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共有不動産の分割-全面的価格賠償の方法3

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平成20年12月25日:初稿
「共有不動産の分割-全面的価格賠償の方法2」を続けます。
平成8年10月31日最高裁判決(判時1592号59頁)は、特段の事情があるときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるとして、この事情を次の通りとしました。
①当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であること
②その価格が適正に評価されること
③当該共有物を取得する者に支払能力があること
④他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないこと

○上記①乃至④の要件は、特に「取得させるのが相当」とか、「実質的公平を害しない」とかの表現は抽象的評価の問題で具体的事案における要件該当生の判断は結構難しいものです。そこでこの判決の具体的事案を以下に紹介します。
 問題の共有不動産は甲土地と乙土地建物でいずれも至近距離にあり、
甲土地は、上告人Aが12分の6、上告人Bが12分の5、被上告人Cが12分の1、
乙土地建物は上告人Aが4分の2、上告人Bが4分の1、被上告人Cが4分の1
の持分割合で、
乙建物は、上告人実父が開設許可を受けた病院の本体・医師等の休憩所・看護婦寮等の病院施設建物で、甲乙両地がその敷地で、全体として一体の病院施設を構成し、上告人Aが開設許可を得て、上告人Bの夫と共にA病院の名称で病院経営を行っている。

 被上告人Cは、靴類の製造販売等を目的とする株式会社であり、平成2年4月に上告人Aの兄弟からその持分を買い受けたものであるが、上告人らとの間の分割協議が調わなかったため、本件不動産の共有物分割を求める本件訴えを提起し、本件不動産の分割方法として、競売による分割を希望。

 これに対し、上告人らは、救急病院として地域社会に貢献しているA病院の存続を図るためには、上告人らによる経営の継続が不可欠であると主張して、自らが本件不動産を取得し、被上告人に対してその持分の価格を賠償する方法(全面的価格賠償の方法)等による分割を希望


○この事案の一審及び原審は、民法258条による共有物分割の方法として、全面的価格賠償の方法を採ることはできないとし、全面的価格賠償の方法による共有物分割を認める余地があるか否かについては審理判断することなく、本件不動産を競売に付して、その売得金を持分の割合に応じて分割すべきとしていました。

○これに対し前記最高裁は次のように述べて、原審を破棄差し戻しとしました。
 本件不動産は、病院、その附属施設及びこれらの敷地として一体的に病院の運営に供されているのであるから、これらを切り離して現物分割をすれば病院運営が困難になるものと予想される。そして、被上告人が競売による分割を希望しているのに対し、上告人らは、本件不動産を競売に付することなく、自らがこれを取得する全面的価格賠償の方法による分割を希望しているところ、本件不動産が従来から一体として上告人ら及びその先代による病院の運営に供されており、同病院が救急病院として地域社会に貢献していること、被上告人が本件不動産の持分を取得した経緯、その持分の割合等の事情を考慮すると、本件不動産を上告人らの取得とすることが相当でないとはいえないし、上告人らの支払能力のいかんによっては、本件不動産の適正な評価額に従って被上告人にその持分の価格を取得させることとしても、共有者間の実質的公平を害しないものと考えられる。

 そうすると、本件について、全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく、競売による分割をすべきものとした原判決には、民法258条の解釈適用の誤り、ひいては審理不尽、理由不備の違法があるというべきであり、この違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。これと同旨をいう論旨は理由があるから、原判決は破棄を免れない。
以上:1,649文字

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