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平成16年9月30日東京地裁判決全文紹介1-不貞行為第三者責任限定

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平成25年 2月22日:初稿
○「平成18年6月14日東京地裁判決全文紹介1-不貞行為第三者責任限定」に引き続き、不貞行為第三者責任について限定的に解釈して、原告の請求額を大幅に減額した裁判例を紹介します。
500万円の請求に対し、認容金額は50万円で大幅に減額しており、その理由として、
婚姻関係の平穏は,第1次的には配偶者相互間の守操義務,協力義務によって維持されるべきものであり,不貞あるいは婚姻破綻についての主たる責任は不貞を働いた配偶者にあって,不貞の相手方が悪質な手段を用いて不貞配偶者の意思決定を拘束したような特別の事情が存在する場合を除き,不貞の相手方の責任は副次的
そして、
被告とAの不貞は共同不法行為であって,それぞれの損害賠償義務は重なる限度で不真正連帯債務の関係にあると解されるところ,Aは,自らの不貞行為をきっかけとする離婚に伴う慰謝料として110万円を原告に支払っていること等,本件において証拠上認められる諸事情を総合的に考慮すれば,不貞行為の相手方として副次的な責任を負うに過ぎない被告が原告に対して支払うべき慰謝料額は50万円をもって相当
としています。

この判例も、不貞行為について配偶者責任が主たるもので第三者責任は副次的であり、両者の不貞は共同不法行為でそれぞれの損害賠償義務は重なる限度で不真正連帯債務の関係にあるところ、配偶者が支払った損害賠償金額は第三者の損害賠償額に充当されるとの論理を取っています。


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主   文
1 被告は,原告に対し,金50万円及びこれに対する平成15年11月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを10分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求
 被告は,原告に対し,金500万円及びこれに対する平成15年11月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は,被告が原告の夫と不貞行為をして原告が離婚せざるを得なくなったことにより精神的苦痛を被ったと主張して,原告が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償の支払いを求めた事案である。

2 前提となる事実(特に証拠を摘示していない事実は争いがない。)
(1)原告は,平成11年6月17日,訴外A(以下「A」という。)と結婚した(甲1)。

(2)被告は,平成14年4月1日,国立B高等専門学校からC大学理学部生物地球圏科学科3年次に編入学し,平成15年4月1日から同大学地球深部ダイナミクス研究センターのD教授の研究室に卒業研究生として所属していた。被告とAは同じ研究室に所属し,Aが被告の卒業研究を指導する過程で知り合った。

(3)被告とAは,平成15年10月2日,情交関係を持った。

(4)原告とAは,平成15年11月10日,協議離婚した(甲1,乙2)。

3 争点及び当事者の主張
 原告とAが離婚するに至ったことについて,被告に帰責性があるか。
(1)原告の主張
 被告は,Aに配偶者があることを十分知りながら,Aの不貞行為の相手方となったものであり,これが原因で原告とAの婚姻関係が破綻し,平成15年11月10日,離婚するに至ったものである。

 その結果,原告は,精神的・肉体的に多大な苦痛を被っただけでなく,社会的・経済的にも不利益を被ったから,被告は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償を支払う義務があるところ,その金額は500万円が相当である。

(2)被告の主張
 原告の主張を争う。
 被告とAが情交関係を結んだ時点において,原告とAとの婚姻関係は既に破綻しており,原告には被侵害利益がなかったから,被告の原告に対する不法行為は成立しない。

 また,たとえ被告の原告に対する何らかの不法行為が成立するとしても,本件不法行為は被告とAとの共同不法行為であり,共同不法行為者の負う損害賠償債務は不真正連帯債務となるため,一方の加害者により損害が賠償された場合,他方の加害者の賠償義務は免除されるところ,Aは,原告との離婚に際し,慰謝料として110万円を支払うとともに,原告が司法試験に合格するまでという極めて不確定な期限付きで毎月15万円を支払っているから,これらによって原告の精神的苦痛は十分慰謝されている。よって,たとえ被告に何らかの不法行為責任が認められるとしても,被告の損害賠償債務は既に消滅している。

第3 争点に対する判断
1 証拠(甲1,2の2,3の1・2,4の1・2,5,6,9ないし11,乙1,2,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,前記第2の2記載の事実の他,以下の事実(争いのない事実を含む。)が認められる。

(1)原告とAが平成10年12月に知り合った当時,原告は東京で勤務する会社員であり,AはC大学の修士課程の2年生であった。Aは,平成11年4月にE大学に進学し,同年6月に原告と結婚して,原告の意向により原告の名字に改姓した。

(2)Aは,平成14年4月1日から,F振興会特別研究員としてC大学地球深部ダイナミクス研究センターに勤務することになり,原告とともに,そのころ松山に転居した。原告は,同年3月に退職して専業主婦となり,司法試験の勉強を始めた。

(3)原告とAは,平成14年秋ころから寝室を分けていた。原告は,同年12月下旬以降,主として司法試験の受験勉強に専念するため,実家のある水戸で生活するようになり,Aとは別居していた。原告は,水戸に転居してから平成15年9月23日まで,一度も松山に行ったことはなく,Aが水戸に来ることはあったが,その間,原告とAとの間に性交渉はなかった。

(4)Aは,平成15年中にG大学で勤務することになっていたが,原告は,同年5月ころ,司法試験受験のため,同年中はシカゴに行かないことに決めていた。

(5)Aは,平成15年8月末ころから,被告の卒業研究の指導を始め,被告と親しくなった。被告は,当時21歳であった。Aは,同年9月半ば過ぎころ,被告に交際を申し込んだ。

(6)原告は,Aが平成15年10月からシカゴへ行くこととなったため,その準備等のため,同年9月23日から同月30日まで,松山のA宅に滞在していた。Aは,原告が自宅に滞在中も,被告と電話で連絡を取り合い,同月25日ころには,被告とともに高知市までレンタカーでドライブしたが,そのことを原告に話さなかった。

(7)原告とAは,平成15年9月30日,松山のA宅を引き払い,飛行機で東京に移動した。原告は水戸の実家に帰ったが,Aは東京で面接試験を受け,そのまま東京に宿泊していた。Aは,東京に滞在中も被告の携帯電話に架電して連絡をとっていた。

 なお,Aは,松山から東京に向けて出発する前に,同年10月2日からの旅行に使用する予定のレンタカー代を被告に渡し,同日に松山空港に迎えに来るよう依頼していた。

(8)Aは,平成15年10月2日,羽田空港から松山に一人で戻る際,原告に対し,好きな人ができたから別れてほしいと述べて離婚を切り出した。Aは,同日,松山空港で被告と合流し,レンタカーで今治市方面に旅行に出かけ,同日夜,被告に対し,原告に別れを告げて離婚することになったと話して,被告と情交関係を結んだ。Aと被告は,翌3日,レンタカーで高松市まで旅行し,同月4日に松山に戻った。


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