平成20年 8月19日(火):初稿 |
○平成20年8月17日午後10時からのNHK教育TVでのETV「シリーズBC級戦犯」韓国・朝鮮人戦犯の悲劇で、取り上げられたイ・ハンネさん(李鶴来、平成20年8月現在83歳)は、17歳の昭和17年に日本軍の捕虜収容所監視員募集に応じてタイの捕虜収容所監視員として働いたところ、日本敗戦後、捕虜にタイする虐待の罪で逮捕され、死刑宣告を受けながらも懲役20年に減刑され、巣鴨プリズンに移送され、最終的には昭和31年に釈放されます。 ○釈放時既に31歳になっていたイ・ハンネさんは、今更、故国韓国に帰るわけにもいかず、その後日本に留まってタクシー会社を興すなどして生活をしてきましたが、釈放時日本国政府から支給された金員は、功労金?1万円に帰国手当1000円だけと言うことに驚きました。 ○イ・ハンネさんは在日韓国人ではないので、日本には身寄りなど無いはずで、日本国政府からの僅かの支給金でその後どれほど苦労して自らの生活を支えていったかについては、戦犯タクシーと呼ばれるタクシー会社を興したとの説明はありましたが、詳しく説明はありませんでした。 ○台湾人の元軍人・軍属の場合、日本が台湾を国家として承認していないため、その補償のための二国間交渉を行うことが出来ず、このため昭和62年に議員立法で重度の戦傷病者と死亡者遺族(在日台湾人は除く)に弔慰金200万円を支払うことを決定していますが、韓国については昭和40年の日韓国交正常化とともに結ばれた請求権協定で決着済みとなり、韓国に居た旧日本軍人・軍属約八千人の遺族には韓国政府から1人当たり一時金約19万円が支給されているのに、在日の韓国人軍人には何の補償も行われず取り残されてきたとのことです。 ○私は、2人の息子が戦死した母親の軍人恩給・年金を巡って争いになった事件を思い出しました。確か軍人恩給・年金も物価にスライドして上昇してきましたが、90歳半ばまで長生きした母が受給した息子達の軍人恩給・年金額が1億数千万円にもなっているところ、これを同居していた長男が独り占めしたとして、弟・妹達から約7000万円を遺留分として返還せよとの裁判でした。 ○この事件で日本人戦死者の遺族は金銭面ではある程度国から補償がなされたことを実感しましたが、日本のために命を捧げた韓国人への戦後補償は国籍が無く且つ政府間交渉で決着したとの建前で殆どなされていない現実に世の不条理を痛感した次第です。 ▽軍人・軍属問題 旧日本軍の軍人、軍属だった在日韓国人は、日本人並みの恩給支給など戦後補償を求めている。日本の敗戦により、約20万人に上る朝鮮半島出身の軍人、軍属は日本国籍を失うと同時に、日本国籍を前提とした恩給法、戦傷病者戦没者遺族援護法上の受給資格を失った。加えて政府は昭和40年の日韓請求権協定により「日韓両政府間では請求権の問題は完全かつ最終的に解決された」との立場を取っている。しかし「個人の請求権は失われていない」として訴訟が起こされ、裁判所もたびたび法的救済措置の必要性を認めている。戦争犯罪を問われ日本軍のBC級戦犯として処罰された人も含まれている。 以上:1,288文字
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