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遺留分放棄許可申立て手続代理人弁護士への損害賠償請求事件地裁判決紹介2

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令和 6年11月13日(水):初稿
○「遺留分放棄許可申立て手続代理人弁護士への損害賠償請求事件地裁判決紹介1」の続きで、判決概要を説明します。
原告は、被告弁護士に被相続人亡Cの遺産について遺留分放棄申立手続を依頼し、放棄許可審判を受けましたが、
〔1〕原告と利益相反関係にある亡Cの相続に関する相談を受けていたことを原告に説明しなかった、
〔2〕亡Cの財産の調査義務を懈怠した、
〔3〕原告が亡Cから受領した3000万円では原告の遺留分には全く及ばない事実を認識していたのにこれを原告に説明しなかった
として、亡C財産は約5億1885万円あり、その遺留分相当額は約9147万円あるところ、生前贈与3000万円だけで遺留分放棄許可され、その差額6147万円の損害を受けたとして、善管注意義務違反ないし注意義務違反を理由に、損害内金1000万円の賠償請求をしたものです。

○これに対し、判決は原告の請求を全部棄却しましたが、その理由概要を以下の通りです。
〔1〕原告と利益相反関係にある亡Cの相続に関する相談を受けていたことを原告に説明しなかったとの主張については、事前に原告と亡C間に遺留分放棄合意が成立しており、被告は原告に対し、亡Cから相続に関する相談を受けていたことなどに関しても説明していたもので、原告もそのことを理解していたので義務違反はない

〔2〕亡Cの財産の調査義務を懈怠したとの主張については、被告が、原告に示した亡Cから送付されて本件財産大要(甲5)には、その内容に疑問を生じさせる事情があったことを認められず、本件財産大要に基づいて亡Cの財産に関する説明を行うことに問題があったとは認め難く、本件財産大要は、あくまでも亡Cの財産の大要で、亡Cの財産が本件財産大要に記載されているものが全てであるかのような説明を行っていないので、その義務違反はない

〔3〕原告が亡Cから受領した3000万円では原告の遺留分には全く及ばない事実を認識していたのにこれを原告に説明しなかったとの主張については、本件委任契約は、原告と亡C間の遺留分放棄合意を実現する手続であり、被告が、本件委任契約上、原告に対し、亡C所有の不動産価格を調査すべき義務があったとは直ちには認め難く、被告に、不動産価格を調査するなどし、亡Cの財産の総額を算定した上で、亡Cが原告に3000万円を生前贈与したとしても、同金額では、原告の遺留分には全く及ばないことを説明すべき義務があったとも直ちには認め難いとして義務違反はない

○結論としては妥当と思われますが、弁護士としては、このような訴えを出されること自体大変な不名誉であり、また、大変な労力負担が生じます。遺留分放棄手続を依頼された場合、本件のような損害賠償請求を出される可能性もあることを考慮して、被相続人と推定相続人の利益相反行為になること、被相続人財産調査には限界があること、遺留分放棄の合理的理由があることの3点について、シッカリ確認する書面を取っておくべきと痛感しました。
以上:1,226文字

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