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世の役に立ちたい

平成14年 6月 1日(土):初稿
■初めに
 前回は、名誉欲、財産欲、異性欲等あらゆる人間の欲求の底に横たわる最も根元的な欲求は、他人に評価されることではないかということを述べました。今回は、この欲求が如何に世の発展に役立っているかについて考えてみたいと思います。

■世のため人のために役立つこと
森進一が歌う「おふくろさん」に、「お前もいつかは 世の中の 傘になれよと」或いは「世の中に 愛をともせと 」教えてくれたと言う歌詞があります。
このおふくろさんのように昔は子供に対し、世のため人のため役に立つ人間になれと言って育ててきた親が多かったようです。しかし最近はこんな言葉は余り聞かなくなったような気がします。
実際、私自身も子供に、こんな言葉を言ったことがありません。最大の理由は、私自身、世のため人のために役立とうという気が殆どないのでそんなことを子供に言う資格がないと自覚しているからです。
しかし世の中、みんなが世のため人のために役立とうと言う気のない人間ばかりになったら大変です。政治・経済等あらゆる社会の発展がストップします。

■やはり政治家は偉い?
他人からの評価欲求の強い典型的例が政治家と思います。政治家を志す方は、おそらく世のため人のために役立る業績を上げ、後世に名を残す政治家になると言う欲求を持っているのが普通と思います。
大臣病と言う言葉があるように今は政治家というとマイナスイメージの方が強くなっています。確かに政治は最終的には、権力闘争です。この権力闘争の面だけ見ると、政治家は自己保身が目的ではないかと見られる面もあります。
しかし私は、何だかんだ言っても政治家を志望する方は偉いと思っております。
政治という言葉の意味を広辞苑で引くと次のように説明されています。
政治とは、人間集団における秩序の形成と解体をめぐって、人が他者に対して、また他者と共に行う営み。権力・政策・支配・自治にかかわる現象。主として国家の統治作用を指すが、それ以外の社会集団および集団間にもこの概念は適用できる。
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
要するに、様々な欲求を持つ多数の人間が集まって作る社会が円滑に営まれる仕組みを作るのが政治と理解しています。人間社会を作る根幹が政治です。

私は法律家ですが、法律は政治が作るものであり、その意味で法律家より政治家の方がずっと重要な仕事をしています。
しかも、現実にこの政治活動に参加するためには大きな労力を必要とします。先ず選挙に出て当選することから始まります。
その労力の大きさ困難さを思うと普通の人は先ず政治家になろうなどと考えません。
私は、その任務の重要性とその任務に就く困難性の2点から、素直に政治家を志すと言うことだけで尊敬します。
他人からの評価欲求が人一倍強くないと政治活動を志すことは先ずありません。政治活動を志す人が居ないと人間社会そのものが成り立ちません。詰まるところ、評価欲求がないと人間社会が成り立たないことになります。
以上:1,219文字

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