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共有不動産の分割-全面的価格賠償の方法4

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平成20年12月26日:初稿
「共有不動産の分割-全面的価格賠償の方法3」を続けます。
平成8年10月31日最高裁判決(判時1592号59頁、原審大阪高裁)は
(相当性)当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であること
(適正価格)その価格が適正に評価されること
(支払能力)当該共有物を取得する者に支払能力があること
(実質的公平)他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないこと
の要件が満たされる場合、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるとしました。

○そしてこの判決の事案では
①相当性については、本件共有不動産は、一体として病院の運営に供され、現物分割をすれば病院運営が困難になること、同病院が救急病院として地域社会に貢献していること、被上告人が本件不動産の持分を取得した経緯、その持分の割合等の事情を考慮すると、本件不動産を上告人らの取得とすることが相当でないとはいえない、
②上告人らの支払能力のいかんによっては、本件不動産の適正な評価額に従って被上告人にその持分の価格を取得させることとしても、共有者間の実質的公平を害しない
として、特にこの②の要件を審理判断していないのは審理不尽・理由不備の違法があり、もう一度審理し直すようにと原判決を破棄して大阪高裁に差し戻しました。
差し戻された大阪高裁の結果データを見つけることは出来ませんが、おそらくは上告人側で取得する結果になったものと思われます。

○同じ平成8年10月31日に最高裁第一小法廷から全面的価格賠償の方法による共有物分割の許否についてもう2件判例が出されていますので以下に紹介します。
・原審名古屋高裁についての最高裁判例(判時1592号55頁)
 共有土地の分割をする場合において、共有者の1人である甲が228分の223の持分を有するのに対し、甲以外の5名の共有者の持分は各228分の1であり、右持分に相当する土地は、面積の合計が32.1平方メートルにすぎず、共有土地の所在する場所等も併せ考えると社会的、経済的効用が乏しいこと、甲は、右土地を競売に付することなく、自らがこれを単独で取得するいわゆる全面的価格賠償の方法による分割を希望していること、さらに、右土地の価格が適正に評価されており、甲以外の共有者に対する持分の価格の賠償が困難であるとは考えられないことなど判示の事実関係の下においては、右土地を甲に取得させるのが相当であり、かつ、価格賠償の方法によっても共有者間の実質的公平を害するおそれはないものと認められるから、全面的価格賠償の方法により右土地を分割することが許される。
 これは原審名古屋高裁で全面的価格賠償の方法での共有物分割を認めたものを最高裁で追認しています。

・原審広島高裁についての最高裁判例(判時1592号51頁)
 本件について全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情が存するか否かをみるに、本件不動産は、現物分割をすることが不可能であるところ、Aにとってはこれが生活の本拠であったものであり、他方、上告人らは、それぞれ別に居住していて、必ずしも本件不動産を取得する必要はなく、本件不動産の分割方法として競売による分割を希望しているなど、前記一の事実関係等にかんがみると、本件不動産をAの取得としたことが相当でないとはいえない。
 しかしながら、前記のとおり、全面的価格賠償の方法による共有物分割が許されるのは、これにより共有者間の実質的公平が害されない場合に限られるのであって、そのためには、賠償金の支払義務を負担する者にその支払能力があることを要するところ、原審で実施された鑑定の結果によれば、上告人らの持分の価格は合計550万円余であるが、原審は、Aにその支払能力があった事実を何ら確定していない。したがって、原審の認定した前記一の事実関係等をもってしては、いまだ本件について前記特段の事情の存在を認めることはできない。

 これは原審広島高裁で全面的価格賠償の方法での共有物分割を認めたものを最高裁で賠償者の支払能力について判断をしていない点を審理不尽・理由不備として広島高裁に差し戻されています。
以上:1,787文字

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