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妻の不貞相手の子を我が子として20年近く養育した例4

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平成24年 6月10日:初稿
○「妻の不貞相手の子を我が子として20年近く養育した例3」を続けます。
今回は、「我が子でないCのための20年間分養育料1800万円の返還請求」についての平成21年3月18日東京地裁判決に続いて、控訴審の平成21年12月21日東京高裁判決の判断部分です。ここでも詳細な理由を付け加えて、Aの請求を退けています。Aはこの判断に納得できず、最高裁に上告及び上告受理の申立をしていますが、棄却・不受理となり、我が子でなくても婚姻中に生まれた子に対する養育料返還請求は出来ないことが確定しました。

○私もこの判決の結論は妥当と考えています。その究極の理由は、生まれた子供に何らの責任はないと言うことに尽きます。婚姻中、母が不貞をしての子で、父の子でなかろうと、婚姻中に生まれ、民法第772条でその父ことと推定され、第777条で1年以内に嫡出否認の訴えを提起せず、嫡出否認が不可能になり、法律上父子関係がある場合、父は法律上扶養義務を負うので、実の子でなくてもその養育費負担は法律上当然のことで、母の不当利得にはなりません。

○この場合、その子は法律上の父の嫡出子となり、実の父親は認知できません。従って養育義務者は実の父ではなく、法律上の父であり、逆に言えば、子は法律上の父に対し養育請求権があります。従って法律上の父が養育費を負担するのは法律上当然のことであり不当利得にはなりません。母親の不貞等が原因で子の養育請求権が左右されることはなく,子は法律で定められた父に対し養育請求が出来る事は当然のことです。従って不当利得が発生する余地がありません。Aは、母の不貞等があってもその結果生まれた子には何らの責任がないことをシッカリ自覚すべきでした。

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平成21年12月21日東京高裁判決一部

三 不当利得返還請求について

(1)控訴人は、前訴控訴審判決の確定後、控訴人とCとの間に親子関係が存在しないことを確認する旨の審判を受けたことを踏まえ、控訴人がC出生時から同人が20歳になるまでの間に控訴人に対して交付した同人の養育費相当額1800万円は本来であれば負担する必要がなかったものであるとして、法律上の原因のない支出を強いられたものであり、反面、被控訴人において同額の不当な利得をしている旨主張する。

 しかし、控訴人がCのためにのみいつの時点で1800万円に達する養育費を負担したのかについて主張立証はなく、不当利得返還請求権における控訴人の損失額及び被控訴人の利得額の双方についてこれを具体的に確定することはできないのであるから、まずこの点から上記請求には問題がある。

 もっとも、控訴人が相当額の上記養育費を支出したことは事実であり、これをすべて否定することはできないのであるが、そうであるとしても、かかる養育費相当額を目的とする不当利得返還請求は法規範の要請と相容れないというべきものであり、かかる請求を容認することはできない。

 すなわち、まず、控訴人がCの養育費を支払ったのは被控訴人との婚姻関係の継続中のことであるところ、法律上控訴人は、妻である被控訴人と嫡出子の推定を受けるCに対し婚姻費用を負担し(民法760条)、上記養育費用もその一部として支払われていたのであるから、これは被控訴人及びCのいずれとの関係でも法律上の原因に基づいて支払われていたものであり、ここに不当利得の観念を入れる余地はなく、上記養育費相当額について不当利得にかかわる損失ないし利得を観念することができない。

 また、控訴人の主張に照らしても、上記費用は専らCの養育に投じられたものというべきであり、したがって被控訴人がその利得を得たものでないことは明らかであるから、この点からも被控訴人に控訴人が支払った養育費相当損害に対応する利得を得ていることを観念することはできない。

 そして、何よりも、不当利得の法理は、公平の理念に基づき、法律上の原因なく生じた利得者と損失者間の均衡を図ろうというものであるが、それは一方が利得し他方がその結果損失を被っている状態を放置しておくことを正当としない状態、すなわち全法秩序が是認しない違法状態とみてこれを是正しようとするものと解される。

 このような不当利得における違法状態があるかを本件についてみる。取調済みの全証拠及び弁論の全趣旨によれば、控訴人とCの関係は、少なくとも同人が実子ではないことが発覚するほぼ成人に達する年齢までは父と息子として良好な親子関係が形成されてきており、その間控訴人は、実子という点を措いてみても、Cを一人の人間として育て上げたのであり、その過程では経済的費用の負担やその他親としての様々な悩みや苦労を抱えながらも、これらのいわば対価として、Cが誕生し乳幼児期、児童期、少年から大人への入り口へと育っていく過程に子を愛しみ監護し養育する者として関わりながら、その成長の日々に金銭には代えられない無上の喜びや感動をCから与えられたことは否定できるものではあるまい。

また、養育を受けたことにつきCには何らの責任はない。

 このように見てみると、控訴人がCに養育費を投じた結果に是正をしなければ法規範の許容しない違法な不均衡状態があるなどと解することはできない。

 むろん、自らの不貞行為によりもうけた他人の子をそうとは知らせないままいわば騙して控訴人にわが子として育てさせた被控訴人の責任は軽くはないが、これにより控訴人に与えた精神的、財産的損害の回復を図る民事法上の法理としては不法行為法理が用意されているのであり、これにより責任を取らせるべきものである。そして、上記不法行為責任については、既に前訴控訴審判決により解決済みであり、控訴人がその内容に不満を残しているとしても、法制度上はこれを蒸し返すことは許されない。

 以上、いずれの観点から検討してみても、控訴人の被控訴人に対する養育費相当額の不当利得返還請求は理由がないというべきである。

(2)控訴人は、上記不当利得返還請求が容認されない場合として、予備的追加的に不法行為に基づき同額の経済的損害の賠償を求めるが、これは既に前訴控訴審において審理判断されており、明らかな蒸し返し訴訟となり、前記慰謝料請求の訴えについて述べたとおり、不適法な訴えというべきである。

四 よって、控訴人の本件各請求のうち、慰謝料の支払を求める部分は不適法であるからこれを却下し、その余の請求は棄却すべきであり、控訴人の本件各請求の全部を棄却した原判決中これと異なる部分は相当でないから、その旨原判決の主文第一項を変更し、また当審における予備的追加的請求に係る訴えは不適法であるからこれを却下し、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 藤村啓 裁判官 坂本宗一 大濵寿美


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