旧TOP : ホーム > 鶴亀通信 > 第8号(h13.9)-親子の絆 > |
平成13年 9月 1日(土):初稿 平成16年 9月23日(木):更新 |
■押し付け 少年事件を扱い、罪を犯した子供と親との関係を見ると一方に全く放任で、連絡を取っても無表情で自分の子供なのにどうでも良いという態度を取る親がいます。 このような環境の子どもたちは、正に親から「愛されているとの自覚」を持つことが出来ず、投げやりに なって自分の人生もどうでも良いと投げています。 逆に子供に対し、過剰干渉で、「こんなにお前を愛して、心配しているのに何故判ってくれないの。どうして悪いことを繰り返すの」と「--なのに、どうして---と」押し付けを繰り返す親もいます。このような親は、付添人についた弁護士に対しても親としてはこれだけのことをしてやっているのに信じられないと自分たちの正当化する訴えに終始します。こういう親を相手にすると、「あーあ」とため息ばかり出ます。 こういう親の子供達は一様に、親は自分たちの考えを子供に押しつけるばかりで、サッパリ子供のことを理解してくれない、本当に自分は親に愛されているのだろうかと疑問を持っています。 夫婦間の争いでも同じです。相手に嫌われたことに納得できないことに腹を立て「自分がこれだけ夫(妻)として、一生懸命働き尽くしてきたのに、どうして出ていくんだ。」自分の正当化に終始します。またしても「あーあ」とため息が出ます。 逃げ出した相手は、他方の独りよがりの「押し付け」に耐えられなくなり逃げ出したことに全く気付いていない場合が殆どです。 ■ヨイトマケの母 ヨイトマケの母は、泥まみれの格好で、陽に灼けた浅黒い肌で、ゴツゴツと荒れた汚ない手で汗をぬぐい、男の労働者に混じって、声を枯らして、天に向かって声をあげ、懸命に働いています。 ある日息子は、小学校で「ヨイトマケの子供、汚ない子供」といじめられ悔し涙にくれて、母の胸にすがって慰めてもらおうと思って帰る道の途中で、その母の姿を見ます。 母親はここまでして、僕を育てるために懸命に働いている、息子は、そんな母親に楽をさせてやりたいがために、勉強して、高校を出て大学を出て、立派になるために、涙を流すのを止めて、学校に帰っていきます。 この母は、息子に対しお前のために苦労して働いて居るんだなどという押し付けはの態度は全くとらなかったに違いありません。 何度かぐれかけた息子も母ちゃんの懸命に働く姿を思い出し、我に返り、やくざな道に墜ちることもなく、当時の花形職業と言われたエンジニアに成長します。 日本全体が豊かになった今の子供達には「根性」などと言う言葉は無縁で、ヨイトマケの親子のような関係は、今の時代に通用しない昔話だと言う人も多いかもしれません。しかし、私自身も父から、ヨイトマケの母と同様の感動を与えて貰いました。 私は、父より受けた感動を生涯の宝として、自分の子供達へも少しでも感動を伝えることが父への恩返しだと確信しております。 以上:1,179文字
|