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母の再婚相手と子が養子縁組した後の面接交渉-裁判例

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平成21年 8月26日:初稿
○表記「母の再婚相手と子が養子縁組した後の面接交渉」を考えるのに適切な裁判例を発見しましたので紹介します。平成8年4月30日横浜家裁(事件番号平6(家)3583号 ・平6(家)3582号)です。
以下、長文ですが、当事者名を伏せて全文引用します。私なりの解説は別コンテンツで行います。

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主文
 Yらは、Xに対し、平成8年5月1日以降毎年1回A(昭和57年10月9日出生、当時13歳)とその通学先の学校の夏季休暇中に1日間面接交渉させよ。
 Xが、Yらに対し、B(昭和61年7月22日出生、当時9歳)と面接交渉をさせることを求める申立てを却下する。

理由
1 本件は、Xが、Yらに対し、XとY間の長男A及び長女Bと年1回程度面接交渉させるように命じる審判を求めるものである。

2 記録中の資料によれば、
〈1〉XとYは、昭和57年3月23日婚姻の届出をして婚姻し、双方間に長男A(昭和57年10月9日出生)及び長女B(昭和61年7月22日出生)が出生したが、Xが転職を繰り返し、経済的に不安定であったことに加え、Yと同居していたXの母との折り合いが悪かったことから、平成5年5月24日未成年者らの親権者をYと定めて協議離婚の届出をして離婚したこと(ただし、Yが未成年者らを連れてX方を出たのは同年7月下旬のことである。)、

〈2〉Yは、離婚後に知り合ったZ(以下「Z」という。)と間もなく同棲するようになり、同年11月25日婚姻の届出をして婚姻をし、未成年者らも、同年12月2日Zと養子縁組の届出をしてその養子となったこと、

〈3〉Xは、Yらに対し、実父としてA及びBが無事成長している様子を確かめたいとして、年1回程度未成年者らと面接交渉させるように求めているが、Yらは、Xとらが対面すること自体希望しておらず(なお、Yらは、Zが過去に服役した事実が未成年者らに知れることを恐れている。)、現在未成年者らがYらと落ち着いた生活を送っており、Xとの面接交渉により未成年者らを動揺させたくないとして、面接交渉に強く反対していること、

〈4〉現在、Aは中学校2年生(13歳)であり、Bは小学校4年生(9歳)であるが、未成年者のいずれも心身ともに健康であり、Zと未成年者ら間には良好な親子関係が形成され、安定した生活をしており、Yらによる未成年者らの監護教育上特に問題とすべき点はないこと、

〈5〉A及びBは、Xとの面接交渉を拒絶まではしないものの、Yらの面接交渉に反対の意向を汲み、これを積極的には望んでいないこと、

〈6〉なお、Yらは、Xにその住所を秘匿していたが、Xは、本件申立て後、これを調査した上、Yらの了解を得ないまま、平成6年6月と同年10月の2度にわたりA及びBと面談しており、未成年者らは、その際、XからYらに面接の事実を秘匿するように言われ、Xと面談したことに心理的な負担に感じていること、
が認められる。

 ところで、婚姻中の父母は、共同して未成熟子の監護教育に当たるが、離婚後にあっては父母のうち親権者となった親(以下「親権者親」という。)のみが子の監護教育に当たることにならざるを得ないところ、子の福祉という見地からは、父母のうち監護教育を担当しない親(以下「非親権者親」という。)も、可能な限り親権者親による未成熟子の監護教育に協力することが重要であり、このため、非親権者親と未成熟子が接触・交流の機会を持つことが望まれることから民法上明文の親定はないけれども、子の監護に関する処分の一環として離婚後の非親権者親による未成熟子との面接交渉が肯定されているところである。

 しかし、この面接交渉の目的及び性格からすると、その実施によって子の心身の成長上好ましい結果がもたらされる場合でなければ、これを肯定すべきではないといってよく、特に、離婚に至った原因・経緯等から父母間の対立が激しく、親権者親が非親権者親による面接交渉に強く反対している場合にあっては、親権者親の意思に反する面接交渉が強行されることにより親子間に感情的軋轢等が生じ、これによって子の福祉を害する事態が想定されることから(とりわけ、未成熟子が低年齢であるとか、心身に障害をもっているとかいった場合には、親権者親の協力なしには円滑な面接交渉が事実上不可能であるため、親権者親の意思に反する面接交渉を強行することによってもたらされる不利益が大きい。)、親権者親の意思に反した面接交渉は、例えば、進学問題など、子の監護教育上親権者親が非親権者親の協力も得て解決すべき重要な問題が発生しており、これに適切に対処するには親権者親の意思に反しても非親権者親に子と面接交渉させるのでなければ子の利益を十分に保護することができないといった、特別の事情が存在すると認められるときでない限り、これを回避させるのが相当であるといえる。

 もっとも、子の年齢、その他心身の成長状況からして子が単独で非親権者親と面接交渉することが可能である場合にあっては、親権者親が反対であっても、面接交渉によって子の福祉が害されるおそれは比較的少ないといってよく、非親権者親が不当な動機に基づき面接交渉を求めているような場合を除き、原則としてこれを肯定することができる。

 これを本件についてみるに、Yは、Xと離婚した後、Zと再婚しており、離婚の経緯からすると、Yが面接交渉の機会にXと対面することを避けたい心情であることは理解しえないではなく、その後ZとA及びBが養子縁組をし、双方間に新たに親子関係が形成され、現在未成年者らが安定した生活を送っているとみられることからすれば、実父として我が子の無事な成長ぶりを確認したいという理由だけでは、Yらの反対の意向にかかわらずXの面接交渉を認めることが子の福祉を図るうえで必要不可欠な要請であるとまでは認め難い。

 そして、Bの場合、まだ小学4年生であり、十分な分別心をもっていないとみられ、B単独でXと面接交渉させることには疑問が残る上、Bの年齢、心情等からすると、面接交渉の内容・態様いかんによっては心理的な動揺や混乱を招くおそれがあると認められるところ、先に認定した事情の下でらの協力がなくともXとBの面接交渉を肯定するのでなければ子の利益を保護するに十分でないというべき特別の事情が存在するとまでは認められない。

 これに対し、Aの場合、既に中学2年生であり、Yらの協力がなくても単独でXとの面接交渉が可能であり、XとYの離婚やその後の同士の再婚につき未成年者なりにその事情を理解できる年齢に達しているとみられることのほか、Xが面接交渉を求める理由が前記のとおり我が子の無事な成長ぶりを確認したいというものであって、親子間における自然の心情として理解しえないものではないことからすれば、Xの求める年1回程度の面接交渉によって子の福祉を害する結果を招くに至るとまでは認められない。

 そうであれば、XがAとの面接交渉を求める申立ては理由があり、本件にみられる諸般の事情を考慮すると、平成8年5月1日以降毎年1回Aの通学先の学校における夏季休暇中に1日間面接交渉させるのが相当であるが(その具体的な日時、場所及び方法については、XがAの意向を踏まえて定めるべきものである。)、Bとの面接交渉を求める申立ては却下すべきものである。

 よって、主文のとおり審判する。
 (家事審判官 渡邉温)
以上:3,058文字

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