薬剤を注射し、なお苦しそうな息づかいが治まらず、息子から今日中に家につれて帰りたいなどと頼まれて、患者に息を引き取らせることを決意して、心停止の作用のある塩化カリウム等を注射し、即時死亡させたというもので、この最後の直接死を惹起した行為について殺人罪で起訴されたのである。

主文
 被告人を懲役2年に処する。
 この裁判確定の日から2年間右刑の執行を猶予する。

判決要旨
末期患者に対する治療行為の中止及び安楽死の一般的許容要件は
一 患者が治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがなく死が避けられない末期状態にあること
二 治療行為の中止を求める患者の意思表示が存在し、それは治療行為の中止を行う時点で存在すること
 患者自身の事前の意思表示がある場合には、それが治療行為の中止が検討される段階での患者の推定的意思を認定するのに有力な証拠となる
 患者の事前の意思表示が何ら存在しない場合は家族の意思表示から患者の意思を推定することが許される
三 治療行為の中止の対象となる措置は、薬物投与、化学療法、人工透析、人工呼吸器、輸血、栄養・水分補給など、疾病を治療するための治療措置及び対症療法である治療措置、さらには生命維持のための治療措置など、すベてが対象となってよい

安楽死の要件は
一 患者に耐えがたい激しい肉体的苦痛が存在すること
二 患者について死が避けられず、かつ死期が迫っていること
三 患者の意思表示が必要
四 そこで安楽死の方法としては
 消極的安楽死は、治療行為の中止のとしてその許容性を考えれば足り、
 積極的安楽死は、医師により苦痛の除去・緩和のため容認される医療上の他の手段が尽くされ、他に代替手段がない事態に至っていることが必要


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